辛かったけど真の彼女ができました

新川 さとし

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第22話 始まりの終わり 1

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 夏休みも残りわずかとなった。

 山のように出された宿題を終わらせるため、どの部活も明日の金曜日から三日間は練習がOFFになっている。

 夏休み最後の練習の帰り道。一年生の女子軍団は、仲良くカフェ中だ。

 部活の3連休など、久し振り。部活に燃えていようとも、やはり解放感が大きい。

 しかし、菅野陽菜ひなは、明日からの休みが残念でたまらなかった。

「あ~ 瞬先輩に会えなくなる~」

 周りは陽菜に好意的であるだけに「また始まった」と生ぬるい目だ。

「それなら、キモた、んんっ、あ、えっと大竹先輩の家に行ってみたら? きっといるよ」
「そのまま、襲って貰うとかは?」

 実は大竹先輩は成績優秀だった。学年一ケタなのは間違いない。

 そして、なんだかんだ言っても、物事をよく知っている。つい最近、陸部に入ったクセに、有名どころの選手も監督名も覚えてしまったらしい。シューズを始め、陸上関係の知識は、中学から陸上をしてきた部員よりも豊富なのがシャクなくらいだ。

 そのくせ、他の2年生と打ち解けて話をするシーンなど見たことがない。

 つまりは、勉強はするけど人付き合いが悪いタイプの典型だ。

 だから「キモ竹は友達がいないから、部活に来てないときは勉強しかしてない」という噂が一年生の間では定着している。

 瞬先輩は外出をあまりしないと言うのは、陽菜も認める想像の範囲内ではある。

「そんなことができるんなら、苦労はないですよ。オシですよ? オシ。しかも本気で彼女さんになりたいだなんて、無謀な夢を持つなんてありえません。相手は天音先輩ですよ? ラブラブな二人の間に入ろうだなんて失礼過ぎます! 第一、私なんかが立候補なんて無謀過ぎますよ」
「天音先輩ね~」

 周囲が微妙な反応になるのは、あまりにも評判の悪い男に捕まった悲運の美女、あるいは男の趣味の悪い残念美人という評価のせいだ。

 かっこよくて、背の高いキャプテンと普段はあれほどの仲良しだ。きっとカレカノにはピッタリで、並んで歩くだけでもお似合いなのにと言うのが、陽菜がいないときの定説だ。

「いっつも言ってるけど、瞬先輩のすごさを最初に見つけたのだから、天音先輩は本当にすごい人なんですよ!」
「あ、いや、ウチらは何も言ってねーし」

 陽菜の暴走は止まらなかった。
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