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第24話 疑惑の冬 2【R-18】
しおりを挟むみんながコートを着始める頃には、学校の帰りにカフェに寄ることもなくなっていた。束の間のデートが喪われたことになる。
次第、次第に、部活以外で会う時間が減っていった。おまけに、昼は「幹部でランチミーティング」だとかで、別々になることが多くなっていった。幹部とは、キャプテンと副キャプテンを指す。呼ばれてもいないのに、そこに顔を出せるほど瞬は厚顔ではない。
ただ、一つだけ、不思議なことがあった。
デートを断ると後で、いや、断った時だけでなく、ちょっとした二人きりの時間が出来ると、こそこそっとした声で、あるいは小さなメモを渡されるときもある。
「もし、したいならウチに来て?」と誘ってくるのが不思議だ。
なんで天音が誘ってくるのがわからない。
せっかく二人で会う時間になるのだ。嫌なはずがない。ごくたまに、セックスだけでも良いと思いきって「じゃあ、今日、行っても良いかな?」と誘いに乗れば、実に嬉しそうな顔をする。
それは、真実、心からの笑顔に見えた。
以前と違うのは、天音が先に帰って瞬の到着を待っていること。その行動の理由を尋ねると「家を片付けてから入って欲しいから」と、またしても小さな声で答えるのが定番だった。
瞬だって年頃の男の子だ。多少の不審はあっても、身体の関係を結べば不満はそれなりに解消される。
しかも、いったん部屋に行けば、肉体的な瞬の要求に全て応えようとするところは以前と全く変わらないのだから、なおさらだ。
実に甲斐甲斐しく、そして可憐な姿を見せてくる。そんな時の天音は、瞬が望むままの反応をしてくれた。望めば、何をしてもイヤとは言わない、恥ずかしがることはあっても「ダメ」はなかった。むしろ、瞬が望みそうなことを先回りして叶えようとすることだって多かった。
裸を写真に収めたのだって、天音が「そういう乗ってあった方が良い?」と聞いてきたからだ。どんなに恥ずかしいポーズでも、どれほど淫らな姿でも、頬を染めながら、言われるままにポーズをとった。
頬を染めながらもダブルピースをしながらのM字開脚に、くぱぁポーズ。
身体のリズムさえ合えば、そのまま出すことを望むのも天音なら、それが流れ落ちるところを写真に撮るのを受け入れるのも天音なのだ。
中に注ぎ込んでくれる感覚が嬉しいといつも言っていたし、そのままたゆたうように、体重をかけて欲しいと言葉にしてくる。
写真を見返せば、天音は恥ずかしそうではあるけれども、常に笑顔で映っていた。そこに拒否も、拒絶も、無理をしている感じも全然なかった。
二人っきりの時、天音は言う。
「瞬は私になんでもして良いんだよ。したいことをして。どんなことでもしていいからね? 瞬のしたいことが私のしたいことだから。いーっぱい。私を使って?」
そんな時の天音の笑顔は、本当に輝いていた。瞬が大好きになった天音の、心からの笑顔がふんだんに捧げられる時間だった。
これに溶けない男などいないだろう。
天音は瞬が部屋に行きたいと言ったら絶対に断らなかった。どんな場合でも最優先。生理の時ですら「それでも良ければ」と言って応じてくれたほどだった。
「デート」は断り、メッセだって時間制限ありだ。
そのくせ、セックスに誘うのはいつだって天音の方だし、瞬が抱きたいと意思表示すると本気で嬉しそうに応じるのはなぜなのか?
わからなかった。
最初のウチは何の疑問も持たなかった。二人の時間に見せてくる笑顔は本物だったから。
学校でも、外でも天音と会うことはなくなった。それどころか、束の間話すことすらなくなった。
ただひたすら、天音の部屋で裸で過ごす逢瀬だけが続いたのだ。
それはまるで、瞬の不満を身体で解決しようとしているかのようだった。
あるいは、彼女から「セフレ」と変化したと言うべきか。
そんなアンバランスな付き合い方は歪みを生む。瞬の心が耐えられなくなったのは、クリスマスを迎えた頃だったのかもしれない。
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