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第32話 心、凍らせて 2
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溢れかえる思いが、言葉を押し出している。
せき止めるには、もっと心を冷たくすることだ。自分で自分を凍らせるしかないとわかってる。
できるのか?
一方で、いきなりあふれ出した「冷たい水」に陽菜が溺れかけていた。
「で、でも、でも、だって、で、でも……」
優しい子だ。懸命に言葉を探してくれてる。だから、徹底的にヤッておかないとダメだと瞬は思っている。
『トドメが必要だよ』
しかし、いったい誰にトドメを刺そうとしているのか、瞬自身もわからない。
「自分の好きな人のために、他の男とメッセの時間と内容を制限する、手をつながない、学校以外で会わない。あ、最近だと部活のこと以外で一切の会話をしないってのもあてはまるかな? うん。理想的な彼女だよね。ただし、それってオレの彼女ではないよね?」
そうだよ。彼女の目に、ヤツ以外が映っていたことなんて一度もなかったのさと、これは心の中だけで呟く。
あの日抱きしめて「全部を受け入れる」と言った瞬に涙を流してくれたのは、いったい何だったのか? それだけは飲み込めない瞬ではある。しかし現実は現実である。受け入れるべきなのだ。
「立場が違えば、理想的な彼女だったって言えると思うよ」
自虐の笑みだが、なぜか普通に笑顔を出せている自分を嘲笑っている。
「そうさ。松永天音の全ては、本当に好きな二階堂健のためにあるんだよ。オレへの『付き合ってください』は単なるまやかしだったのさ」
喋りながら陽菜の顔が見られない。どんな顔で聞いてるんだ?
「なあ、そうだろ? すご~く良い女の子だって思わないか?」
宙に向かってニッコリと笑った。その笑顔が氷点下のものであることを瞬は隠さなかった。
ヒマワリのように真っ直ぐで、純粋で、お人良しの優しい後輩に聞かせる言葉じゃないのはわかってる。でも、ここまで言わないと関わってきかねない子だと思っている。
せき止めるには、もっと心を冷たくすることだ。自分で自分を凍らせるしかないとわかってる。
できるのか?
一方で、いきなりあふれ出した「冷たい水」に陽菜が溺れかけていた。
「で、でも、でも、だって、で、でも……」
優しい子だ。懸命に言葉を探してくれてる。だから、徹底的にヤッておかないとダメだと瞬は思っている。
『トドメが必要だよ』
しかし、いったい誰にトドメを刺そうとしているのか、瞬自身もわからない。
「自分の好きな人のために、他の男とメッセの時間と内容を制限する、手をつながない、学校以外で会わない。あ、最近だと部活のこと以外で一切の会話をしないってのもあてはまるかな? うん。理想的な彼女だよね。ただし、それってオレの彼女ではないよね?」
そうだよ。彼女の目に、ヤツ以外が映っていたことなんて一度もなかったのさと、これは心の中だけで呟く。
あの日抱きしめて「全部を受け入れる」と言った瞬に涙を流してくれたのは、いったい何だったのか? それだけは飲み込めない瞬ではある。しかし現実は現実である。受け入れるべきなのだ。
「立場が違えば、理想的な彼女だったって言えると思うよ」
自虐の笑みだが、なぜか普通に笑顔を出せている自分を嘲笑っている。
「そうさ。松永天音の全ては、本当に好きな二階堂健のためにあるんだよ。オレへの『付き合ってください』は単なるまやかしだったのさ」
喋りながら陽菜の顔が見られない。どんな顔で聞いてるんだ?
「なあ、そうだろ? すご~く良い女の子だって思わないか?」
宙に向かってニッコリと笑った。その笑顔が氷点下のものであることを瞬は隠さなかった。
ヒマワリのように真っ直ぐで、純粋で、お人良しの優しい後輩に聞かせる言葉じゃないのはわかってる。でも、ここまで言わないと関わってきかねない子だと思っている。
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