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第12話 悪評 2
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菅野陽菜の喜んでいる顔がまぶしい。
『やっぱり上手くいったな』
瞬のコーチングの成果だ。
本来、直接の指導をするのは健との約束違反となる。瞬もそのあたりはわりと律儀に約束を守っている。チームワークを第一に考えるバスケの世界にいただけに、後から入ってきた部外者が口を出せば、上手くいかなくなることくらいはわかるつもりだからだ。
陽菜のコーチングに関わったのは偶然だ。陽菜がたまたま天音にアドバイスを求めた時に瞬が通りかかった。運命だったのだろう。天音は当然のように「見てあげて」と頼んだし、瞬にとっては天音に頼まれた以上、いっさいの嫌はない。
その結果が、キャプテンに内緒のコーチングだった。もともとの分析も勉強もある程度は出来ていたし、メンタルや基礎トレまで含めてアドバイスした。
陽菜は筋肉がつきにくい細身だ。短距離は体格的に限界がある。そう思った彼女は高校から中長距離に転向した。ところがなまじ中学時代に短距離の記録を出していたため、フォームにクセが残って伸び悩んでいた。
そこで瞬の出番となったわけだ。
確かにスピードは持っているが消耗も早い。短距離と長距離では走り方の基礎は同じでも、それなりに違いはある。そこでフォームを微修正してあげれば、トータルでは圧倒的に速くなることを瞬は見抜いていたのだ。
「そもそも菅野さんの走りはフラット走法と呼ばれる走り方でさ。時代は厚底シューズ全盛だろ? その走りは時代にピタリと合っているはずだからね。君はもっともっと伸びるはずさ」
そんな風に励まして、後は癖を修正すれば良い。
それには陽菜自身が自分のフォームを見つめるのが一番だ。ビデオで撮ろう。それを見ればわかるだろ、と作戦を立てたのは良い。
しかし女子とは言え陸部有数のスピードを持った選手に、今の瞬が伴走しながら撮影するのは不可能だ。そこで考えたのは「自転車」作戦だった。
『やっぱり上手くいったな』
瞬のコーチングの成果だ。
本来、直接の指導をするのは健との約束違反となる。瞬もそのあたりはわりと律儀に約束を守っている。チームワークを第一に考えるバスケの世界にいただけに、後から入ってきた部外者が口を出せば、上手くいかなくなることくらいはわかるつもりだからだ。
陽菜のコーチングに関わったのは偶然だ。陽菜がたまたま天音にアドバイスを求めた時に瞬が通りかかった。運命だったのだろう。天音は当然のように「見てあげて」と頼んだし、瞬にとっては天音に頼まれた以上、いっさいの嫌はない。
その結果が、キャプテンに内緒のコーチングだった。もともとの分析も勉強もある程度は出来ていたし、メンタルや基礎トレまで含めてアドバイスした。
陽菜は筋肉がつきにくい細身だ。短距離は体格的に限界がある。そう思った彼女は高校から中長距離に転向した。ところがなまじ中学時代に短距離の記録を出していたため、フォームにクセが残って伸び悩んでいた。
そこで瞬の出番となったわけだ。
確かにスピードは持っているが消耗も早い。短距離と長距離では走り方の基礎は同じでも、それなりに違いはある。そこでフォームを微修正してあげれば、トータルでは圧倒的に速くなることを瞬は見抜いていたのだ。
「そもそも菅野さんの走りはフラット走法と呼ばれる走り方でさ。時代は厚底シューズ全盛だろ? その走りは時代にピタリと合っているはずだからね。君はもっともっと伸びるはずさ」
そんな風に励まして、後は癖を修正すれば良い。
それには陽菜自身が自分のフォームを見つめるのが一番だ。ビデオで撮ろう。それを見ればわかるだろ、と作戦を立てたのは良い。
しかし女子とは言え陸部有数のスピードを持った選手に、今の瞬が伴走しながら撮影するのは不可能だ。そこで考えたのは「自転車」作戦だった。
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