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第19話 接吻 〜天音〜 3
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声がどうなほどだった。
確かに、その通りだ。
『私が瞬の時間を、い~っぱい食べちゃってるよね』
何しろ夜中までチャットも電話もしちゃってる。その上、朝、お弁当まで作ってくれてるのだ。そのくせ、翌日にはデータを解析してアドバイスをしてくれたり、新しいトレーニングを教えてくたりしている。
つまりは、天音と一緒に使う時間よりも、さらに膨大な時間を自分のために使わせてしまっている。
『瞬てば、いつ勉強してるんだろう? 私が邪魔してるの? このままで行ったら瞬の生活は辛くなっちゃうかな?』
天音の反応を健は十分に見極めていた。
「少し、思い当たることがありそうだね」
「うん」
さすが健だ。ちゃんと、そういうところも考えてくれるなんて。
このまま迷惑をかけていったら、いつか嫌われてしまうかもしれない。それだけはダメだ。我慢しないと。
ゆっくりと背中を撫でながら何も言わなかったのは、天音の反省が染みこむ時間を読み込んでいたかのようだ。
「大竹は天音にとって大切なんだよな?」
「当たり前じゃん」
「オレを嫌いではないんだろ?」
「そうだけど」
「じゃあ、天音は大竹を大切にして、大竹も天音を大切にして、そしてオレも天音を大切にしたい。天音も大竹の時間を大切にしてあげて、オレには優しさを半分だけ分けてくれれば良い。どう? 今までと同じだろ?」
半分だけ優しくしてあげる? それだけで、今のままなの?
だけど、それって調子よすぎないだろうか?
「なぁ、天音。君が好きだ。優しさを半分だけ分けてくれ」
スッとあごに手を添えられた。その意味がとっさにわかりながら、天音は手を振りほどけなかった。
頭にあったのは「振り払ったら健は傷つく」という言葉。けれども、それが本当なのかは別のこと。
幼なじみの唇が重なってくるのがわかっていたのに逃げられない。避ければ、決定的に健を傷付けてしまうから。
『こんな私が、今さら、健を傷付けて良いはずがないの』
唇が重なってしまった。
確かに、その通りだ。
『私が瞬の時間を、い~っぱい食べちゃってるよね』
何しろ夜中までチャットも電話もしちゃってる。その上、朝、お弁当まで作ってくれてるのだ。そのくせ、翌日にはデータを解析してアドバイスをしてくれたり、新しいトレーニングを教えてくたりしている。
つまりは、天音と一緒に使う時間よりも、さらに膨大な時間を自分のために使わせてしまっている。
『瞬てば、いつ勉強してるんだろう? 私が邪魔してるの? このままで行ったら瞬の生活は辛くなっちゃうかな?』
天音の反応を健は十分に見極めていた。
「少し、思い当たることがありそうだね」
「うん」
さすが健だ。ちゃんと、そういうところも考えてくれるなんて。
このまま迷惑をかけていったら、いつか嫌われてしまうかもしれない。それだけはダメだ。我慢しないと。
ゆっくりと背中を撫でながら何も言わなかったのは、天音の反省が染みこむ時間を読み込んでいたかのようだ。
「大竹は天音にとって大切なんだよな?」
「当たり前じゃん」
「オレを嫌いではないんだろ?」
「そうだけど」
「じゃあ、天音は大竹を大切にして、大竹も天音を大切にして、そしてオレも天音を大切にしたい。天音も大竹の時間を大切にしてあげて、オレには優しさを半分だけ分けてくれれば良い。どう? 今までと同じだろ?」
半分だけ優しくしてあげる? それだけで、今のままなの?
だけど、それって調子よすぎないだろうか?
「なぁ、天音。君が好きだ。優しさを半分だけ分けてくれ」
スッとあごに手を添えられた。その意味がとっさにわかりながら、天音は手を振りほどけなかった。
頭にあったのは「振り払ったら健は傷つく」という言葉。けれども、それが本当なのかは別のこと。
幼なじみの唇が重なってくるのがわかっていたのに逃げられない。避ければ、決定的に健を傷付けてしまうから。
『こんな私が、今さら、健を傷付けて良いはずがないの』
唇が重なってしまった。
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