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Ⅱ.王
二匹の猫
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「ねこみー!」
自分を呼ぶ声で、ねこみーは目を覚ます。目を開けると、目の前に弟がいた。しかし、背景は見たことがない。
「んだよ。どこだ?ここ。」
「知らないよ。気づいたらここにいたんだ。」
「はあ!?」
確か服屋でジャガーの男と戦って…。あ、レイ達を見かけた。その後は…。駄目だ、記憶が無い。突然目の前が真っ暗になって、気づいたらここだったのだ。
あたりは一面暗く、一メートルも離れるともう何も見えないような状態だった。
_____あれから一体何時間が経過しているのだろう。
そんな疑問を頭に浮かべながらも、それを確かめる術はなく、ただこの空間に二人取り残されたような気持ちだった。
「ねぇ。」
「「!?」」
突如、少し離れたところから幼い声が聞こえた。
「誰だ?」
警戒しながら空間に問う。
「こんにちは。」
闇の中からうっすらと、おかっぱ頭の子供が出てきた。童顔で、男女どちらともつかないような顔立ちである。
「なぁ、急ぎの用がないなら助けてくれよ。ここがどこか分からないんだ。」
たいたーがその子に言う。
「残念だけどそれは無理だぜ。」
今度は後方から別の声がした。振り返るとおかっぱの子よりも少し背の高い金髪の少年がこちらを見ていた。
「お前ら一体なんなんだ?僕らを連れ去ったのもお前らなのか?」
たいたーが疑いの目で彼らを睨む。それにも動じずに少年が「そうだよ。」と答えた。
「何が目的なんだ?」
ただでさえこんな状況にストレスを感じているのに、突然訳の分からんガキ共が現れて助けないとかなんなんだ。と、思いつつねこみーは聞く。
「君たちは。」
おかっぱの子供が口を開いた。
「世界征服に興味はない?」
突然の現実離れした質問に、ねこみーは思わず笑ってしまった。
「世界征服?何言ってんの?頭大丈夫?」
二人は黙ったまま、お互いを見つめあっていた。その目は何処か虚ろで、これなのに何処か希望を持っているような、不気味な瞳だった。
「待って。」
たいたーが声を上げる。お互いを見ていた二人もたいたーへ顔を向けた。
「目的はなんなんだ?世界征服って何をするつもりなんだ?どうして僕らをこんな所に連れてきたんだ?」
「それは…。」
口を開きかけたおかっぱ頭の言葉を、もう一人が遮る。
「力を見せつけるんだ。」
「「は?」」
突然の答えに姉弟はきょとんとした。
「俺たちネコ科の生物は強い。俺達が集まればきっと頂点に立てるんだ。そのくらいの実力を持ってるんだ。この世界を俺たちだけの物に出来るかもしれない。だから俺達と手を組まないか?」
金髪の少年は姉弟の瞳を真っ直ぐ見つめながらそう言った。おかっぱの子も同じようにじっと見つめている。
「……。」
一気に色んなことが怒りすぎて脳の処理が間に合っておらず、何が何だかわからなかった。世界征服?馬鹿馬鹿しい。確かにこの世界は好きではないがそれなりに楽しめている。あぁー、でもぜーんぶ自分の思い通りになるならいいなぁ。
そんなことを考えていると、まるで見透かしたのようにたいたーに睨まれた。
自分を呼ぶ声で、ねこみーは目を覚ます。目を開けると、目の前に弟がいた。しかし、背景は見たことがない。
「んだよ。どこだ?ここ。」
「知らないよ。気づいたらここにいたんだ。」
「はあ!?」
確か服屋でジャガーの男と戦って…。あ、レイ達を見かけた。その後は…。駄目だ、記憶が無い。突然目の前が真っ暗になって、気づいたらここだったのだ。
あたりは一面暗く、一メートルも離れるともう何も見えないような状態だった。
_____あれから一体何時間が経過しているのだろう。
そんな疑問を頭に浮かべながらも、それを確かめる術はなく、ただこの空間に二人取り残されたような気持ちだった。
「ねぇ。」
「「!?」」
突如、少し離れたところから幼い声が聞こえた。
「誰だ?」
警戒しながら空間に問う。
「こんにちは。」
闇の中からうっすらと、おかっぱ頭の子供が出てきた。童顔で、男女どちらともつかないような顔立ちである。
「なぁ、急ぎの用がないなら助けてくれよ。ここがどこか分からないんだ。」
たいたーがその子に言う。
「残念だけどそれは無理だぜ。」
今度は後方から別の声がした。振り返るとおかっぱの子よりも少し背の高い金髪の少年がこちらを見ていた。
「お前ら一体なんなんだ?僕らを連れ去ったのもお前らなのか?」
たいたーが疑いの目で彼らを睨む。それにも動じずに少年が「そうだよ。」と答えた。
「何が目的なんだ?」
ただでさえこんな状況にストレスを感じているのに、突然訳の分からんガキ共が現れて助けないとかなんなんだ。と、思いつつねこみーは聞く。
「君たちは。」
おかっぱの子供が口を開いた。
「世界征服に興味はない?」
突然の現実離れした質問に、ねこみーは思わず笑ってしまった。
「世界征服?何言ってんの?頭大丈夫?」
二人は黙ったまま、お互いを見つめあっていた。その目は何処か虚ろで、これなのに何処か希望を持っているような、不気味な瞳だった。
「待って。」
たいたーが声を上げる。お互いを見ていた二人もたいたーへ顔を向けた。
「目的はなんなんだ?世界征服って何をするつもりなんだ?どうして僕らをこんな所に連れてきたんだ?」
「それは…。」
口を開きかけたおかっぱ頭の言葉を、もう一人が遮る。
「力を見せつけるんだ。」
「「は?」」
突然の答えに姉弟はきょとんとした。
「俺たちネコ科の生物は強い。俺達が集まればきっと頂点に立てるんだ。そのくらいの実力を持ってるんだ。この世界を俺たちだけの物に出来るかもしれない。だから俺達と手を組まないか?」
金髪の少年は姉弟の瞳を真っ直ぐ見つめながらそう言った。おかっぱの子も同じようにじっと見つめている。
「……。」
一気に色んなことが怒りすぎて脳の処理が間に合っておらず、何が何だかわからなかった。世界征服?馬鹿馬鹿しい。確かにこの世界は好きではないがそれなりに楽しめている。あぁー、でもぜーんぶ自分の思い通りになるならいいなぁ。
そんなことを考えていると、まるで見透かしたのようにたいたーに睨まれた。
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