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Ⅰ.変わらぬ日々
繰り返す光景
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「いただきまーす!」
台所にある四人用のテーブルに、妹と対面する形で席に着く。並べられた料理はねこみーの空っぽの胃に語りかけるかのような食欲を煽る匂いを放っている。
「相変わらず料理美味いよなぁ。たいたーにも作ってやりゃあいいのに。」
テーブルに置かれた料理にがっつきながら言うと、まひよは苦笑いしながら答えた。
「なかなか起きれなくてね…。たいたーバイトの時間早いから間に合わないの。」
「ふーん。あいつならお前の料理食いたさに起こしそうなもんだけどな?」
「そうしたいのはやまやまだけど、まひよがぐっすり寝てるの見ると起こせない、って言ってた。」
まったくとんだシスコン野郎だ。これは想像以上だな。そう思いながらコップに注がれた野菜ジュースを飲み干す。
「そういえば今日起きるの早いな、なにかあった?」
なんとなしにそう問うとまひよは あっ、と声をあげた。
「そういえばねこみーの携帯がうるさくて、というかねこみーあれでよく起きなかったね。」
不思議に思い、スマホのアラームを確認する。
「アラームとか設定してないけど…。」
「電話じゃない?」
「んな馬鹿な…履歴なんてどこにも…」
電話の履歴を確認して固まった。
「待って…。九時四十分に電話来てるわ…。出てるわ…。」
そりゃ不在着信の通知も来ないに決まってるな、と がっくりと肩を落とす。しかしまったくもって記憶にないのだ。
「えー…全然記憶にないんだけど…。なんか話したっけ…?」
「かけ直してみたら?」
「えー…レイ怖いからなぁ…。」
笑いながらそう言ってると手に持っていた携帯端末が大きな音と共に震え出した。
「わぁ~…」
画面に現れた幼なじみの名前に少し焦り笑いを浮かべながら電話に出る。
「…もしもし?」
「もしもしじゃないわよ!さっき電話で十二時に私の家に来てって言ったでしょ!?もう20分も過ぎてるんだけど!?」
まじか…。と軽く絶望しながらごめんごめん、と電話越しに謝る。
「まったく…。なるべく早く来てね。これ以上は待てないから。」
「は~い。」
プツッっと電話が切れる音と共にねこみーは大きな溜息を吐く。
「まじかぁ…。確かに言われたらそんな約束したような…。」
「はいはい、待たせてるんでしょ!早く食器持って行って歯を磨いて行ってらっしゃい!」
「分かってるって~。」
妹に促されるまま用意を済ませ、慌てて家を出た。数時間前に見た光景を今度は自分が繰り返している。
「はぁ~…。やばいやばい。」
少女はうっすらと笑みを浮かべながら、彼女達の待つ目的地まで走った。
台所にある四人用のテーブルに、妹と対面する形で席に着く。並べられた料理はねこみーの空っぽの胃に語りかけるかのような食欲を煽る匂いを放っている。
「相変わらず料理美味いよなぁ。たいたーにも作ってやりゃあいいのに。」
テーブルに置かれた料理にがっつきながら言うと、まひよは苦笑いしながら答えた。
「なかなか起きれなくてね…。たいたーバイトの時間早いから間に合わないの。」
「ふーん。あいつならお前の料理食いたさに起こしそうなもんだけどな?」
「そうしたいのはやまやまだけど、まひよがぐっすり寝てるの見ると起こせない、って言ってた。」
まったくとんだシスコン野郎だ。これは想像以上だな。そう思いながらコップに注がれた野菜ジュースを飲み干す。
「そういえば今日起きるの早いな、なにかあった?」
なんとなしにそう問うとまひよは あっ、と声をあげた。
「そういえばねこみーの携帯がうるさくて、というかねこみーあれでよく起きなかったね。」
不思議に思い、スマホのアラームを確認する。
「アラームとか設定してないけど…。」
「電話じゃない?」
「んな馬鹿な…履歴なんてどこにも…」
電話の履歴を確認して固まった。
「待って…。九時四十分に電話来てるわ…。出てるわ…。」
そりゃ不在着信の通知も来ないに決まってるな、と がっくりと肩を落とす。しかしまったくもって記憶にないのだ。
「えー…全然記憶にないんだけど…。なんか話したっけ…?」
「かけ直してみたら?」
「えー…レイ怖いからなぁ…。」
笑いながらそう言ってると手に持っていた携帯端末が大きな音と共に震え出した。
「わぁ~…」
画面に現れた幼なじみの名前に少し焦り笑いを浮かべながら電話に出る。
「…もしもし?」
「もしもしじゃないわよ!さっき電話で十二時に私の家に来てって言ったでしょ!?もう20分も過ぎてるんだけど!?」
まじか…。と軽く絶望しながらごめんごめん、と電話越しに謝る。
「まったく…。なるべく早く来てね。これ以上は待てないから。」
「は~い。」
プツッっと電話が切れる音と共にねこみーは大きな溜息を吐く。
「まじかぁ…。確かに言われたらそんな約束したような…。」
「はいはい、待たせてるんでしょ!早く食器持って行って歯を磨いて行ってらっしゃい!」
「分かってるって~。」
妹に促されるまま用意を済ませ、慌てて家を出た。数時間前に見た光景を今度は自分が繰り返している。
「はぁ~…。やばいやばい。」
少女はうっすらと笑みを浮かべながら、彼女達の待つ目的地まで走った。
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