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第13話 苦手なもの 3
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瞬は笑顔を見せて言った。
「大丈夫。もっともっと伸びてもおかしくないからね」
瞬は話の流れに乗って強引に話題を引き戻したのだ。
陽菜はホッとしつつも顔が真っ赤だ。
ついやってしまったこととは言え、男性の腕を抱きかかえるなんてはしたない。まして彼女さんの目の前だ。彼女さんに怒られても仕方がないことだと理解したのだ。
天音はとりあえず邪魔者を排除しつつ、彼氏を守った体だ。
クルン。
天音はカレカノの顔になると、瞬の腕に身体をくっつけるようにして立った。
「ね、瞬、気分直しにカラオケ行かない?」
「ごめん。カラオケは苦手でさ」
「へぇ~ 瞬にも苦手なことってあったんだ?」
万能の彼氏という認識が日増しに強くなっているだけに、本当に意外だ。
「そりゃあるでしょ、苦手なものくらい」
「ね! ね! ほかにはないの?」
「え? 何が?」
「苦手なモノって」
「そうだなぁ、カラオケ以外だと、う~ん、あ、そうだ、オレって意外ときれい好きなんだよ」
「あ、そうだよね。部室も、瞬が来てから、ものスゴ~く綺麗になったもん。ね?」
後輩に話を振ったのは、さっきのことを水に流すという意思表示だ。彼に手を出さない限り仲間外れにするつもりなど、始めからない。
そこからは天音を挟むように三人で並んで歩いた。瞬が気を利かせた位置取りだ。天音もニコニコしている。
「そうですよ! スゴく綺麗なりました。でも、それで。苦手なモノって?」
「あ、それはね、汚い場所が苦手なんだよ。落ち着かないじゃん」
「わ~ 先輩らしいです」
「そうだよね、瞬はキレイ好きだもんね、あ、私も部屋は綺麗にしてるつもりだよ? ね、瞬?」
意図してかどうかはわからぬが「彼は私のお部屋に来たことがあるの」というささやかなマウントだった。
「大丈夫。もっともっと伸びてもおかしくないからね」
瞬は話の流れに乗って強引に話題を引き戻したのだ。
陽菜はホッとしつつも顔が真っ赤だ。
ついやってしまったこととは言え、男性の腕を抱きかかえるなんてはしたない。まして彼女さんの目の前だ。彼女さんに怒られても仕方がないことだと理解したのだ。
天音はとりあえず邪魔者を排除しつつ、彼氏を守った体だ。
クルン。
天音はカレカノの顔になると、瞬の腕に身体をくっつけるようにして立った。
「ね、瞬、気分直しにカラオケ行かない?」
「ごめん。カラオケは苦手でさ」
「へぇ~ 瞬にも苦手なことってあったんだ?」
万能の彼氏という認識が日増しに強くなっているだけに、本当に意外だ。
「そりゃあるでしょ、苦手なものくらい」
「ね! ね! ほかにはないの?」
「え? 何が?」
「苦手なモノって」
「そうだなぁ、カラオケ以外だと、う~ん、あ、そうだ、オレって意外ときれい好きなんだよ」
「あ、そうだよね。部室も、瞬が来てから、ものスゴ~く綺麗になったもん。ね?」
後輩に話を振ったのは、さっきのことを水に流すという意思表示だ。彼に手を出さない限り仲間外れにするつもりなど、始めからない。
そこからは天音を挟むように三人で並んで歩いた。瞬が気を利かせた位置取りだ。天音もニコニコしている。
「そうですよ! スゴく綺麗なりました。でも、それで。苦手なモノって?」
「あ、それはね、汚い場所が苦手なんだよ。落ち着かないじゃん」
「わ~ 先輩らしいです」
「そうだよね、瞬はキレイ好きだもんね、あ、私も部屋は綺麗にしてるつもりだよ? ね、瞬?」
意図してかどうかはわからぬが「彼は私のお部屋に来たことがあるの」というささやかなマウントだった。
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