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第一章 無知な少女の成長記

修行後の師弟

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私たちはいつもお家の目の前にある開けた場所で修業をします。といっても森の中ではなく、師匠が作ったらしい空間なので、天気はマスターの師匠次第で、地形もひたすら緑が続いている平原です。


師匠のお家はこんな森でよく建てたなってくらい大きく、たくさんお部屋があって普通なら迷子になりそうです。この時ほど固有スキル【絶対記憶】の存在に心から感謝した事はありません。何の目印もなく異空間に繋がっている扉があるので覚えとかないとマジで死にます。扉の向こうがいきなり火口とか密林なんてこともありました。


そうそう元の空間にあるこの森は魔物がたくさんいるらしいのですが、結界に阻まれ近付くことすら出来ないそうなので一度も見たことはありません。結界は家の敷地内だけなんですが、その周りに幻術や防音の結界もあるそうで魔物を意識したことはありません。やっぱり魔物と言ったらゴブリンやワームとかなんでしょうか?




師匠のお家は可愛らしいレンガ造りの赤い屋根が特徴で、お部屋に飾られていた奥さんの姿絵からその方の趣味だったと思います。師匠は色々大雑把…大胆なので細やかな気遣いは無理だと思います。お庭には一年中魔法で咲かせている花や噴水、オブジェクトがあっていつみても美しいです。なんでもこれも奥さんが可愛がっていたお庭で、師匠がそのままに維持しているそうです。

裏手には錬金術や鍛冶をする工房や自給自足用の畑があります。師匠はたまに街に行って日用品を買うらしいのですが大体はこの畑や森、魔法で解決できるのそうでもう何十年も行ってないそうです。魔法が使えるようになったら引きこもり上級者…達人になれそうですね。


修行が終わった後はお風呂です!魔法が使える人は基本【浄化魔法】で済ませるらしく、お風呂は水浴び感覚で趣味で入る程度なんだそうです。ですが師匠の奥さんは生前お風呂が大好きだったようで、今は私が使わせてもらっています。


「ふひぇ~今日も疲れました。はぁ…あー痛い死ぬ…」


未だに魔力が細胞に浸食する間、絶え間なく激痛に襲われています。普通ならこのような痛みはないのですが、私は短期間で魔力を体に馴染ませようとしているので体が悲鳴…いや大絶叫しています。

まるで前世の幼少期、買ってもらった卵型の玩具を翌日壊した時のような叫びを細胞から感じます。あれは悲しかった…玩具と共に両親の信頼も失ってしまいました。それ以来、機械類を買ってもらうときは何度も大切にしなさいと言われましたね。

はぁぁぁ、…なんてことを考えて誤魔化してますが、一日の大半痛みを我慢しないといけないストレスでハゲそうです。








お風呂か上がった後はご飯です。まだ魔法の調節もろくにできないチビッ子にはキッチンに立つ資格はなく師匠の健康的な色の夕飯を頂きます。ふぐぅぅう…す、凄く長生き出来そうな味です。ただお肉はおいしいです。魔物のお肉を魔法で熟成させるそうでお肉料理だけなら師匠は一流の料理人です。まぁただお肉が美味しいだけかもしれないのは言わぬが花ですね。


「そういえば今更ですが魔力増幅訓練しないんですか?手合せ中以外は魔法を使ってもダメなんて。」


なんで今聞くかというと、ミンチのなった数時間後から今も一日中激痛が続いてこんな会話も困難だったんですよね。最近はこの痛みにも慣れて人間らしい生活を送っていますが、本当についこの前までゾンビのような動きで唸っていましたから。

「それは魔力が身体に馴染んでからじゃな。修復された細胞に魔力が浸透している間は激痛が伴うじゃろ?そんな中体内の魔力の流れを変えればよく耐えているルークも流石に失神するじゃろうな。それに今やっても大して効果は出んから、この訓練が終わってからにしたほうがいいじゃろうよ。」

「そうなんですか。それではあとどれくらいでで浸食率100%になりますか?もうかなりぐちゃぐちゃになりましたよ。」


出来るならあと数回で終わってもらいたいです。激痛の中平然としていないといけないなんて並みの拷問よりも遥かに苦しいと思います。今も何とか引きつりそうな顔を抑えている状態で表情筋がガチムチのマッチョになりそうです。


「どれ…。ほぉ、あと一、二回というところじゃな。」


師匠は目を閉じて魔眼を使います。私はまだ使えないので閉じる必要はないのですが、師匠は魔眼だとそうなので瞼を閉じているそうです。あと「戦闘の時だけ開けるとかカッコイイじゃろ!」らしいです。多分それが一番の理由な気がします。


「やった!なら明日朝からやりましょう!それなら一日で終わりますよ!!やっとこの激痛生活からおさらばです。」

「これこれ年寄りをもっと労わらんか。まぁお前が大丈夫なら読書の時間も訓練に充てるとするかの。」


















翌朝



「ふぁ~。はぁ…痛い」


欠伸をし、布団から起き上がったルクレツィアはベットからでようとシーツを見た。


「え……は…ぁ………ぁああ…あああああああああああああああああああああ!!!!!!」


そこには金色に輝く髪がに抜け落ちていた。




そんなルクレツィアの悲鳴を聞いて、ドッキリが成功し楽しそうに笑う老人がリビングで朝食を作っていた。


「ふぉっふぉっふぉ。ドッキリとは楽しいものじゃのぉ。」






優しく微笑む絵画は今日も賑やかな家を見守っていた。





















ーーーーーーーーーーー
お祭りの時りんご飴の袋を膨らませるために、おじさんが息を吹き込んでいたのは今でも忘れられない夏の思い出です。

次回 ギャップの使い方
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