47 / 141
第16話 世界が全て敵になっても 1
しおりを挟む
夢を見ていた。
病院のベッドの上だ。
『これは、あの事故から最初に目を覚した時か』
夢だと分かっていても、夢ではないのが夢の中の現実だ。
オレが起きるのを待っていたかのように二人連れの警察官が顔を覗き込んできた。まだ、自分の手術の結果も聞いてなかったんだっけ。
若い方の警察官は、首から提げた画板に載せた書類に何かを必死に書き取っている。
若い方が必死に書き取っている間に、年配の警察官は、やおら頭が説教モードになったらしい。
「ふむ。子どもを助けるためだと言うのはわかるよ。だがね、君が、ふざけて飛び出そうと、善意で飛び出そうと、わからんけどね、猛スピードで下ってきた自転車の前に飛び出したら危ないことくらいはわかるよね?」
「じゃあ、どうしたらよかったんですか!」
「どうしたらよかったかと言うのは後の話だろ。しちゃいけないことをするのはダメだと思わないか?」
「助けるためには仕方がなかったんですよ」
「だけど、しちゃダメだってことは考えないの?」
「だ、か、ら! 助けるために、とっさにしたことなんです!」
「うーん、君が言うとおり自転車は車と事故を起こしたかもしれないね。それを助けようとしたと君は主張してる。それを認めた上で聞いてるわけだよ。自分が自転車と事故を起こして良いと思うわけ?」
「だ、か、ら!」
頭の硬い警察め! 語気が荒くなったのをしかりつけるように若い警官が口を挟んだ。
「助けるため、助けるためって言ってっけどさ」
年配の警察官がとっさに目で制そうとした。あの時の、狼狽した年配の警察官の顔は忘れられない。
若い警察官は、投げ捨てるように言った。
「結果的に、君との事故であの子は死んじゃったんだよ。助けてねぇだろ?」
「え?」
年配の方が「遅かった」という顔で天を仰いだ。
若い警察官は、事故の大手術から目覚めたばかりの中学生に「お前の起こした事故で人が死んだんだ」と突きつけたわけだ。
ショックがデカいのは当然だった。
病院のベッドの上だ。
『これは、あの事故から最初に目を覚した時か』
夢だと分かっていても、夢ではないのが夢の中の現実だ。
オレが起きるのを待っていたかのように二人連れの警察官が顔を覗き込んできた。まだ、自分の手術の結果も聞いてなかったんだっけ。
若い方の警察官は、首から提げた画板に載せた書類に何かを必死に書き取っている。
若い方が必死に書き取っている間に、年配の警察官は、やおら頭が説教モードになったらしい。
「ふむ。子どもを助けるためだと言うのはわかるよ。だがね、君が、ふざけて飛び出そうと、善意で飛び出そうと、わからんけどね、猛スピードで下ってきた自転車の前に飛び出したら危ないことくらいはわかるよね?」
「じゃあ、どうしたらよかったんですか!」
「どうしたらよかったかと言うのは後の話だろ。しちゃいけないことをするのはダメだと思わないか?」
「助けるためには仕方がなかったんですよ」
「だけど、しちゃダメだってことは考えないの?」
「だ、か、ら! 助けるために、とっさにしたことなんです!」
「うーん、君が言うとおり自転車は車と事故を起こしたかもしれないね。それを助けようとしたと君は主張してる。それを認めた上で聞いてるわけだよ。自分が自転車と事故を起こして良いと思うわけ?」
「だ、か、ら!」
頭の硬い警察め! 語気が荒くなったのをしかりつけるように若い警官が口を挟んだ。
「助けるため、助けるためって言ってっけどさ」
年配の警察官がとっさに目で制そうとした。あの時の、狼狽した年配の警察官の顔は忘れられない。
若い警察官は、投げ捨てるように言った。
「結果的に、君との事故であの子は死んじゃったんだよ。助けてねぇだろ?」
「え?」
年配の方が「遅かった」という顔で天を仰いだ。
若い警察官は、事故の大手術から目覚めたばかりの中学生に「お前の起こした事故で人が死んだんだ」と突きつけたわけだ。
ショックがデカいのは当然だった。
1
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。




今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる