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第一章
新ダンジョン探索-03-
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「まあ……ぜ、善処します」
そういう訳で、俺は国会での官僚答弁のようななんとも気の抜けたことを言うのがやっとであった。
美月さんは俺のその返答が気に食わなかったようだ。
ジトーっとした目を俺に向けて、
「二見さん、どうしたんですか。さっきまでと全然調子が違うじゃないですか。わたしと話していた時は、『俺が男として自分の女たちを守る』と自信満々に言っていたじゃないですか」
と、美月さんはやけに演技じみた口調で俺が記憶していることとはまるで違うことを言いだす。
これにはずっと俺を無視していた綾音さんも反応した。
「な、なんだと! ふ、二見……き、貴様はまた……。わ、わたしはお前の女などでは……いや確かにあの時の約束は……だ、だが——」
と、綾音さんは顔を真っ赤にして怒っている。
綾音さんの反応も当然である。
俺は美月さんの方をあわてて見るが、美月さんは先ほどまでの空気からうってかわって、例の妖しげな雰囲気をまとって、妙に楽しげに微笑している。
美月さん……ダンジョン探索のことをあれだけ心配していたのに、俺と綾音さんの関係をこれ以上悪化させてどうするつもりなのか……。
という言葉が喉から出かけたが、ぐっと言葉を飲み込む。
「あら? その『女』にはまさかわたしも入っているのかしら?」
と、突然、あらぬ方向から声……しかも英語である……をかけられる。
俺も含めて美月さんも綾音さんもそちらの方に目を向ける。
そこには真っ白なビジネススーツをまとったブロンドの美女……キャシーさんがいた。
キャシーさんは、腰まで伸びた長いブロンドの髪をなびかせて、自身に満ちた青い瞳をこちらに向けている。
キャシーさんはフォーマルなスーツを身にまとっていたが、それでもスーツが彼女の豊満な体のラインに沿って完璧に仕立てられているせいなのか、とても妖艶に感じられた。
ジャケットと同じく色白のタイトスカートはスリットが太腿あたりまで大胆に入っていて、キャシーさんのスラリと伸びた滑らかな足が余計に強調されていて思わず目を奪われてしまう。
今は曇天で日光はほとんど出ていないにもかかわらず、その鮮やかなブロンドと彼女の類まれな美貌、グラマラスな肢体のせいなのかキャシーさんの周りだけスポットライトが当たっているかのように思えたほどだ。
まあ……何が言いたいかというと、キャシーさんの外見はとても人目を……特に男の目を引くということだ。
きっと人が大量に行き交う都心の街中でもキャシーさんが歩ければ男たちは足を止めて、彼女を見るだろう。
さて……ここは駐屯地だ。
隊員たちはキャシーさんをチラリと見て、綾音さんの存在に気づくと、あわてて顔を背けるという器用な行動を取っていた。
キャシーさんはそんな周りの視線はまるで気にしていない様子で、俺の目の前にやってくると、
「ねえなんとかいったらどうなの? それともこないだみたいな『ワザ』をまた見せてくれるのかしら?」
と、一方的に英語で話しかけてくる。
俺は何と答えてよいのか考えあぐねていると、
「ごほん……ウォーカー少尉、お見苦しいところをお見せしてしまったようで……。初対面という訳ではないですが、こうして話すのははじめてですね」
と、綾音さんは咳払いをして、キャシーさんに握手の手を差し出す。
キャシーさんはジッと俺を睨んだ後、
「まあ……いいわ。あなたとは後でたっぷりと話す時間はあるのだから……さてと——」
そうつぶやくと、俺から顔を背けて、綾音さんの方を向く。
「そうね。残念ながら、昨日はゆっくりと談笑する……という感じではなかったしね。間宮三尉、よろしくね。あなたの……いえあなたの部隊の評判は我が国でもよく聞くわ。貴国史上はじめてのダンジョン関連の事象に特化した即応部隊……そして、その女性隊長の実力は特に折り紙付きともね」
キャシーさんはそう微笑しているが、その目は抜け目なく綾音さんの様子を観察しているように見えた。
そういう訳で、俺は国会での官僚答弁のようななんとも気の抜けたことを言うのがやっとであった。
美月さんは俺のその返答が気に食わなかったようだ。
ジトーっとした目を俺に向けて、
「二見さん、どうしたんですか。さっきまでと全然調子が違うじゃないですか。わたしと話していた時は、『俺が男として自分の女たちを守る』と自信満々に言っていたじゃないですか」
と、美月さんはやけに演技じみた口調で俺が記憶していることとはまるで違うことを言いだす。
これにはずっと俺を無視していた綾音さんも反応した。
「な、なんだと! ふ、二見……き、貴様はまた……。わ、わたしはお前の女などでは……いや確かにあの時の約束は……だ、だが——」
と、綾音さんは顔を真っ赤にして怒っている。
綾音さんの反応も当然である。
俺は美月さんの方をあわてて見るが、美月さんは先ほどまでの空気からうってかわって、例の妖しげな雰囲気をまとって、妙に楽しげに微笑している。
美月さん……ダンジョン探索のことをあれだけ心配していたのに、俺と綾音さんの関係をこれ以上悪化させてどうするつもりなのか……。
という言葉が喉から出かけたが、ぐっと言葉を飲み込む。
「あら? その『女』にはまさかわたしも入っているのかしら?」
と、突然、あらぬ方向から声……しかも英語である……をかけられる。
俺も含めて美月さんも綾音さんもそちらの方に目を向ける。
そこには真っ白なビジネススーツをまとったブロンドの美女……キャシーさんがいた。
キャシーさんは、腰まで伸びた長いブロンドの髪をなびかせて、自身に満ちた青い瞳をこちらに向けている。
キャシーさんはフォーマルなスーツを身にまとっていたが、それでもスーツが彼女の豊満な体のラインに沿って完璧に仕立てられているせいなのか、とても妖艶に感じられた。
ジャケットと同じく色白のタイトスカートはスリットが太腿あたりまで大胆に入っていて、キャシーさんのスラリと伸びた滑らかな足が余計に強調されていて思わず目を奪われてしまう。
今は曇天で日光はほとんど出ていないにもかかわらず、その鮮やかなブロンドと彼女の類まれな美貌、グラマラスな肢体のせいなのかキャシーさんの周りだけスポットライトが当たっているかのように思えたほどだ。
まあ……何が言いたいかというと、キャシーさんの外見はとても人目を……特に男の目を引くということだ。
きっと人が大量に行き交う都心の街中でもキャシーさんが歩ければ男たちは足を止めて、彼女を見るだろう。
さて……ここは駐屯地だ。
隊員たちはキャシーさんをチラリと見て、綾音さんの存在に気づくと、あわてて顔を背けるという器用な行動を取っていた。
キャシーさんはそんな周りの視線はまるで気にしていない様子で、俺の目の前にやってくると、
「ねえなんとかいったらどうなの? それともこないだみたいな『ワザ』をまた見せてくれるのかしら?」
と、一方的に英語で話しかけてくる。
俺は何と答えてよいのか考えあぐねていると、
「ごほん……ウォーカー少尉、お見苦しいところをお見せしてしまったようで……。初対面という訳ではないですが、こうして話すのははじめてですね」
と、綾音さんは咳払いをして、キャシーさんに握手の手を差し出す。
キャシーさんはジッと俺を睨んだ後、
「まあ……いいわ。あなたとは後でたっぷりと話す時間はあるのだから……さてと——」
そうつぶやくと、俺から顔を背けて、綾音さんの方を向く。
「そうね。残念ながら、昨日はゆっくりと談笑する……という感じではなかったしね。間宮三尉、よろしくね。あなたの……いえあなたの部隊の評判は我が国でもよく聞くわ。貴国史上はじめてのダンジョン関連の事象に特化した即応部隊……そして、その女性隊長の実力は特に折り紙付きともね」
キャシーさんはそう微笑しているが、その目は抜け目なく綾音さんの様子を観察しているように見えた。
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