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第20話 半分こ 〜天音〜 2
しおりを挟む女として長く開発されてきた身体だ。
こうして、じっくりと撫でるように触れられてしまうと、その気はなくとも身体がザワザワとしてしまうのをとめられない。
吐息が熱くなり始めていた。
「学校のある日は、大竹が全面的に優先だよ。部活に絡んだことも、絶対に優先だよね」
案外と物わかりの良い言い分だ。
『瞬が優先しても良い。そのやり方なら健を傷つけずにすむの?』
「オレは天音の嫌なことはしないよ。知ってるだろ? 何事も大竹が優先だ。半分こでいい。大竹と会わない時に会うだけだ。今だって、そうだろ? 何が違うんだい?」
「そうかも」
確かに、今までも、毎晩のようにお部屋で会っているのだから変わらないかもしれない。
「そうだよ。何一つ変わらない。違うのは天音を好きだと言う気持ちを伝えたってことだけさ」
チュッ チュッ チュルン ニュルッ
舌を絡めてしまうと頭がどんどんボーッとしてしまう。
「キスは大竹ともしてるんだろ?」
「そうだけど」
「だから半分ずつだよ。大竹と会わない時に、こうして」
「んっ、んっ、んー」
舌を絡めていると、天音の頭は霞む。
『これなら大丈夫かな? それに、こうしてキスだけなら、うん、後で瞬ともしちゃえば良いし。一番スキなのは、瞬だもん』
言い訳にもならない、どうしようもなくダメなことを考えてしまう天音を見抜くように、健は囁く。
「大丈夫だオレは大竹と半分だけでいい。それ以上は求めない。天音が楽しければ、それでいいんだから」
『でも、やっぱりそれって、瞬を裏切ることにならないかな?』
裏切りはダメだと言う言葉は、さすがに消えてない。けれども「今、こうしているのも裏切りなんだ」と考えるのはやめてしまっている。
闇とキスが天音をオカシクしている。
何よりも、幼なじみの特別な関係が「健を傷付けてはダメ、孤独にしてはいけない」と囁いている。
天音に拒絶の言葉を用意させてくれないのだ。
「大竹と半分こと言ったってさ、普段は大竹が優先だ。だから、たま~にあるお休みの日とか、家に帰った後なんかはオレを優先させてよ。時間的には圧倒的にオレより優先されちゃうけど、たまの休みに会えるなら我慢できるから」
そのくらいなら良いかもしれない。学校にいる間はずっと瞬のことを考えていられる。
「そうやって、大竹にも自分の時間を作ってあげようよ。大切にしたいんだろ? 空いた時間にオレと会う。今までと何も変わらないさ」
『それなら、今までとほとんど変わらないかも』
自分の言葉が染みこむのをのぞき込みながら、健はさらにダメ押しをしてくる。
「ほら、大竹とは学校でずっと一緒だろ? だから、休みの日くらいは、彼自身がゆっくりできる時間を上げた方が、長く付き合えるじゃないかな?」
「瞬と、長く付き合っていく……」
「そうだよ。大切にしてあげないと」
子宮からこみ上げる感覚が天音の思考を妨げていた。
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