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第8話 苦味 3【R18】
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前の彼氏と比べて、自分のセックスはどうだったのか。
『そんなことを気にするなんて、あまりにも情けなくないか? 天音だって、前のヤツの方が良いなんて言えないのに。天音が知ってる男は、オレなんかよりも遙かにセックスが上手いのでは? どこの、どんな奴が天音を気持ち良くしたんだよ』
男として聞くに聞けないのはヘンなプライドかもしれない。だが、現実に瞬の口を固めてしまったのである。
恐らく全ての疑問を一点に集約すれば「いったい誰とセックスしていたんだ?」ということに尽きるのだろう。
天音が先に何かを察してくれた。
「やっぱり気になるよね。あのね、ごめんなさい。相手は言えないの。でも一人だけだよ。それに、その人とはもう絶対会わないし、もちろん二度としないわ? 今は瞬だけ。それじゃ、ダメかな?」
過去のことだ。そいつがどんな男なのか、いつだったのかは、男として猛烈に気になるが、天音が正直に告白してくれたことの方が瞬にとっては大切だと思えた。
「過去のことだろ? 今の君が好きだから」
「ありがとう」
そいつは、オレよりも上手なのかということは、もちろん聞くに聞けない。しかし、たった今「女」を知ったばかりの瞬には「天音は、そんなことをちっとも気にしてない」という事実に気付けない。
確かに、天音の肉体に刻まれているセックスの快感は、もっともっと大きい。しかし愛する人と結ばれた幸せは、肉体の快感なんかよりも、女の子として遙かに大事なコトだったという現実を、瞬は知らなかった。
だから、もしも瞬に「オレとのセックスが気持ち良かったのか」と聞かれていてら、天音は自信を持って、そして100パーセント本気で「ハイ」と答えるはずだった。
そんな女心がわかるほど、瞬には経験が無い。
しかし、ただ一つ。
腕の中にいる恋人が、心から満足して自分を抱きしめていることだけは理解できたのである。
どっちからだっただろうか。恐らくお互いが求めたのだろう。深い深いキス。
「え?」
天音は、受け入れている身体が、再び可能になった気配を察したのだ。
目を丸くして見上げる恋人に、瞬は自分のガッツキぶりが恥ずかしくなる。
「ごめん」
「ううん。ぜんぜんいいの。ビックリしただけ。むしろ嬉しいからね? すご~い。連続で出来ちゃうんだ~」
そこにあるのは、九分の喜びと一分の驚きを載せた表情だった。
天音が密かに心配していた「これでガッカリされる」ことよりも、相手が自分を必要としてくれたという喜びが大きかった。
そして密かな『こんなに早く回復するんだ?』という驚き。もちろん、こうなった男性が何をしたいのか、天音はよくわかっている。
「ね? よかったら、もっとして? 何回でも大丈夫だから。瞬がしたいだけしてくれたら、私、嬉しいんだから」
そんな健気なセリフの裏側に言うに言えない言葉があったことに瞬は気付かない。
恋人と抱き合いながら、天音が胸にしまった言葉だ。
「こんなに汚れた身体で良かったら、好きなだけ気持ち良くなって。いっぱい使ってくれて良いんだよ」
幸せいっぱいの瞬が気付くはずもなかった。
『そんなことを気にするなんて、あまりにも情けなくないか? 天音だって、前のヤツの方が良いなんて言えないのに。天音が知ってる男は、オレなんかよりも遙かにセックスが上手いのでは? どこの、どんな奴が天音を気持ち良くしたんだよ』
男として聞くに聞けないのはヘンなプライドかもしれない。だが、現実に瞬の口を固めてしまったのである。
恐らく全ての疑問を一点に集約すれば「いったい誰とセックスしていたんだ?」ということに尽きるのだろう。
天音が先に何かを察してくれた。
「やっぱり気になるよね。あのね、ごめんなさい。相手は言えないの。でも一人だけだよ。それに、その人とはもう絶対会わないし、もちろん二度としないわ? 今は瞬だけ。それじゃ、ダメかな?」
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「過去のことだろ? 今の君が好きだから」
「ありがとう」
そいつは、オレよりも上手なのかということは、もちろん聞くに聞けない。しかし、たった今「女」を知ったばかりの瞬には「天音は、そんなことをちっとも気にしてない」という事実に気付けない。
確かに、天音の肉体に刻まれているセックスの快感は、もっともっと大きい。しかし愛する人と結ばれた幸せは、肉体の快感なんかよりも、女の子として遙かに大事なコトだったという現実を、瞬は知らなかった。
だから、もしも瞬に「オレとのセックスが気持ち良かったのか」と聞かれていてら、天音は自信を持って、そして100パーセント本気で「ハイ」と答えるはずだった。
そんな女心がわかるほど、瞬には経験が無い。
しかし、ただ一つ。
腕の中にいる恋人が、心から満足して自分を抱きしめていることだけは理解できたのである。
どっちからだっただろうか。恐らくお互いが求めたのだろう。深い深いキス。
「え?」
天音は、受け入れている身体が、再び可能になった気配を察したのだ。
目を丸くして見上げる恋人に、瞬は自分のガッツキぶりが恥ずかしくなる。
「ごめん」
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天音が密かに心配していた「これでガッカリされる」ことよりも、相手が自分を必要としてくれたという喜びが大きかった。
そして密かな『こんなに早く回復するんだ?』という驚き。もちろん、こうなった男性が何をしたいのか、天音はよくわかっている。
「ね? よかったら、もっとして? 何回でも大丈夫だから。瞬がしたいだけしてくれたら、私、嬉しいんだから」
そんな健気なセリフの裏側に言うに言えない言葉があったことに瞬は気付かない。
恋人と抱き合いながら、天音が胸にしまった言葉だ。
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幸せいっぱいの瞬が気付くはずもなかった。
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