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第12話 悪評 3
しおりを挟む自転車をグラウンドに持ちこんだ。
ハンドル部分にスマホを固定して後ろから追いかける。自転車を使ったとしても、なにしろ瞬は片足でしか漕げない。膝も痛くなるし、体力だって消耗して、とってもとっても大変だったが、それなりに成果はあった。
チェックすべき部分をリスト化しておき、本人にビデオを見せながらのレクチャー。
効果覿面。
おかげで、このところは5千のタイムが走る度に更新されている。今では1年生で断トツ・トップになったし、このまま行けば、来年までにインターハイの基準タイムを超える! という期待までもたれるほどだ。
陽菜のステータスは急上昇中。陸上の子によくあるようなウルフカットにも似たショートヘアが特徴のため、男女どちらからも人気が出ている。
対して瞬には「ついに自転車で女の尻を追っかけて、動画を撮ってるキモ男」という悪評が立ってしまった。ウワサだからと放置していたため、教師に呼び出されたのが、今日のこと。
部活の終わった後に職員室に寄るハメになったのだ。
職員室の小部屋に呼ばれて、既に40分は経っている。
「じゃあ、どうしても猥褻行為だと認めないと言うことだな?」
「ですから、さっきの先生にも説明しましたけど、フォームがですね……」
一人の教師に説明して納得させる。「ちょっと待ってろ」と言われて教師が職員室に戻る。しばらくすると他の教師がやってくる。
その度にイチから説明することを繰り返して、もう四度目だ。
いい加減「同じ事を何度も説明しているんですけど」と怒りを溜めつつも『先生も仕事だしな』と表情には出さないように努力していた。
しかし、である。とうとう我慢の限度に届きかけていた。
「大竹。お前は優等生だが、ただでさえいろいろと良くない噂が立ってる。そのあたりも含めて聞いているんだが、お前の説明は上手すぎてね、何か特別なやり方で騙しているんじゃないかって疑惑があるんだよ。催眠術でも使っているのかね?」
ビックリした。五人目に出てきた担任は大真面目で、そう言ったのだ。
「なんですか、それ?」
瞬の帰りは遅くなりそうだった。
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