異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

束の間の遊戯-01-

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 場を仕切っていた麻耶さんが無言になったため、なんとなく妙な間のようなものが場にはできていた。



 そこに、花蓮さんがおもむろに、



「……敬三様、これからどうされますか?」

 

 と、心配そうな顔で尋ねてくる。

 

 動画のことは懸念だらけであるが、実際のところここであれこれ考えてもどうにもならない気がする。

 

 何よりも今日は色々なこと……クラーク氏との会話は特に……があって、体はともかくとして精神的に疲れていた。

 

 俺はこの前途多難な状況を先送りして、とりあえずの休息が欲しかった。

 

 そう要するに何も考えずに寝たかった。

 

 昨日のことを考えると、快眠はおろか眠りにつけるかどうかも怪しいが、疲れている分案外寝れるかもしれない。



「……とりあえず今後のことは明日考えます」

 

 と、内心は不安が多かったが、努めて明るい感じで、適当な返事をする。

 

 俺の言葉が合図になったのかどうかは不明だが、なんとなくお開きの雰囲気が場に漂い、みな広間を後にしようとする。

 

 さてと……とりあえず、家に帰るか。

 

 せいぜい数日空けた程度なのに、なんだが随分と久しぶりに家に帰る気がする。

 

 いや……というか今更だがここはどこなんだ。



 おそらく都内の郊外なのだろうと勝手に思っていたが、その実はダンジョンの近くだったりするのか。



 それなら、一度ダンジョンの入り口まで行って、「ポータル」で帰った方が早いか。



 と、俺はそんな感じで帰宅する気満々だったのだが、ずっと無言だった麻耶さんが俺に鋭い目線を送ってくる。



 そして、



「ふ、二見……それに間宮三尉。あなたたちには個別に話があるから、わたしの部屋に来なさい……」



 と、呼び止められた。



 正直に言って、さっさと休みたかったのだが、麻耶さんの表情からしてとても、断れる雰囲気ではない。



 どう考えても良い話ではない気がする……。



 そんな不穏の空気を綾音さんも感じ取ったのか、



「わたしもですか? わたしは明日も任務で早いですし、今日は——」

 

 と、あからさまに乗り気でない表情をして、この場からさろうとしている。



「いいから来なさい、すぐに終わるわ」

 

 と、麻耶さんは半ば強引に綾音さんを連行する。

 

 美月さんは興味しんしん……というか何故かワクワクしているような感じでその様子を見ていた。

 

 花蓮さんと鈴羽さんは、怪訝な顔をしているが、特段何も言わない。



 ただ花蓮さんは、俺の方に近づいてきて、



「敬三様、少し耳をお貸しください」

 

 と、周りに聞かれたくないのか、俺の耳元にその唇を近づけてきて、



「……麻耶さんに気をつけてくださいね」

 

 と、真剣な表情で言う。

 

 が、俺には花蓮さんの真意がよくわからなかった。

 

 いったい何を気をつけろというのか、まさか今更こないだの時のような尋問の再開をする訳でもないだろうし。



「えっと……それはどういう?」



「そ、それは……あの……ま、麻耶さんも『一人の女』ということですわ」

 

 と、花蓮さんは顔を赤らめて、ますます話が見えないことを言う。



「と、とにかく……何かあったらわたくしがすぐに乱入して、止めますから」

 

 と、何やら物騒なことまで口走っている。



「はあ……」



 と、俺はわかったようなわからない返事をして、そのまま麻耶さんたちの後ろに続く。

 

 まあ……とりあえず花蓮さんが俺のことを心配してくれているのだけはわかった。

 

 花蓮さんも鈴羽さんはその後も俺の後ろを付かず離れずついてくる。

 

 何もそこまで心配してくれる必要もないと思うが……。

 

 最終的にさすがに麻耶さんに目で制されて、花蓮さんたちは諦めて俺から離れていったが、二人とも非常に麻耶さんを警戒をしている風であった。

 

 何もそこまで麻耶さんを疑わなくともよいのではないかと俺が思ったくらいだ。

 

 単に今後のことを個別に話すだけだろうし。

 

 とはいえ、早く帰りたいという気持ちは変わっていない。



 俺はさっさと用を済ませたいと思いながら、麻耶さんの部屋に行く。 



 俺が部屋に入るなり、麻耶さんは、いきなり顔色を変えて、



「ふ、二見……あ、あなた……ま、また……わたしに変なことを……いえ精神操作を——」



 と、俺に飛びかからんばかりに詰めよってくる。
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