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第5話 距離 1
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もう10時を過ぎていた。
コン
天音の部屋の窓を軽く叩く音。
「あっ、いっけない」
エアコンをかけている。普段は開け放している窓もエアコンを効かせるために閉めていた。うっかりとカギも掛けてしまったらしい。
天音はパッと立ち上がると、ためらいなくカーテンと鍵を開けた。同時にサッシがスルッと開いて滑り込んできた長身。
何百回と繰り返されてきただけに、流れるような動きだ。
サッと窓を閉めながら「どうだった?」と聞いてきた。
二階堂健は自分の部屋にいるように自然体だ。部屋着姿の天音も何一つ気にすることなく笑顔で迎えた。
「ありがとう。うまくいったよ」
よかった、と言いながら当たり前のようにベッドにポンと座る。いつもの場所。
手慣れた動きで天音も並んで座わる。
深夜だ。女の子の部屋に男が入るなんてありえない。しかも窓からだ。
普通なら「事件」になる。たが、二人は兄妹のように子どもの頃から行き来している。お互いの家はベランダ越しに五十センチしか離れてない。
いつからか、こうして窓からお互いに訪れるのが当たり前のような感覚になっていた。
「今日の昼に話したんだよ?」
昼の顛末を得意そうに天音は話した。
カレカノのお昼ご飯がよほどうれしかったのだろう。心からの笑顔を浮かべながら、横に座る幼なじみの脚をペシペシとと叩いている。意図しているわけではなく、子どもの頃からの距離感のままの自然なボディタッチ。
「な? サンドイッチ作戦は上手くいっただろ?」
「う~ん、でもけっこう恥ずかしかったけどね。正直、健とするのと全然違う感じ」
子どもの頃から一緒の食卓に着くのは当たり前だ。おかずの交換も、互いのケーキの「味見」も普通にしてきた。兄妹のようなもので、そこに特別な感情は浮かばない。
コン
天音の部屋の窓を軽く叩く音。
「あっ、いっけない」
エアコンをかけている。普段は開け放している窓もエアコンを効かせるために閉めていた。うっかりとカギも掛けてしまったらしい。
天音はパッと立ち上がると、ためらいなくカーテンと鍵を開けた。同時にサッシがスルッと開いて滑り込んできた長身。
何百回と繰り返されてきただけに、流れるような動きだ。
サッと窓を閉めながら「どうだった?」と聞いてきた。
二階堂健は自分の部屋にいるように自然体だ。部屋着姿の天音も何一つ気にすることなく笑顔で迎えた。
「ありがとう。うまくいったよ」
よかった、と言いながら当たり前のようにベッドにポンと座る。いつもの場所。
手慣れた動きで天音も並んで座わる。
深夜だ。女の子の部屋に男が入るなんてありえない。しかも窓からだ。
普通なら「事件」になる。たが、二人は兄妹のように子どもの頃から行き来している。お互いの家はベランダ越しに五十センチしか離れてない。
いつからか、こうして窓からお互いに訪れるのが当たり前のような感覚になっていた。
「今日の昼に話したんだよ?」
昼の顛末を得意そうに天音は話した。
カレカノのお昼ご飯がよほどうれしかったのだろう。心からの笑顔を浮かべながら、横に座る幼なじみの脚をペシペシとと叩いている。意図しているわけではなく、子どもの頃からの距離感のままの自然なボディタッチ。
「な? サンドイッチ作戦は上手くいっただろ?」
「う~ん、でもけっこう恥ずかしかったけどね。正直、健とするのと全然違う感じ」
子どもの頃から一緒の食卓に着くのは当たり前だ。おかずの交換も、互いのケーキの「味見」も普通にしてきた。兄妹のようなもので、そこに特別な感情は浮かばない。
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