異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

文字の大きさ
上 下
78 / 153
第一章

晩餐会-01-

しおりを挟む
 俺は眠っていたのか。



 いや……目覚めたという感覚とは違う。



 単に記憶が抜け落ちている。



 俺が最後に記憶していたのは、そう……デスナイトが現れて……。



 だが、今俺の視界に映るのは白い天井……。



 いつの間にか寝ていたのか……。



 しかし、ここは……



 どうやら俺はベッドに横になっているらしい。



 俺は、体を動かし、あたりを見回す。



 どうやらどこかの寝室……といったような光景が目に入る。



 と、俺はすぐにあることに気づく。



 俺のベッドの脇には小さな椅子が置かれており、そこに女性が座っているのだ。



 そして、その女性は俺の足を枕代わりにスヤスヤと気持ちよさそうに眠っている。



 いったいこの人は……



 って……花蓮さん!?じゃないか。



 俺は驚いて思わず体を大きく動かす。



 そして、上にいた花蓮さんのバランスも崩れてしまい……



 俺は慌てて花蓮さんが倒れそうになったところを両手で支える。



「うん……わたし……敬三様……え!? はっ! け、敬三様!?」



 花蓮さんは目を覚ましたようだが、まだ状況がよくわかっていないらしい。



 酷く驚いた顔をしている。



 もっともそれは俺も同様だ。



 俺はいったい……。



「敬三様……敬三様!! ご無事だったのですね! 本当に……本当によかったですわ!」



 花蓮さんはそう言うと、突然、俺のことを思いっきり抱きしめてくる。



 その思わぬ行動に俺はバランスを崩してしまう。



 そして、花蓮さんを支えようとして、俺は花蓮さんの上に倒れ込んでしまう。



 床に倒れこんだ花蓮さんに俺が馬乗りしているような格好になってしまう。



「す、すいま——」



 俺は謝ろうとしたが、思わず言葉を失ってしまった。



 花蓮さんの両目には涙が溢れていた。



 そして、よく見ると、その目には泣き晴らしたような腫れとクマが見えた。



 花蓮さんは、とても疲れているように感じられた。



 いつも丁寧に着付けされている花蓮さんの艶やかな和服もどこか着崩れしているように見える。



 それに上品に結い上げられている花蓮さんの長い黒髪も、わずかに乱れているような気がする……。



 普段があまりにも完璧だからこそ、花蓮さんのそんなわずかなほころびが俺には気になってしまったのかもしれない。



 もっとも、それでも花蓮さんがあいかわずとても美しいのには変わりはないのだが……。



「敬三様……敬三様……ああ……よかったですわ……本当に……」



 花蓮さんは心底安心したようにそう声を漏らすだけだった。



 状況はさっぱりわからない……。



 が……これが、現実だということはわかった。



 というのも、花蓮さんの温かい体のぬくもりがリアルな身体性を伴って伝わってきているからだ。



 そして、同時に俺は花蓮さんに酷く申し訳ない気持ちになってしまった。



 状況は未だにわからないが、それでも俺のことで花蓮さんに大きな心配をかけてしまったことだけはよくわかる。



 本当はすぐに立ち上がるべきだったのだろうが、花蓮さんはただ俺をじっと見つめてきて、どうにも動くことができなかった。



 俺はただしばし無言のまま、花蓮さんを見つめることしかできなかった。



「えっと……その自分のことで色々心配をかけてしまったようで……申し訳ないです」



「いえ……わたくしは……何も……。敬三様そのご様子だと、元に……戻られたのですね?」



「元に? ええっとその……眠ってしまっていたようですが、今は特に体調に問題はありません」



「そう……ですか。それなら……いいのですわ」



 と、花蓮さんは何か言いたげな顔を浮かべている。



 と、そこにガチャと扉が開く音がする。



「い、今の音はいったい!? な! こ、これは!?」



 扉の前には唖然とした表情で人が立っていた。



 自衛官の制服をきたその人物には見覚えがあった。



 この人はたしか……間宮氏。



「ふ、二見……お、お前また!?」



 間宮氏は声を震わせながら、青ざめた顔を浮かべている。



 そこで俺はことの深刻さに気づく。



 つまり俺が客観的に見て自分が今どのような状況にあるのかということに……。



 俺は花蓮さんと床に倒れている。



 いやより正確に描写するならば、オッサンの俺がうら若き美女の花蓮さんの上に馬乗りになっている。



 そして、花蓮さんは涙を流している。



 間宮氏が青ざめるのも無理はない。



 というか俺の顔もいっきに顔面蒼白になった。



「い、いや……こ、これは……」



 と、俺は必死に何か言い訳をしようとしたが、結局しどろもどろの声しか出なかった。



「お、お前はやっぱり……け、ケダモノだ! 昨日みたいにその人を無理やり——」
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

勇者現代へ帰る。でも、国ごと付いてきちゃいました。

Azanasi
ファンタジー
突然召喚された卒業間近の中学生、直人 召喚の途中で女神の元へ……女神から魔神の討伐を頼まれる。 断ればそのまま召喚されて帰るすべはないと女神は言い、討伐さえすれば元の世界の元の時間軸へ帰してくれると言う言葉を信じて異世界へ。 直人は魔神を討伐するが帰れない。実は魔神は元々そんなに力があるわけでもなくただのハリボテだった。そう、魔法で強く見せていただけだったのだが、女神ともなればそれくらい簡単に見抜けるはずなおだが見抜けなかった。女神としては責任問題だここでも女神は隠蔽を施す。 帰るまで数年かかると直人に伝える、直人は仕方なくも受け入れて現代の知識とお買い物スキルで国を発展させていく ある時、何の前触れもなく待望していた帰還が突然がかなってしまう。 それには10年の歳月がかかっていた。おまけにあろうことか国ごと付いてきてしまったのだ。 現代社会に中世チックな羽毛の国が現れた。各国ともいろんな手を使って取り込もうとするが直人は抵抗しアルスタン王国の将来を模索して行くのだった。 ■小説家になろうにも掲載

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...