辛かったけど真の彼女ができました

新川 さとし

文字の大きさ
上 下
65 / 141

第21話 受諾  〜天音〜 3【R-18】

しおりを挟む
 健は、あっさりと肯いた。

「当たり前だ。天音を困らせるつもりなんてないんだから。ただ、半分だけ優しくしてもらえるってだけで、天にも昇る感じだよ」
「なんか、オーバーな、んっ、んっ」

 言っていることと、していることが違う。

 たっぷりと舌を絡めたキスと、胸への愛撫が濃厚に続いて、塞がれた唇から何度も何度も、くぐもった声が出てしまう。

 それはハッキリとした快楽の声だ。

 ニュルッと舌が抜けると、今度は耳に唇がつけられて「スキだ」と囁いてくる。

 情熱的な囁き声というよりも、耳に吹き込まれる息に、背中をゾクゾクさせられてしまう。

  ハア、ハァ、ハァ、ハァ

「だけど、キスはダメだよぉ」

 小さな声で抗議する。けれども、嫌がってない分だけ抗議には説得力がない。

 むしろ照れ隠しに近かったのかもしれない。

「ごめんごめん。だけど、大竹がいないときだけだから、ね? ほら、こうして」
「んっ~」

 またしてもヌルッと舌が入って来た。反射的に受け入れてしまう自分が恨めしい。

 ずっと前から仕込まれてきたせいだろう。身体に刻まれてしまった反射だ。
 
 そして、たっぷりとならされた女の身体は、濃厚なキスをしてしまえば、官能が避けられない。

『ダメ、濡れちゃう』

 ハッキリと意識してしまった。身体の奥にトロッと流れ出てしまう蜜。

 絡めてしまう舌と舌から続々とした官能が湧き上がっている。ただでさえ、さっきから撫でられている手からゾクゾクとした感覚が刻まれた身体に、会館は避けられないのだ。

 キュゥーッと、子宮が収縮する反応。それは天音の身体に刻み込まれた「オンナ」としての反応だった。

 膣が勝手に、キュン、キュンと締まってしまう。それは、かつてされてきたように、押し広げる「オトコ」に蹂躙されたがっていた。

 天音が覚えているよりも、その欲望はずっと、ずっと強かったのに驚くほど。

『瞬とした時は、もっと自然に欲しくなったのに』

 天音の気持ちを無視した愛撫によって引き出される官能は、恋人とするモノよりも、かつて刻み込まれてきた感覚に近すぎた。

 無理やり刻み込まれた快感は天音の「意志」を破壊しようとしている。

『ダメ、何とかしなくちゃ。私は瞬が良いの、瞬とだけなの。健を傷付けずに、これを何とかしないと』

 もちろん、それを立て直す余裕など健は与えてくれない。

「天音は安心して良いんだ。何も変わらないから」

 囁き声だ。しかし、そこに必死さが籠もっている。

「ホントに?」

 だからこそ、言葉にすがりつきたくなる天音だ。

「大竹が彼氏だってことはわかってる。死ぬほどわかってるから、天音は心配しなくて良い。代わりに大竹が苦手なことを引き受けるんで、安心して何でも言ってくれ」
「う~ん。でも、いいのかなぁ」

 何とかこの場を逃げないとという必死な思いは、天音の理性を確実に殺している。

「大丈夫だ。決して大竹を裏切るようなマネはさせない。だから半分ずつシェアなんだ。安心して」
「だけど、キスはダメな気がするんだけどぉ」

 エッチはダメと言ってしまえば「もう、してるだろ」と白々しく感じて、キスという言葉に集約している天音だ。

「え?」

 しかし「恋人ではないからキスはダメ」という、至極当然の言葉に、健は仰天して見せたのだ。

 自分は、何かヘンなことを言ってしまったのだろうか?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

パパのお嫁さん

詩織
恋愛
幼い時に両親は離婚し、新しいお父さんは私の13歳上。 決して嫌いではないが、父として思えなくって。

処理中です...