異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

晩餐会-13-

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 結局俺はほぼ半日あまりに、服選びに費やすことになった。



 俺の服選びが一段落して、ようやく解放されるかと思ったが、今度は花蓮さんと鈴羽さんの服装選びに付き合わされることになった。

 

 はっきり言って俺が一緒にいる意味はないと思うのだが、二人のたっての希望ということで、立ち会うことになった。

 

 服を着る者として考えると、花蓮さんと鈴羽さんは俺とはある意味で真逆の存在だ。

 

 どんな服を着ても、彼女たちはその外見上の美しさで、完璧に着こなして、見る者を魅了するだろう。

 

 服を作る者からすれば彼女たちは理想的な存在だ。



 いや……まあ逆にどんなに素晴らしい服でも、彼女たちの容姿の影に隠れてしまうから、もしかしたらそれはそれで大変なのかもしれない。



 そういう訳で、俺はただそのファッションショーのような色とりどりの彼女たちの服装をかなりの長い間見ることになった。



 実際、ムーンウォークができるほどの広さの部屋だったし、彼女たちもモデルといっても遜色のない……いやモデル以上のスタイルと美貌の持ち主だから、ファッションショーといっても過言はないだろう。



 ただし、観客は俺だけだが……。

 

 そんな訳で、見ていて飽きる訳ではないし、こんな美女たちが艶やかな服装を次々と着る姿を間近で見れるのはむしろ最高に羨ましい状態なのかもしれない。



 とはいえ、俺はただ見ているだけでは済まされなかった。

 

 花蓮さんたちは必ず服を着る度に、俺に感想を求めてくるのである。



 だから、彼女たちが服を着替える度に意見を言わされる羽目になった。



 だが、俺はそんなに語彙がある方ではない。



 だいたい……いずれの服であっても結論は一つなのだ。



「お二人とも非常に綺麗です」



 それ以外言うべきことはないし、実際どの服も甲乙つけがたい。

 

 だが、二人ともそれだけではやや不満があるらしく、



「どの服が一番敬三様の好みでしょうか?」

 

 と、聞いてくるのであった。

 

 俺から見ればどれもよいとしか言いようがないから、適当な返事を返すことしかできなかった。



 花蓮さんたちは一応それで満足はしてくれたのだが、微笑しながら、



「ふふ……まだまだありますから、付き合ってくださいね」



「今日は一日中付き合ってもらいます。ご主人様……」

 

 と言う。



「え……」



 まだですか?



 と思わず言葉を漏らしかけたが、花蓮さんの微笑んでいる顔を見てぐっとこらえた。



 まあ……俺には特段予定はない。



 独りで部屋に閉じこもっているよりは、花蓮さんら美女たちの華やかな衣装を見ていた方がよほどマシではある。



 それにその方が余計なことを考えずにすむしな……。



 結局、それから小一時間ほど、花蓮さんたちの服選びに付き合うことになった。



 最終的には、花蓮さんはいつもの和服、鈴羽さんはドレスを選ぶことになった。



 俺には今まで見てきたものと何が違うか理解できなかったか、きっと彼女たちにとってはその琴線に触れるものがあったのだろう。



 まあ……個人的には花蓮さんはドレス姿の方が俺はすきだったのだが……。



 正装ということもあり、花蓮さんが着ていたドレスはどれも、ノースリーブでスラリと伸びた滑らかな両手が見えていたし……それになによりも両肩から胸元まで大胆に露出しているものばかりであった。



 普段和服姿で、あまり肌の露出をしない花蓮さんのドレス姿は、そのギャップもあいまってとても妖艶……いや魅力的に見えた。



 が、さすがにそんな生々しい本音を言う訳にもいかない。



 それに花蓮さんとしても、いつも着慣れている和服の方がしっくりときている感が傍目から見てもあった。



 いくばくか残念な気持ちもあるにはあるが、花蓮さんの胸元を大胆に開けたドレス姿は、俺としてもあまりにも刺激的すぎる格好だから、これでよかったかもしれない。



 お二人の華麗な衣装を間近で見るというある意味で男としては役得も言える行為ではあったが、さすがにここまでの長時間に及ぶとなると、俺も若干疲れてしまった。



 俺は少し休むために部屋の中にある手頃なスツールに座る。



 と、花蓮さんが顔を覗かせる。



 どうやら顔に疲れがにじみ出てしまっていたらしい。



「敬三様……申し訳なかったですわ。こんなに時間を取らせてしまって」



「いえ、普段はなかなかこういう機会はないですから。ただ慣れないせいか少し気疲れしてしまいましたが」



 と俺が返答すると、花蓮さんは何故かしばし無言のままたたずんでいた。

 

 もしかしたら気分を害してしまったかと俺がそう懸念するくらい間が空いていた。



「敬三様……その……差し出がましいことを言いますけれども、少しは気晴らしになりましたでしょうか?」



 花蓮さんの言葉は俺に取っては思いもよらぬことであったから、



「え……いや……それは」



 と思わず言葉がつまってしまう。
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