辛かったけど真の彼女ができました

新川 さとし

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第21話 受諾  〜天音〜 4【R-18】

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 健があまりにも驚いているので、天音はむしろ狼狽うろたえてしまった。

 しかし、次の瞬間、甘やかな快感が胸から響いて「ぁん!」と可愛らしい声を上げてしまう。健が乳首をコリコリとイジりながら「今さらだろ?」と顔を覗き込んできていた。

「今までだって、一緒にケーキを食べたりしたじゃん? 抱きしめてきただろ? だけど、それって裏切ってたと思う?」
「それと、これとは」

 違うと言おうとした瞬間、またしても乳首がクリクリと捻られた。

「ああああん!」
 
 ダメッ、こんなの違う。

 今までは舌を絡めるキスなんてしてない。エッチな声だって、出させられたことなんてなかった。

「まあ、天音が気になるんだったら、なるべくしないようにするよ。だから、どう? 半分だけ優しくしてくれる?」

 手が止まって両肩をぐっと優しく掴まれる。今までにもこんな形はあった。

 良かった。分かってくれるんだ。ホッと天音だ。

「頼むよ。なるべくしないようにするから、半分だけ。な?」
「うん。それなら、いいかなぁ」

 天音は、その言葉を「エッチなことをしない」と受けとめた。けれども「なるべく」に頷けば「する」を受け入れたのと同じことになる。

「ありがとう、天音!」

 ギュッとハグされる。

『良かった、分かってくれるんだ。このくらいなら、今まで通りだよね? 半分だけなら……』

 同時に、天音の心は別の安心をしていたのは事実だ。

 汚れた自分を必要としてくれる、幼なじみの健。こうしていれば、弟を亡くした傷を埋めてあげられるかも。そうしたら、瞬に辛く当たらなくなるかもしれない。

 それは自分への言い訳だった。

 天音は後悔をし続ける未来を選んでしまった。 

 でも「シェア」してるだけだと自分に言い聞かせるしかない。自分の気持ちは瞬だけにあるんだから、これは大丈夫なことなのだと。

『だって、健だって、私は瞬の彼女だってハッキリと言ってくれてるし』

 ハグしてきた手は、またしても背中を撫でて、やがて、またしても動く範囲を広げ始める。

「健?」
「ん? どうかした?」

 屈託のない笑顔を見せながら、ジャージの中に侵入して尻を撫で、身体の脇を通って胸にも伸びてくる。

「ね、しないっていったよ」
 
 身じろぎするが、大きな身体に包まれていては、どうにもならない。むしろ、さも「おまえが動いたからだ」と言わんばかりに、堂々とショーツの中の尻を直接触ってくる。

 弾力を楽しむように掴み、撫で、長い手を活かして深く入り込んでくる手は、後ろ側から谷間に伸びようとしてくるのだ。

「ダメッ、そこは、ダメだよ」
「オレ達にとっては今さらだろ? なるべくって約束したじゃん。今くらいは、いいんだろ?」
 
 当然のように断言されてしまうと、それを覆すだけの理性が働いてない。それこそが何年もの間に破壊されてきた心にたまった「闇」のせいだった。

 既得権だとばかりに、手はショーツの中に入り込んだまま、動き続けている。

 ショーツをかき分けて尻を撫でるうち、徐々にジャージずり下げられていく。それを気にして、辛うじて拒絶の意を出そうと尻を振れば、指が後ろの「谷間」に届きそうになってしまう。慌てて、腰を前に逃がすと、腕の動きでジャージが下がる。

 既に尻の半分は露出して、部屋の空気は容赦なくショーツに侵入している。

「健、これは」
「大丈夫、大丈夫。変なことはしてないだろ?」

 そうなんだろうか? 

「変なことをしていたら、おまえならとっくに逃げてるはずだよ。大丈夫、が許してくれるんだから、なんの心配もない」 
「えっ」

 自分が許している?

 そのセリフは、天音の心を直撃していたのだ。
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