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第一章
-08- オッサン、美女と混浴する
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一応俺も動画配信をしているのだから、現在のネット環境には当然つないでいる。
で……先に述べたとおり、既に色々とネットで調べてはいる。
が……まずダンジョン関連については政府等の公式情報は驚くほど少ない。
俺の調べ方の問題もあるのかもしれないが、抽象的な情報ばかりであまり具体的な情報——特に俺が知りたいスキルや魔法体系等に関する事柄——はほとんどなかった。
それならば……と俺は、かつてのパソコン通信よろしく個人とつながり、情報収集をすることにした。
なにせインターネット空間なら日本中……いや世界中の人間たちと自由闊達な意見交換ができるのだ。
当然、その中には専門家顔負けの知識を持つ人間が大勢いる。
残念ながら、パソコン通信はもはやなかった。
だがそれに変わるサービス……SNSというもの……があることを知った俺は、早速SNSの中でも最大手のDitterを開設、ワクワクしながら人々と交流し、情報収集を試みたのだが……。
結論的に言えば、まったく上手くいかなかった。
いや……現代のネット民……みんな怖すぎるだろう……。
なんでこんなに殺伐としていて、言葉遣いも乱暴なんだ……。
普通に「馬鹿」、「デマ」、「嘘つき」、「死ね」とか言われるしなあ……。
いやまあ……パソコン通信時代にチャットをしていた連中もお上品という訳ではなかったが、それでも最低限の礼節というのはあった。
面と向かっている訳ではないが、画面の向こうには確かに人がいる訳だし、どんなにムカつく人間にも「死ね」とか普通は言わないだろう……。
むろんDitterだけで、現在のネット民すべてを判断するのは公平ではない。
ついで俺は、掲示板のチャンネル5で様々な質問をしたのだが……。
まあ……この件についてはあまり思い出したくない。
なんにせよ俺は現在のネット民に絶望したとだけ言っておこう。
この25年にいったい何がネット民をここまで歪ませてしまったのか……。
ダンジョン以上に謎である。
……と愚痴っても仕方がないのだが、つまるところ俺はそうそうにこの新たなパソコン通信……ならぬSNS空間から撤退を余儀なくされたのだ。
ネットでの情報収集が難しいとなると、次は……人づて……コネだよなあ……。
ネットなんて皆無の異世界ではむろん人とのつて……コネが全てだった。
しかし、この世界で俺のコネは皆無……。
いや待てよ……俺は今花蓮さんの屋敷にいるのだ。
そして、花蓮さんはS級冒険者であり、『ダンジョンの支配者』の一員……。
彼女からダンジョン関連の情報を聞くというのは……。
と……俺の脳裏に鈴羽さんの冷たい視線が想起される。
あれから鈴羽さんとは一度も話していない。
それでも鈴羽さんは当然花蓮さんの側にいつもついているから、俺は既に何度も顔を会わせている訳なのだが……。
俺は怖くて鈴羽さんの顔をまともに見ることができていない。
ただ、鈴羽さんが俺に向ける視線だけは否が応でも感じていた。
それは、はっきり言って立ち会う前よりもさらに強烈なものであり、鈴羽さんが俺に対して思うところがあるのは明らかであった。
まあ……絶対怒っているだろうなあ……。
苦手な回復魔法で鈴羽さんの傷を癒やすことはできたけど、やはり服までは再現できずに……裸にしてしまったし……。
ブレスレットも勝手に解呪してしまったが、もしかしたら俺が知らぬ事情であえて呪い状態を維持しているという可能性だってあるしな……。
花蓮さんと話そうにも腹心の部下っぽい鈴羽さんから嫌われていたらどうにもなあ……。
いかんいかん……考えすぎて頭がのぼせてきた。
俺はさすがに長湯しすぎたとかと思い、湯船から出ようと立ち上がる。
と、突然背後から扉が開く音がした。
誰か入ってきたのか。
てっきり俺以外の来客はいないと思っていたが。
うん? 何か背中に感じるこの妙な圧……というか視線は心あたりが——。
「……二見様」
俺がその声に思わず後ろを振り返ると、そこには鈴羽さんが立っていた。
バスタオル一枚の艶めかしい姿で……。
「す、鈴羽さん!?」
俺はしばし呆然としてただ目の前の鈴羽さんを凝視してしまった。
言い訳をさせてもらえるのならば、あまりの予想外の事態に頭がフリーズしてしまい、すぐに目を背けることができなかっただけ……である。
いや……俺も男である以上、鈴羽さんの非常に魅惑的な姿に目を奪われたという面はいかんとも否定しがたいが……。
とにかく俺は一拍の後、再び鈴羽さんの体から目をそらし下……足元を見る。
「な、なぜ……こ、ここに——」
と、声を裏返しながら疑問を口にする。
「本日のわたしの大変愚かで無礼な振る舞いの謝罪をする……ためです。そして、それにもかかわらずご主人様……いえ二見様が与えてくれた寛大なる御慈悲に深い感謝の念を示すため……でございます」
と、鈴羽さんは真剣な口調で言う。
で……先に述べたとおり、既に色々とネットで調べてはいる。
が……まずダンジョン関連については政府等の公式情報は驚くほど少ない。
俺の調べ方の問題もあるのかもしれないが、抽象的な情報ばかりであまり具体的な情報——特に俺が知りたいスキルや魔法体系等に関する事柄——はほとんどなかった。
それならば……と俺は、かつてのパソコン通信よろしく個人とつながり、情報収集をすることにした。
なにせインターネット空間なら日本中……いや世界中の人間たちと自由闊達な意見交換ができるのだ。
当然、その中には専門家顔負けの知識を持つ人間が大勢いる。
残念ながら、パソコン通信はもはやなかった。
だがそれに変わるサービス……SNSというもの……があることを知った俺は、早速SNSの中でも最大手のDitterを開設、ワクワクしながら人々と交流し、情報収集を試みたのだが……。
結論的に言えば、まったく上手くいかなかった。
いや……現代のネット民……みんな怖すぎるだろう……。
なんでこんなに殺伐としていて、言葉遣いも乱暴なんだ……。
普通に「馬鹿」、「デマ」、「嘘つき」、「死ね」とか言われるしなあ……。
いやまあ……パソコン通信時代にチャットをしていた連中もお上品という訳ではなかったが、それでも最低限の礼節というのはあった。
面と向かっている訳ではないが、画面の向こうには確かに人がいる訳だし、どんなにムカつく人間にも「死ね」とか普通は言わないだろう……。
むろんDitterだけで、現在のネット民すべてを判断するのは公平ではない。
ついで俺は、掲示板のチャンネル5で様々な質問をしたのだが……。
まあ……この件についてはあまり思い出したくない。
なんにせよ俺は現在のネット民に絶望したとだけ言っておこう。
この25年にいったい何がネット民をここまで歪ませてしまったのか……。
ダンジョン以上に謎である。
……と愚痴っても仕方がないのだが、つまるところ俺はそうそうにこの新たなパソコン通信……ならぬSNS空間から撤退を余儀なくされたのだ。
ネットでの情報収集が難しいとなると、次は……人づて……コネだよなあ……。
ネットなんて皆無の異世界ではむろん人とのつて……コネが全てだった。
しかし、この世界で俺のコネは皆無……。
いや待てよ……俺は今花蓮さんの屋敷にいるのだ。
そして、花蓮さんはS級冒険者であり、『ダンジョンの支配者』の一員……。
彼女からダンジョン関連の情報を聞くというのは……。
と……俺の脳裏に鈴羽さんの冷たい視線が想起される。
あれから鈴羽さんとは一度も話していない。
それでも鈴羽さんは当然花蓮さんの側にいつもついているから、俺は既に何度も顔を会わせている訳なのだが……。
俺は怖くて鈴羽さんの顔をまともに見ることができていない。
ただ、鈴羽さんが俺に向ける視線だけは否が応でも感じていた。
それは、はっきり言って立ち会う前よりもさらに強烈なものであり、鈴羽さんが俺に対して思うところがあるのは明らかであった。
まあ……絶対怒っているだろうなあ……。
苦手な回復魔法で鈴羽さんの傷を癒やすことはできたけど、やはり服までは再現できずに……裸にしてしまったし……。
ブレスレットも勝手に解呪してしまったが、もしかしたら俺が知らぬ事情であえて呪い状態を維持しているという可能性だってあるしな……。
花蓮さんと話そうにも腹心の部下っぽい鈴羽さんから嫌われていたらどうにもなあ……。
いかんいかん……考えすぎて頭がのぼせてきた。
俺はさすがに長湯しすぎたとかと思い、湯船から出ようと立ち上がる。
と、突然背後から扉が開く音がした。
誰か入ってきたのか。
てっきり俺以外の来客はいないと思っていたが。
うん? 何か背中に感じるこの妙な圧……というか視線は心あたりが——。
「……二見様」
俺がその声に思わず後ろを振り返ると、そこには鈴羽さんが立っていた。
バスタオル一枚の艶めかしい姿で……。
「す、鈴羽さん!?」
俺はしばし呆然としてただ目の前の鈴羽さんを凝視してしまった。
言い訳をさせてもらえるのならば、あまりの予想外の事態に頭がフリーズしてしまい、すぐに目を背けることができなかっただけ……である。
いや……俺も男である以上、鈴羽さんの非常に魅惑的な姿に目を奪われたという面はいかんとも否定しがたいが……。
とにかく俺は一拍の後、再び鈴羽さんの体から目をそらし下……足元を見る。
「な、なぜ……こ、ここに——」
と、声を裏返しながら疑問を口にする。
「本日のわたしの大変愚かで無礼な振る舞いの謝罪をする……ためです。そして、それにもかかわらずご主人様……いえ二見様が与えてくれた寛大なる御慈悲に深い感謝の念を示すため……でございます」
と、鈴羽さんは真剣な口調で言う。
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