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第16話 世界が全て敵になっても 4
しおりを挟む胸を叩くと、プルルンと揺れる。見事な弾力に、思わず目が行ってしまうのは男の子だ。
「ほら、嫌なことがあったときは、良いんだよ。私にぶつけて? ふふふ。こ~んなに元気じゃん!」
天音の右手が「元気」を確かめるようにゆっくりとこすり上げてくる。
たとえ悪夢から覚めたのであろうとも、寝起きの男の子であった。
「ね? すっごく気持ち良かった。もう一回、してくれる?」
それは、瞬の気持ちを軽くするためのおねだりであったのだろう。さすがに、恥ずかしいのか、頬がポッと赤くなる。こういう所は、何度セックスしてきても、純情な女の子なんだと思う。
確実に、瞬も、慣れては来た。しかし、男として気になるのは「自分がどうなのか」ということ。おそらく「前の男」は中学時代の教師のはず。だとしたら、遙かに年上だ。
『きっと、オレよりも経験値があって、上手だったんだろ?』
恋人の記憶には、比較されるべき相手がいるのだと思うと、どうしても自分がどう思っているのか気になるのは当然だった。
身体を重ねる直前に顔を寄せて、瞬は思い切って尋ねる。
「なあ、オレってどうなの?」
「なにが?」
ニヘラッと、幼さの見える笑顔で見上げる。
「えっと、あの、オレのは…… オレとするのって、どうなんだよ?」
「何が?」
聞かれてる意味がわからないらしい。キョトンとした顔だ。
「いや、だからぁ、オレって、下手かな? なんか早い気もするし」
「え? ステキだよ? 夢中になっちゃって恥ずかしいくらいだもん。あ、私のこと、エッチだって思わないでよ? 好きな人がステキ過ぎるのがいけないんだからね?」
そこに偽りを言ってる表情も、無理している様子も見つけられなかった。
「そんなこといいから、さ。瞬が来てくれたら、それで嬉しいんだから。ね?」
しかし天音は気付いていなかった。男が女に自分のことを聞くとき、自然と「前の男」との比較をさせようとしてしているのだということを。
女にとって、いや天音の中では「前の男」は既に過去。今の「最高の人」と比較なんてできるはずがないのだ、ということを瞬は知らなかったのだ。
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