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第35話 綻び 10【R-18】
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ベッドで半ば頭を持ち上げた少女は、ひどくあどけない表情に怯えた目をしていた。
その表情だけを見れば幼女のようだった。
「そうだ。悪い子だ。パパの言うことを聞かない子には、悪いことが起きるんだと教えたな?」
「わた…… し、わるい、こ……」
「そうだな。温泉ではあんなに抵抗しやがったが、ふん、一度思い出せば、こんなもんだ。この間もイキまくったし、今回は、もっとだ。どうだ? もう、わかっただろ、天音はパパ無しではいられない身体になるんだって」
女を意のままにしたという自信に満ちている。事後に力なく横たわる姿は男としての達成感をもたらすのだろう。男の声は次第に大きくなる。
ここで挑発して、反発したところに、もう一度セックスして教え込む。
『そろそろ、徹底的に「わからせ」てやらないとだからな』
そのためには、この間仕入れた情報すら、利用するのが男のやり方だ。
「最近は男が出来たんだって?」
ニヤリと笑って見せるが、反応はない。
「母親が言っていたぞ。毎週、日曜日にホテルに行ってるってな」
毎週に、アクセントをつけている。
「年末の温泉以来、オレとは二度目だったよな? じゃあ、他は誰と行ってるんだ? まさかパパにウソをつくような悪い子じゃないよな?」
「うそ、つぃてない。あまね、うそなんて、つかなぃ」
ひどく物憂げで、舌っ足らずな口調だった。さっきの余韻に浸っているのだろうと男は気にもとめない。
『家の中でヤッてた時もこんな感じだったよな。あの時よりもひどくなってるが、なぁに、身体がオンナを思い出すと、こうなる体質なのだろう』
男は勝手に納得している。それよりも、娘がホテルに行く相手を突き止める必要がありそうだ。
「じゃあ、ちゃんとパパに教えなさい。誰とホテルに行ったんだ?」
「パパ、だけー」
ひどく幼い口調だ。
「ウソじゃないな? ウソをついたら、悪い子だぞ!」
「ちが、うの。あま、ね、わるい、こじゃ、ない」
「ウソをつくのは悪い子だ! 正直に言いなさい」
イヤイヤと顔を振りながら、その目から涙が流れた。
「どうやらウソじゃないらしいな」
「ぅそ、っかないょお」
「それにしても、お前のその口調なんとかならないのか? ヤルたびにひどくなっているじゃないか!」
「おこらなぃでぇ」
コロンと身体を丸めてしまった。
「わかった。怒らないから。代わりにちゃんと言うんだ」
男は、ちょっと考える。
『こんな口調になったら曖昧な質問が通じなくなるからな。具体的に聞くしかない。まあ、代わりにウソが言えなくなるのだから、便利と言えば便利だ』
男は知らないが、これは心的な傷を負った人間が陥る一種の「逃避行動」だ。心を通さない受け答えをするのも幼児退行に近い現象とされている。けしてウソがつけないわけではなく、本当に大切なこと以外、全てが投げやりになり、守ろうとしなくなるだけのことだった。
しかし、温泉でしたときに感じた違和感というべきか。自分以外の男がいるからこそ、あれほど抵抗したのではないかと、男は疑った。
母親の挑発《うそ》だろうと楽観することも出来ない気がした。
「パパ以外の誰かとセックスしたか?」
ズバリと聞けば「うん」と答えた娘に仰天してしまった。
いったい、誰とだ?
許せなかった。
その表情だけを見れば幼女のようだった。
「そうだ。悪い子だ。パパの言うことを聞かない子には、悪いことが起きるんだと教えたな?」
「わた…… し、わるい、こ……」
「そうだな。温泉ではあんなに抵抗しやがったが、ふん、一度思い出せば、こんなもんだ。この間もイキまくったし、今回は、もっとだ。どうだ? もう、わかっただろ、天音はパパ無しではいられない身体になるんだって」
女を意のままにしたという自信に満ちている。事後に力なく横たわる姿は男としての達成感をもたらすのだろう。男の声は次第に大きくなる。
ここで挑発して、反発したところに、もう一度セックスして教え込む。
『そろそろ、徹底的に「わからせ」てやらないとだからな』
そのためには、この間仕入れた情報すら、利用するのが男のやり方だ。
「最近は男が出来たんだって?」
ニヤリと笑って見せるが、反応はない。
「母親が言っていたぞ。毎週、日曜日にホテルに行ってるってな」
毎週に、アクセントをつけている。
「年末の温泉以来、オレとは二度目だったよな? じゃあ、他は誰と行ってるんだ? まさかパパにウソをつくような悪い子じゃないよな?」
「うそ、つぃてない。あまね、うそなんて、つかなぃ」
ひどく物憂げで、舌っ足らずな口調だった。さっきの余韻に浸っているのだろうと男は気にもとめない。
『家の中でヤッてた時もこんな感じだったよな。あの時よりもひどくなってるが、なぁに、身体がオンナを思い出すと、こうなる体質なのだろう』
男は勝手に納得している。それよりも、娘がホテルに行く相手を突き止める必要がありそうだ。
「じゃあ、ちゃんとパパに教えなさい。誰とホテルに行ったんだ?」
「パパ、だけー」
ひどく幼い口調だ。
「ウソじゃないな? ウソをついたら、悪い子だぞ!」
「ちが、うの。あま、ね、わるい、こじゃ、ない」
「ウソをつくのは悪い子だ! 正直に言いなさい」
イヤイヤと顔を振りながら、その目から涙が流れた。
「どうやらウソじゃないらしいな」
「ぅそ、っかないょお」
「それにしても、お前のその口調なんとかならないのか? ヤルたびにひどくなっているじゃないか!」
「おこらなぃでぇ」
コロンと身体を丸めてしまった。
「わかった。怒らないから。代わりにちゃんと言うんだ」
男は、ちょっと考える。
『こんな口調になったら曖昧な質問が通じなくなるからな。具体的に聞くしかない。まあ、代わりにウソが言えなくなるのだから、便利と言えば便利だ』
男は知らないが、これは心的な傷を負った人間が陥る一種の「逃避行動」だ。心を通さない受け答えをするのも幼児退行に近い現象とされている。けしてウソがつけないわけではなく、本当に大切なこと以外、全てが投げやりになり、守ろうとしなくなるだけのことだった。
しかし、温泉でしたときに感じた違和感というべきか。自分以外の男がいるからこそ、あれほど抵抗したのではないかと、男は疑った。
母親の挑発《うそ》だろうと楽観することも出来ない気がした。
「パパ以外の誰かとセックスしたか?」
ズバリと聞けば「うん」と答えた娘に仰天してしまった。
いったい、誰とだ?
許せなかった。
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