異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

新ダンジョン探索-07-

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 そして、そのままガクリと膝を折るとそのままその場に倒れそうになる。

 

 俺はあわてて、綾音さんの体を抱きかかえる。



「し、しっかりしてください」

 

 綾音さんは俺の呼びかけが聞こえていないのか、呆けた表情を浮かべながら、



「ああ……また……こんなのって……。ダメ……これ……クセになっちゃう……」



 と、言葉にならないうわ言のようなものを漏らしている。



 綾音さんの表情は先ほどとはうってかわって心なしか恍惚感に満ちているように見えた。



 幸いなことにとても体調が悪いようには見えない。



 これなら……大丈夫か。



 しかし……それにしても——。



 俺は不謹慎ながら、綾音さんの表情に目が釘付けになってしまった。



 綾音さんは今も先ほどと同じ化粧っ気のない顔であるが、肌が熱を帯びて、上気しているせいなのか、それとも帽子が落ちてその艶やかな黒髪が露出しているせいなのか……いずれにしてもとても艷やかで……女性的だ。



 いや……というかもっとあからさまに言うと妖艶ですらある。



 綾音さんはしばらくの間、力なくその体をただ俺に預けていた。



「綾音さん、二見さん、大丈夫ですか?」

 

 と、離れたところにいた美月さんが、異変に気づいたのか、俺等の方にやってきて、声をかけてくる。



 美月さんの呼びかけで、綾音さんは我に返ったのか、



「は! わたしは……また……ああ……」



 と、か細い声を漏らすと、あわてて俺の体から離れて、



「み、美月! こ、これは……ち、違う! 違うぞ!」



 なぜか必死に美月さんに向かって、顔を真っ赤にして何かを抗弁している。



 美月さんは何も言わずに、ただ綾音さんのことを薄い目でジトーっと見ている。



 その視線に耐えられるなくなったのか綾音さんは



「わ、わたしは用事が……また着替えないと、いや違う……任務の準備が……と、とにかく、美月悪いが……し、失礼する!」



 と、言うなり、踵を返すと、猛ダッシュでどこかへと走り去ってしまう。



 俺はその後ろ姿を唖然として見ているしかなかった。



 まあ……これだけ走れるのならば、一応は元気になったのかもしれない。



 ただやはり内股なのは気になるが……。



 俺がひとり取り残されていると、美月さんがいつの間にか俺の隣にきていた。



 美月さんは、俺の顔を見て、ニンマリとした表情を浮かべて、



「すいません、お二人の邪魔をしてしまったようですね」



 妙に楽しげにしながら、相変わらず的を射ていない話しをする。



「え、いや邪魔では……。ただ綾音さんの体調がすぐれないようだったので」



「わかっています……そういうことにしておきますから。でも、二見さん、忘れないでくださいよ。わたしは母の娘だし、花蓮さんや鈴羽さんの友人なんですよ。こんなに大胆なことを目の間でされたら、いくらわたしでも二見さんの行いを隠しきれませんよ」



 と、少し呆れた表情を浮かべると、責めるような視線を向けられる。



「はあ……それはありがたいんですが、特に隠してもらわなくても……」

 

 と、俺は美月さんの言葉に困惑しながらそう答える。



 そして、美月さんは、



「二見さん、さすがの自信ですね。まあ……あの綾音さんをあんな顔にさせちゃうくらいだから……女性の扱いには相当自信があるんでしょうけど……」



 と、まだ突然脈絡のない話しを言い出す。




「み、美月さん、いったい何を言って——」



「謙遜しなくともいいですよ。二見さんのそちらの方面の『実力』もわたしは十分わかっています。花蓮さん、鈴羽さん、お母様、それに綾音さんまで……。わたしは立場上、お母様を応援しないといけないのですけれど、綾音さんもわたしにとって大切な人ですし……はあ……困りましたね」

 

 美月さんはやれやれと頭をふって、弱りきった様子を見せる。



 だが、美月さんのその仕草はどうにも芝居じみており、とても本当に困っているようには見えない。



 というより、むしろ美月さんは、この状況を面白がっているようである。
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