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第16話 世界が全て敵になっても 1
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夢を見ていた。
病院のベッドの上だ。
『これは、あの事故から最初に目を覚した時か』
夢だと分かっていても、夢ではないのが夢の中の現実だ。
オレが起きるのを待っていたかのように二人連れの警察官が顔を覗き込んできた。まだ、自分の手術の結果も聞いてなかったんだっけ。
若い方の警察官は、首から提げた画板に載せた書類に何かを必死に書き取っている。
若い方が必死に書き取っている間に、年配の警察官は、やおら頭が説教モードになったらしい。
「ふむ。子どもを助けるためだと言うのはわかるよ。だがね、君が、ふざけて飛び出そうと、善意で飛び出そうと、わからんけどね、猛スピードで下ってきた自転車の前に飛び出したら危ないことくらいはわかるよね?」
「じゃあ、どうしたらよかったんですか!」
「どうしたらよかったかと言うのは後の話だろ。しちゃいけないことをするのはダメだと思わないか?」
「助けるためには仕方がなかったんですよ」
「だけど、しちゃダメだってことは考えないの?」
「だ、か、ら! 助けるために、とっさにしたことなんです!」
「うーん、君が言うとおり自転車は車と事故を起こしたかもしれないね。それを助けようとしたと君は主張してる。それを認めた上で聞いてるわけだよ。自分が自転車と事故を起こして良いと思うわけ?」
「だ、か、ら!」
頭の硬い警察め! 語気が荒くなったのをしかりつけるように若い警官が口を挟んだ。
「助けるため、助けるためって言ってっけどさ」
年配の警察官がとっさに目で制そうとした。あの時の、狼狽した年配の警察官の顔は忘れられない。
若い警察官は、投げ捨てるように言った。
「結果的に、君との事故であの子は死んじゃったんだよ。助けてねぇだろ?」
「え?」
年配の方が「遅かった」という顔で天を仰いだ。
若い警察官は、事故の大手術から目覚めたばかりの中学生に「お前の起こした事故で人が死んだんだ」と突きつけたわけだ。
ショックがデカいのは当然だった。
病院のベッドの上だ。
『これは、あの事故から最初に目を覚した時か』
夢だと分かっていても、夢ではないのが夢の中の現実だ。
オレが起きるのを待っていたかのように二人連れの警察官が顔を覗き込んできた。まだ、自分の手術の結果も聞いてなかったんだっけ。
若い方の警察官は、首から提げた画板に載せた書類に何かを必死に書き取っている。
若い方が必死に書き取っている間に、年配の警察官は、やおら頭が説教モードになったらしい。
「ふむ。子どもを助けるためだと言うのはわかるよ。だがね、君が、ふざけて飛び出そうと、善意で飛び出そうと、わからんけどね、猛スピードで下ってきた自転車の前に飛び出したら危ないことくらいはわかるよね?」
「じゃあ、どうしたらよかったんですか!」
「どうしたらよかったかと言うのは後の話だろ。しちゃいけないことをするのはダメだと思わないか?」
「助けるためには仕方がなかったんですよ」
「だけど、しちゃダメだってことは考えないの?」
「だ、か、ら! 助けるために、とっさにしたことなんです!」
「うーん、君が言うとおり自転車は車と事故を起こしたかもしれないね。それを助けようとしたと君は主張してる。それを認めた上で聞いてるわけだよ。自分が自転車と事故を起こして良いと思うわけ?」
「だ、か、ら!」
頭の硬い警察め! 語気が荒くなったのをしかりつけるように若い警官が口を挟んだ。
「助けるため、助けるためって言ってっけどさ」
年配の警察官がとっさに目で制そうとした。あの時の、狼狽した年配の警察官の顔は忘れられない。
若い警察官は、投げ捨てるように言った。
「結果的に、君との事故であの子は死んじゃったんだよ。助けてねぇだろ?」
「え?」
年配の方が「遅かった」という顔で天を仰いだ。
若い警察官は、事故の大手術から目覚めたばかりの中学生に「お前の起こした事故で人が死んだんだ」と突きつけたわけだ。
ショックがデカいのは当然だった。
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