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実況コメント-01-
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二見は何故か申し訳なさそうな顔を浮かべている。
美月は思わず天を仰ぐ。
頭の中が整理しきれない。
美月の心の中は疑問と絶叫が吹き荒れている。
どういうこと! 一瞬でダンジョンの最下層に移動できる魔法があるの!
魔法ならマジックアイテムと違って、消費をしないから、術者がいる限り使いたい放題じゃない!
そんなものの存在が確認されたら、世界中の国々が大騒ぎ……いえ大混乱よ!
いえ……そもそも、二見さんって戦士なのに、なんで回復魔法もそうだけど、複数系統の魔法を使えているの!
本来は同一系統の魔法しか覚えることができないはずなのに!
と、美月の脳内は、暴風吹き荒れる大海原……といった様相を呈していたが……。
いや……もういいわ……。
考えるのはとりあえずやめよう。
美月は首を振って、ため息をつく。
「それで……君たちが話していたこのダンジョンからの帰還方法だけど、別に『帰還の羽根』を使わなくても、こういう緊急事態の場合は、魔法でもいいのかな?」
「えっと……つまりそれは……二見さんはダンジョンから脱出できる魔法も……」
「ああ……もちろん使えるけど……」
美月は頭がクラクラしてしまい、その場に倒れそうなところをなんとか近くの壁によりかかることで耐える。
わたしがこれまでダンジョンについて理解していたことっていったい……。
これでも「ダンジョンの支配者たち」と呼ばれて、冒険者の中では先頭を走っているつもりだったのに……。
いや……今はそんなことはもうどうでもいいわ。
とりあえずわたしも花蓮さんも無事に帰れるのなら。
美月はなんとか心を整理しようとしていると、後ろから二見の声が聞こえる。
「お、おい……大丈夫か? 怪我をしているなら魔法で——」
「だ、大丈夫です!」
今また先程のようなデタラメな効果を持つ回復魔法を戦士であるはずの二見に使われてしまったら、せっかく落ち着いてきた心がまた大混乱してしまう。
それにあの魔法って……服が……。
ふと、先程まで言い争いをしていた花蓮と目が合う。
花蓮は何故か苦笑いを浮かべていた。
もしかしたら、花蓮も美月と同じような境地に達したのかもしれない。
とりあえず何も考えずに帰ろう……。
花蓮さんもわたしも無事……それだけでもう十分すぎるほどだし……。
美月は切にそう思った。
ところで美月はあることをすっかり忘れていた。
そう……配信のことである。
色々なことが起こりすぎたために、彼女がそこまで気が回らなかったのはやむを得ないことと言える。
が……その配信を巡って、世界中が大騒ぎ……いや大混乱に陥っていた。
美月が地面に落とした配信用のドローン………それは不完全ながらもいまだに機能していたのだ。
そして、世界中の人間たちがその模様を見て、謎の男……二見敬三……を巡って政府、民間企業、一般市民……各々が衝撃を受けて、様々な思惑を抱き、蠢き出す。
後の世に『転換点』……ティッピング・ポイント……と呼ばれた大事変の始まりでもあった。
◆◆◆◆
配信の画面がブラックアウトしてから5分後……。
ライブ配信それ自体はまだ続いていたため、コメントは怒涛の勢いで寄せられていた。
画面に何も映っていないのにすでに同時接続数1000万突破という未曾有の事態になっていた……。
『美月ちゃん……マジかよ……あれで最後なんて悲しすぎる』
『まだ……希望はある。協会が間に合えば……』
『だから……無理だって! いいかげん学べ!』
『《¥500》どうせお前ら何も出来ないだからせめて金くらい寄付しろ』
『500円でドヤ顔ww』
『って……おい! 画面に何か映ってるぞ!』
『ドローン壊れてなかったのか……何かの衝撃でカメラの位置が変わったのか』
『おい……あれ美月ちゃんと花蓮さんじゃね?』
『よっしゃあ!! やっぱり美月ちゃん無事じゃん! さすが『流麗の剣姫』だぜ!!』
『いや……おいこれヤバいぞ……前にいるのあれさっきのモンスターだろ』
『ヤバいヤバい……美月ちゃんの方に来てるぜ! なんで逃げないんだよ!』
『逃げられねんじゃね……もうきっと力残ってないんだよ……』
『はあ? ふざけるな! 「流麗の剣姫」舐めんなよ!』
『現実見ろ! 歯が立たないんだよ……「流麗の剣姫」だって……最下層のこんなデカいモンスターには』
『ああ!! 美月ちゃん逃げろ!!』
『クソ!! こんなの見たくねえよ!!』
『俺はもう……見れない……おちるわ……』
『腰抜けどもが……俺は最後の最後まで見るぞ……』
『単に悪趣味な性癖があるだけだろ……』
『……』
『……誰か何かコメントしろ……』
『さすがに不謹慎すぎて何も言えない』
『……美月ちゃん何か顔が……驚いてね……』
『おい! 何か美月ちゃん走り出してるぞ!』
『クソ……この角度じゃ全然見えねえぞ!』
『誰かなんとか画面調整しろよ!』
『ダンジョンにドローンがあるのに無理だろ……アホか』
『ドローン動かすのは無理だけど、拡大処理と画質調整で隅に映ってるのをそこそこの画質で映すのはできる……』
『職人来た!!』
『すげえ!! そんな技術ある奴がこんなところにいるとは!』
『同接1000万超えているから、中には役に立つもいるだろ。ほとんどは役立たずだけどw』
『嘘松だろどうせ……』
『とりあえずこっちに別のライブ配信立てたから、リンク貼っとくわ。https://******一応ほぼリアルタイムで処理しているから……』
美月は思わず天を仰ぐ。
頭の中が整理しきれない。
美月の心の中は疑問と絶叫が吹き荒れている。
どういうこと! 一瞬でダンジョンの最下層に移動できる魔法があるの!
魔法ならマジックアイテムと違って、消費をしないから、術者がいる限り使いたい放題じゃない!
そんなものの存在が確認されたら、世界中の国々が大騒ぎ……いえ大混乱よ!
いえ……そもそも、二見さんって戦士なのに、なんで回復魔法もそうだけど、複数系統の魔法を使えているの!
本来は同一系統の魔法しか覚えることができないはずなのに!
と、美月の脳内は、暴風吹き荒れる大海原……といった様相を呈していたが……。
いや……もういいわ……。
考えるのはとりあえずやめよう。
美月は首を振って、ため息をつく。
「それで……君たちが話していたこのダンジョンからの帰還方法だけど、別に『帰還の羽根』を使わなくても、こういう緊急事態の場合は、魔法でもいいのかな?」
「えっと……つまりそれは……二見さんはダンジョンから脱出できる魔法も……」
「ああ……もちろん使えるけど……」
美月は頭がクラクラしてしまい、その場に倒れそうなところをなんとか近くの壁によりかかることで耐える。
わたしがこれまでダンジョンについて理解していたことっていったい……。
これでも「ダンジョンの支配者たち」と呼ばれて、冒険者の中では先頭を走っているつもりだったのに……。
いや……今はそんなことはもうどうでもいいわ。
とりあえずわたしも花蓮さんも無事に帰れるのなら。
美月はなんとか心を整理しようとしていると、後ろから二見の声が聞こえる。
「お、おい……大丈夫か? 怪我をしているなら魔法で——」
「だ、大丈夫です!」
今また先程のようなデタラメな効果を持つ回復魔法を戦士であるはずの二見に使われてしまったら、せっかく落ち着いてきた心がまた大混乱してしまう。
それにあの魔法って……服が……。
ふと、先程まで言い争いをしていた花蓮と目が合う。
花蓮は何故か苦笑いを浮かべていた。
もしかしたら、花蓮も美月と同じような境地に達したのかもしれない。
とりあえず何も考えずに帰ろう……。
花蓮さんもわたしも無事……それだけでもう十分すぎるほどだし……。
美月は切にそう思った。
ところで美月はあることをすっかり忘れていた。
そう……配信のことである。
色々なことが起こりすぎたために、彼女がそこまで気が回らなかったのはやむを得ないことと言える。
が……その配信を巡って、世界中が大騒ぎ……いや大混乱に陥っていた。
美月が地面に落とした配信用のドローン………それは不完全ながらもいまだに機能していたのだ。
そして、世界中の人間たちがその模様を見て、謎の男……二見敬三……を巡って政府、民間企業、一般市民……各々が衝撃を受けて、様々な思惑を抱き、蠢き出す。
後の世に『転換点』……ティッピング・ポイント……と呼ばれた大事変の始まりでもあった。
◆◆◆◆
配信の画面がブラックアウトしてから5分後……。
ライブ配信それ自体はまだ続いていたため、コメントは怒涛の勢いで寄せられていた。
画面に何も映っていないのにすでに同時接続数1000万突破という未曾有の事態になっていた……。
『美月ちゃん……マジかよ……あれで最後なんて悲しすぎる』
『まだ……希望はある。協会が間に合えば……』
『だから……無理だって! いいかげん学べ!』
『《¥500》どうせお前ら何も出来ないだからせめて金くらい寄付しろ』
『500円でドヤ顔ww』
『って……おい! 画面に何か映ってるぞ!』
『ドローン壊れてなかったのか……何かの衝撃でカメラの位置が変わったのか』
『おい……あれ美月ちゃんと花蓮さんじゃね?』
『よっしゃあ!! やっぱり美月ちゃん無事じゃん! さすが『流麗の剣姫』だぜ!!』
『いや……おいこれヤバいぞ……前にいるのあれさっきのモンスターだろ』
『ヤバいヤバい……美月ちゃんの方に来てるぜ! なんで逃げないんだよ!』
『逃げられねんじゃね……もうきっと力残ってないんだよ……』
『はあ? ふざけるな! 「流麗の剣姫」舐めんなよ!』
『現実見ろ! 歯が立たないんだよ……「流麗の剣姫」だって……最下層のこんなデカいモンスターには』
『ああ!! 美月ちゃん逃げろ!!』
『クソ!! こんなの見たくねえよ!!』
『俺はもう……見れない……おちるわ……』
『腰抜けどもが……俺は最後の最後まで見るぞ……』
『単に悪趣味な性癖があるだけだろ……』
『……』
『……誰か何かコメントしろ……』
『さすがに不謹慎すぎて何も言えない』
『……美月ちゃん何か顔が……驚いてね……』
『おい! 何か美月ちゃん走り出してるぞ!』
『クソ……この角度じゃ全然見えねえぞ!』
『誰かなんとか画面調整しろよ!』
『ダンジョンにドローンがあるのに無理だろ……アホか』
『ドローン動かすのは無理だけど、拡大処理と画質調整で隅に映ってるのをそこそこの画質で映すのはできる……』
『職人来た!!』
『すげえ!! そんな技術ある奴がこんなところにいるとは!』
『同接1000万超えているから、中には役に立つもいるだろ。ほとんどは役立たずだけどw』
『嘘松だろどうせ……』
『とりあえずこっちに別のライブ配信立てたから、リンク貼っとくわ。https://******一応ほぼリアルタイムで処理しているから……』
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