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第27話 嘲笑 ~男と女~ 3
しおりを挟む女は瞬時に思い当たった。
それなら、急に金が必要になるようになった理由にもつながる。
「まさかと思うけど、他の女でもできた?」
どんな女とつるもうが一切の感情はない。100パーセント、どうでも良い。誰とでも寝ろ。猿でも犬でも、クソでも、いい。しかし、別の女に使うカネがあるなら娘に全て吐き出せと女は思っている。
「え? オレに別の女? まさか! ないない。他のオンナだけは絶対ない。何度も言ってきたけど、オレの愛情は家族にだけしか向いてない。今でもそうだ。そのカタチが世間に受け入れられないとしても、オレの愛情は家族にだけしか行かないから」
「やめて。気持ち悪い。娘に何をしたのか反省はないの?」
「反省はしてるよ、もちろん」
ウソではない。男は『見つかってしまったのは反省してる。やったことに後悔はしてないよ』と言うセリフを飲み込んで答えているだけだ。
「とにかく、約束は守りなさいよ。これ以上、約束違反が続くなら考えがあるわ。お金なんかよりも、お前に惨めな思いをさせて復讐する方が優先だってことをお忘れなく」
「わかった。わかったって」
「このまま、知らんぷりするなら、警察よ。時効になんてさせないから」
「オレとしても、そんなことは御免だ。ただ、会社の方がヤバいのは本当なんだ。もう少しだけ待ってくれ」
「いつまでも甘い顔をしているとは思わないでね」
「いや、わかってるって。ただ、しばらくの間は送れる金が少なくなる。会社の業績が立て直せたら戻せるから」
「ホントに会社のせいなのかしら?」
「信じてくれよ。愛する娘のために頑張ってるんだからな」
「口では何とでも言えますけどね。でも『愛する娘』だとかいうのはやめてくれない? 気持ち悪いわ」
「スマン、スマン。逆に、もし何かあったらいつでも相談してくれ。できる限りのことはするからな」
「そんなことより、まずは約束を守りなさいよ」
女は「ケダモノ」と吐き捨てて、店を出て行った。
残されたのは「嘲笑」だけだった。
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