20 / 141
第7話 甘美な時 2【R18】
しおりを挟む明日も、これで頑張れる!
それは、瞬だけの幸福ではなかったはずだ。
何回目のデートだっただろう。カフェに入る直前、天音が恥ずかしそうに袖を引いてきた。
「ね、今日、うちに来ない?」
ドキンとした。年頃の男の子にとって「彼女の家」は一つのビッグイベントだ。
「あ、大丈夫。ママはたぶん泊まりよ。私しかいないから緊張しないでね」
さらりと恐ろしいことを言う。
『信用されてるのか? それとも、これって誘われてるのか?』
彼女からの「家に居るのは私だけ」は、別の意味のお誘いであり得る。これもまた男の子の憧れの一つだ。
思わず、天音の顔を見ると、ほんのり頬が赤い。そういうことだ。
『いいんだよな?』
あの事故以来、自己肯定感が猛烈に低くなったとは言え、この表情を見て誤解をするほど鈍感ではない。
「わかった」
お互いの緊張が伝わって、だからこそ、さらに緊張してしまう。そこから天音の家まで何を話したか瞬は覚えてなかった。
覚えていることは限定的。
家に行くまでの恋人つなぎで、天音の手がヒンヤリしていたこと。だから『あ、天音も緊張しているんだ』と思ったこと。
そして、部屋に通されてから「シャワーしてくるね」と恥ずかしそうに言った時の可愛らしさとドキドキ感。
再登場した時の、パイル地のオフショルダーの部屋着で見えた肩口のドキリとする色気。日焼けした首の部分とドキッとするほど対照的な、胸元の白くて柔らかそうな肌。
サラッとした髪を流してはにかむ笑顔。
スズランの匂い。そして初めて触れる女の子の柔らかさ。
女の子の匂いに満たされたシングルベッドに二人が横になりながら、天音がさっきまでと少しだけ違ったトーンの緊張を見せた。
「あの、ガッカリしないって約束してくれる?」
奇妙な頼みではあったが、彼女との「初めて」を前にした男は、どんな約束だって飲むだろう。
コクコクコクと頷けば、ふわりと腕の中に可愛らしい身体が預けられる。
「瞬。大好き」
「好きだよ、天音」
オフショルダーのワンピースは、肩から容易に脱がせる。その時は気付かなかったが、女の子が初めての瞬に、気を遣ってくれたのだろう。
愛を確かめ合う恋人達に理屈も言葉もいらない。何度もお互いに「好き」と声に出しながら、ギュッと抱きしめ合った。
『柔らかい。いい匂いだ』
背中も、脚も、腕も、触れるところ全てに筋肉を感じるのに、途轍もない柔らかさを持っている。
「恥ずかしいよ」
顔を隠すが、全てを見つめる瞬を邪魔しようとはしなかった。窓からの日差しは、日焼けした部分と白いからとのコントラストをハッキリとさせている。
男を誘う魅惑的な弾力を見せつける膨らみの頂点では、待ち望むように桜色の先端が尖っていた。
3
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説


今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。



マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる