幸せになりたい!ー兄と塔から逃げ出して自由に生きてやる!ー

氷菓

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兄と私の逃亡計画7

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空には竜人に伝わる物語『建国神話』に出てくる竜王と竜妃の色を彷彿とさせる黒竜と銀竜が飛んでいる。

その姿はまるで神話の世界に居るように錯覚するほど美しく、人々は目を離すことが出来ずにいた。

「ごめんね。辛いよね。すぐに終わらせるから待ってて。」

黒竜はそう呟くと銀龍に向けて【竜の息吹】を銀竜に向けて放った。


空では2頭の竜が争っていた。これが地上であったならば、ここ数百年は不毛の地になるレベルだろう。

本部ではこの状況について早急に判断を下すため、話し合いをしていた。

「彼女は間違いなくアルゲントゥム公爵とラシェル夫人の御息女だ。そして恐らくもう一方いらっしゃる。我々と精霊を通してコンタクトを取っていたお方が。」

「どうします?ギディオン隊長」

「どうって言ってもなぁ…」


今回の作戦に参加した、竜王国の
《騎士団団長》と《第1部隊隊長》を兼任する
ギディオン=ヘーリアンテス侯爵と
《騎士団副団長》と《第1部隊副団長》を兼任する
シシル=ウィオラ伯爵令嬢

が空を見ながら話していた。

「というかあの黒竜のジルぼっちゃんは、正気を失って暴れまくってる姫様に勝てるの?」

エルフ国の《魔法士団団長》
クルル=ティナ=カリディア伯爵夫人はテント内の机に頬杖を着いて2人を見ていた。

「姐さんうちの坊ちゃんあんま見くびらない方が良いっすよ!何せうちの元帥が、ちっちゃい時からスパルタ教育してますからね!第1部隊の奴らでも地獄を見る訓練を毎日こなしてるんっすから!」

「うっわぁぁ…。それは期待できるわね…。あのオッサンの訓練二度とやりたくないわ。思い出しただけで震える…」

黒竜の少年の《従者》キースはクルル魔法師団長に、自身の仕える主を自慢げに話した。

「皆さん姫様も問題ですが、もうひと方はどう奪還するんです?そもそもどこに居るか分からないですし、姫に聞こうにもあの状態…。割と詰んでますよ」

「そうだなー」
「そうですね」
「そうねぇ」
「俺何も知らねぇんですが、何でジルバート様俺置いてっちゃったの!?」

「キース殿なら聞いて貰ってても構いませんよ」
そう言ってエルフの国《魔法師団副団長》 ラゲッタ=ティオは自由人の話し合いをまとめる。

「クルルお前精霊を通してまたコンタクト取れないのか?」

「無理ね、向こうが相当精霊に好かれているのか、相手の情報を一切教えてくれないの。だから居場所も個人情報も一切分かんない人とコンタクトは取れないわ」

「精霊術って色々難しいんっすね」

「という事はあの銀竜の君にお話を伺わなければいけないと言うことですね」

「…………ジルバート様ファイトっす」

「だな」
「ですね」
「そうねぇ」
「そのようですね」
ギディオン、シシル、クルル、ラゲッタはキースに相槌を打ち、2頭の戦いを見届けようと空を見上げた。
















ーーーーーーーーーーーーーー


エルフ達は国民のアイドル出会ったラシェル姫のご息女であるロゼリアを姫様と呼び、
竜王国の人達は銀の公爵のご息女であるロゼリアを銀竜の君と呼びます。
竜王国では【始祖の竜人】は王家と同じくらい敬う存在であり、憧れの存在です。

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