異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

新たな戦場へ-06-

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 やがて、麻耶さんが静かに口を開く。



「……仮に二見が嫌だと言ったらどうなるのかしら?」



「既にこの件は我が国においても決しているのですよ。だから、わたしはこの場で申し伝えている。外交とはいつだってそういうものではないですかな。そして、わたしが言うのもなんなのだが、この件についてはわたし個人としては穏便に済ませたいと思っている。言っている意味がおわかりになるかな」 



「ええ、よーくわかるわ。わたしも同じことを最近したからなおさらわかるわ。それはあなたもよくご存知でしょう。つまるところ、今度はあなたが、こないだのわたしのように二見に赤っ恥をかかされるということでしょう? そうでしょ? 二見!」



 麻耶さんはそう言うと俺の方に顔を向けて、そう話を振ってきた。



 突然のことに俺は困惑を隠せなかった。



 今まで黙っていろと言っていたのに、いきなり何かをしゃべろと言われても困ってしまう。



 しかも話を聞く限り、どうやら麻耶さんは俺にかなり強気なこと……いや話の流れからすれば、脅迫に近いことを言えということらしい。



 先程までは冷静さを保っていた麻耶さんであったが、今は完全に頭に血が登っている感がある。



 現に最後は日本語だったしな……。



 俺が発言に躊躇していると、クラーク氏が俺の方を一瞬だけチラリと見た後で、落ち着いた口調で言う。



「ところで、二条院会長、現在の我が国の偵察衛星は、非常に高性能なのはご存知ですな。そのおかげでダンジョンの出現もすぐに把握することができる。今回の貴国のダンジョンの出現がすぐに発見できたのもその恩恵が大きい。マスイ説明をしてくれるかな?」



 と、クラーク氏は何故か突然何の脈絡もない話をして、隣にいるマスイ氏に不意に話を振る。



 そのマスイ氏は、今までの麻耶さんとクラーク氏の火花を散らす舌論に、隣でずっと青い顔を浮かべていた。



 だから、この突然の上司からの振りに泡を食ったのだろう。



「な、なぜ……このタイミングで僕に……」



 と、シドロモドロの声を上げるが、クラーク氏は無言でマスイ氏をじっと見て、圧を加える。



「わ、わかりましたよ。説明すればいいんですよね。局長がおっしゃるとおり我が国の衛星は非常に高解像度まで確認することができます。どれくらいかはまあ……貴国が同盟国とはいえ民間の方々がいらっしゃるこの場では差し控えさせてもらいますが……」



 マスイ氏はクラーク氏をチラリと見て、当惑気味にこれでよかったのかと目で訴えている。



「ありがとう、マスイ。大変参考になったよ。ところで、解像度だが、地上で特定の人物がどのような仕草をしているか、またはどんな服を着ているか、いや服を着ていないかどうかも判別できるかな?」



「はあ……それはまあ……裸であったり特異な姿をしていれば判別できるかと思いますが……」



 マスイ氏はクラーク氏の質問の意図を図りかねて、ますます困惑の表情を深めている。



 それは俺も同様だった。



「二条院会長、我々は先般の協会での出来事について、あなたが想像するよりも非常に多くの情報を持っているのですよ」



 クラーク氏はそういうとにっこりと笑う。



 それは今までの彼の振る舞いと違い、どこかわざとらしいというか芝居じみたものであった。



 だからか、俺はクラーク氏の表情が妙に気になってしまった。



 と、麻耶さんはその瞬間、あからさまと言っていいほどに動揺していた。



 先程まで堂々としていた麻耶さんであったが、今は顔をうつむかせて、朱色に染めて、プルプルと震えている。



 よく見ると、花蓮さんたちも何かに気づいたのか、はっとさせて同じように気まずそうな表情を浮かべながら、顔を赤くしている。



「……ふ、ふざけないで! こんな侮辱をみなの……いえ娘の前でされて、このわたしが大人しく黙っていると思っているの!」



  麻耶さんは真っ赤な顔をしたままそう絶叫すると、手を上にかざして——。



 って……おいおい……麻耶さんここで魔法を使う気か——。



 これはまずいと思った瞬間、俺は反射的に体が動いていた。
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