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第11話 策略 ~健~ 1
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元々、天音とは仲が良かった。好きな食べ物も同じだったり、遊ぶときだって妙に気が合ったし。足の速いことも同じで、小学校との時なんて、学級対抗リレーの常連だった。
うちの両親も、天音の両親も一緒になってオレ達を応援してくれたっけ。そして、運動会が終われば、お隣と一緒になって「祝勝会」だと言って、一緒に晩ご飯を食べるのも、その日にどっちかの家にお泊まりするのも、お決まりのことだった。
子どもの頃から、オレと天音、そして渉は一つ家の兄妹みたいなものだった。
しかも、中学3年の時期に、天音には特別な事情ができたんだ。
天音の父親が急に出て行って家の中が荒れ模様になった。あれだけ優しくて真面目そうなお父さんが急に出て行くなんて思わなかった。そして母親は冷たい目になっていた。
今になって分かるけど、あれはおそらく、お父さんの浮気だったんだろう。
玄関先で土下座してる父親の姿が最後だったってのが近所の噂だった。
わからないもんだよな。あんなに子煩悩で、天音をちょくちょく旅行に連れて行っては、ウチにもお土産をくれた良い人だってのに。
そもそも、渉と一緒になって年中お泊まりしたり、されたりの関係だった。三人でお風呂に入るのだって当たり前。ホントの兄妹以上に仲が良かったんだ。
オレ達の両親も、天音の両親も結婚してすぐに建て売りのこの家に越してきたらしい。ベランダがくっつくようにして建てられた二軒は、構造まで同じだった。
当然のように、うちの両親と天音の両親は、すぐに仲良くなったのだとか。
親父は良く言っていた。
「オレが出張がちなだけに、松永さんと仲良くなったのは心強かったよ」
両家は健達が生まれる前から家族ぐるみの付き合いだったわけだ。
それぞれの家には長男と長女が同じ時期に生まれた。だから、オレと天音が仲良しになるのも当然だっただろう。
オジさんもオバさんも、あの頃は優しかったよなぁ~
ただ、オバさんは、もともと仕事が忙しい人だった。しょっちゅう遅くなったし、家に帰ってこない日だって珍しくなかったから、あれじゃあ、オジさんだって浮気したくなるんじゃないの?
「健君のママには、ずいぶんお世話になったんだよ。ウチのが帰って来ないときは、よく晩ご飯を作りに来てもらったんだ。スゴく優しくてね。いろいろお世話してもらった。今でも本当に感謝してるんだ」
そんな風にしみじみと言われたことも二度や三度ではなかった。
でも、天音の親との交流がなくなったのは、ちょうど渉の事故があった後だよ。オジさんの顔をいつの間にか見なくなったのと、オバさんの顔が鬼のようになっていたことだけは確かだった。
うちの両親も、天音の両親も一緒になってオレ達を応援してくれたっけ。そして、運動会が終われば、お隣と一緒になって「祝勝会」だと言って、一緒に晩ご飯を食べるのも、その日にどっちかの家にお泊まりするのも、お決まりのことだった。
子どもの頃から、オレと天音、そして渉は一つ家の兄妹みたいなものだった。
しかも、中学3年の時期に、天音には特別な事情ができたんだ。
天音の父親が急に出て行って家の中が荒れ模様になった。あれだけ優しくて真面目そうなお父さんが急に出て行くなんて思わなかった。そして母親は冷たい目になっていた。
今になって分かるけど、あれはおそらく、お父さんの浮気だったんだろう。
玄関先で土下座してる父親の姿が最後だったってのが近所の噂だった。
わからないもんだよな。あんなに子煩悩で、天音をちょくちょく旅行に連れて行っては、ウチにもお土産をくれた良い人だってのに。
そもそも、渉と一緒になって年中お泊まりしたり、されたりの関係だった。三人でお風呂に入るのだって当たり前。ホントの兄妹以上に仲が良かったんだ。
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当然のように、うちの両親と天音の両親は、すぐに仲良くなったのだとか。
親父は良く言っていた。
「オレが出張がちなだけに、松永さんと仲良くなったのは心強かったよ」
両家は健達が生まれる前から家族ぐるみの付き合いだったわけだ。
それぞれの家には長男と長女が同じ時期に生まれた。だから、オレと天音が仲良しになるのも当然だっただろう。
オジさんもオバさんも、あの頃は優しかったよなぁ~
ただ、オバさんは、もともと仕事が忙しい人だった。しょっちゅう遅くなったし、家に帰ってこない日だって珍しくなかったから、あれじゃあ、オジさんだって浮気したくなるんじゃないの?
「健君のママには、ずいぶんお世話になったんだよ。ウチのが帰って来ないときは、よく晩ご飯を作りに来てもらったんだ。スゴく優しくてね。いろいろお世話してもらった。今でも本当に感謝してるんだ」
そんな風にしみじみと言われたことも二度や三度ではなかった。
でも、天音の親との交流がなくなったのは、ちょうど渉の事故があった後だよ。オジさんの顔をいつの間にか見なくなったのと、オバさんの顔が鬼のようになっていたことだけは確かだった。
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