辛かったけど真の彼女ができました

新川 さとし

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第14話 夏休み 1

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 夏休みに入って、部活は一斉に「夏休みモード」に入った。

 合宿に、夏休みならではの練習会に、練習試合が山のように待っている。

 つまり、普通の運動部なら全力での活動が始まる時期となる。

 ところが天音の元気がなかった。

『どうしたんだろう? 生理か? いや、違うな。終わったばかりだ」

 天音の家は生理にオープンな家らしい。初潮の時から親に喋っていたせいか、生理になったことを瞬にもあけすけに喋ってくれる天音だ。

 その辺りは妹のいる家庭で育った瞬にとっては羨ましくある。といっても、生理の話を堂々とするのは、恋人としての肉体関係がありになった証でもある。

 生理の時は「今できないけども」と正直に言ってくれる天音は恋人のそういう部分にとても理解がある。だから「お口でしたいな」と、あたかも自分の希望のように申し出てくれる優しさを持っていたのだ。

 自分だけが恋人の優しさにつけ込んで肉欲を解消するみたいで、瞬としては申し訳ない気がするのだが、どうやら天音は逆らしい。むしろ、率直に頼んでくれた方が嬉しいというのは、本音らしい。

 このあたりは、妙な思い込みみたいな感じで「男性は欲望を満たさないと満足しない」と天音は考えているらしい。そんなところに、チラリと「前の男の影」をみる気がしてモヤるのだが、そこは言葉にしないのがオヤクソクというものだ。

 ともかく、天音の生理と今の元気のなさは関係ないと断言できるのは良かった。

『美紅は絶対に喋んないもんなぁ。そのくせ察しろとが無理言うし』

 妹への愚痴はともかく、問題は天音である。

『マッサージの時にでも聞いてみるか』

 そんな風に考えたのはワケがある。

 練習の解散風景は、当たり障りのない、けれども内容のない健の言葉でシメられる。

「もうすぐ合宿です。体調と準備を各自整えること。かいさ~ん」
「ありがと~ ございました~」

 独特の抑揚を付けて一斉に挨拶をしての終了。

 本来なら、トレーニング後のマッサージをするべきところだ。もちろん部員同士では雑な「ダウン」をしているが、それを見ているのが瞬にはもどかしい。

『もうちょっと、真剣にやってくれると疲労回復と故障予防ができるのに』

 特に女子なんて、自分に身体を触れさせるのが嫌なら、やり方だけでも覚えろよと思う。「マッサージ」である以上、身体のあちこちに触れることになるから、女子が嫌がるのは十分理解できる瞬だ。

 今のところ、マッサージを希望者するのは天音だけ。

 陽菜はして欲しそうだったが、女の子同士の関係があるのと「陽菜だけ」をマッサージすると、正直、天音の機嫌が悪くなるのが目に見えていたので、希望してくることはなかったのだ。
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