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裏組織
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「……誰かに見られている気が」
私は衣織まやと言うわ。
高校一年生の何の変哲もない小娘よ。
今日も、いつも通りに学校を早退して家に帰る途中。
その最中、突然何処か身体が疼くような視線を感じた。
「…………はぁ…気のせいかな」
最近は、親に言われた事を達成するのに精一杯でロクに眠ることもままならない。
確かに大変だが、こんな幻覚が感じるなんて…。
「………明日迄には達成させたいな…」
達成さえすれば、数ヶ月は休みをもらえる………その間は早退などせずにきちんと学校にも通えて、放課後も友達と遊べるのだ。
そして……………
「あっ、時間が押してるわね。急がないと…」
通り掛かった駅の建物に設けられている時計を確認し、早歩きに切り替える。
そして、駅の建物の向かい側にあるお店の脇を通り裏路地へと入っていく。
迷路のように入り組んだ道、途中からなる細道を身体を横にして通り抜ける。
通り抜けた先は、建物の壁に囲われた小さいスペースが広がっており、正面には一つの建物にはいれる扉があった。
「………閉めてないの誰よ」
通り抜けた細道を見てため息を付きながら、その真横にある取っ手がとりついた壁に手をかける。
「んっ!」
掴んだ取っ手を、体重を乗せながら横に引っ張る。
すると、徐々にその細道幅分位の壁が横にズレていく。
「いっくら…おもいからって!このぐらい!やりなさいよっ!」
軽く、力の弱い身体を踏ん張り一生懸命ずらした壁は、今さっき通った細道を完全に塞いだ。
此方側からは変に見えるが、向う側からは行き止まりのただの壁に見えている。
「…はぁ……はぁ…」
息を切らしながら、そばに置いていたカバンを拾い一つの扉に近付いていく。
「……んんっ///……………だんせいぱらだいす!」
突然何を言っているのだろうと、思われる言葉を発した。
「…………………早く開けなさいよ!///」
彼女が恥ずかしげに叫ぶと、目の前の扉がガラッと横に開く。
ドアノブが一応付いているが、これは横スライド式なのだ。
「すんませんお嬢。へへっ…」
「ったく。こんどお母様に報告しておくわよ」
「それは勘弁してくだせぇな。へへっ」
扉を開けて出てきた少し背の低く小汚い女。
中学生くらいの見た目だ。
彼女はナナシと呼ばれている。
「合言葉も何とかならないの?」
「自分に言われても無理でさぁ。へへっ」
癖なのか、馬鹿にしてるのか、いつも通りの語尾に変な笑いが付く喋りに、少し苛つきながら中へ入っていく。
「それで?きちんと来てるわけ?」
「へいっ、今部下が連れてきやさぁ。へへっ」
「…チッ…………、次それやったら殴るわよ」
「それも勘弁で……………………………。へへっ」
「っ…………あぁ!!もう!!!」
本当に殴りたくなるのを我慢して、自身のツインテールの髪をグシャグシャと触る。
「お嬢、これでも見て落ち着いてくだせぇ。………へへっ」
そういってナナシは、一枚の写真を向けてくる。
「……誰よこれ」
その写真には一人の男性が写っていた。
「へぇ、昨日の朝見かけましてね。少し調べましたらお嬢と同じ学校みてぇで。へへっ」
「へぇ…こんな人いたんだ。それで?この人がなんなのよ」
確かにカッコいい人だと思うが、なんで今それを見せるのか。
「へい、すんません。そういえばお嬢は慣れてんでした。へへっ」
ナナシは何も申し訳ないように見せることなく写真をしまう。
「……なんかその言い方ムカつくわね。なに?欲しいのその人」
「いいんでさ?へへっ!」
期待して、口元を歪ませながら手を揉んで腰を低くしながら少し後ろに下がった。
「……まぁ、いいんじゃない?手が空いたらお母様に聞いといてあげるわよ」
「っ…へへっ!」
じゅるり
唾液を音を鳴らしながら飲み込むナナシ。
いまのは、写真の男性が欲しく、それを手に入れられる。
そういう会話だ。
裏組織……この二人はそういうところの人間なのだ。
男を秘密裏に誘拐し、男娼をやらせたり、金持ち相手にオークションに出したり。
そういう組織だ。
お嬢と呼ばれる衣織まやはその組織の長である衣織かなえの娘。
だから、まやは男性に慣れており別に憧れの存在でも、特別興奮する相手でもないのだ。
「おっと、着いたみたいでさぁ。へへっ」
ナナシの案内に着いていき、辿り着いた扉に私は入る。
「こんにちは」
中でぽつんと置かれた椅子に座る存在に声をかける。
「船水さん」
私は衣織まやと言うわ。
高校一年生の何の変哲もない小娘よ。
今日も、いつも通りに学校を早退して家に帰る途中。
その最中、突然何処か身体が疼くような視線を感じた。
「…………はぁ…気のせいかな」
最近は、親に言われた事を達成するのに精一杯でロクに眠ることもままならない。
確かに大変だが、こんな幻覚が感じるなんて…。
「………明日迄には達成させたいな…」
達成さえすれば、数ヶ月は休みをもらえる………その間は早退などせずにきちんと学校にも通えて、放課後も友達と遊べるのだ。
そして……………
「あっ、時間が押してるわね。急がないと…」
通り掛かった駅の建物に設けられている時計を確認し、早歩きに切り替える。
そして、駅の建物の向かい側にあるお店の脇を通り裏路地へと入っていく。
迷路のように入り組んだ道、途中からなる細道を身体を横にして通り抜ける。
通り抜けた先は、建物の壁に囲われた小さいスペースが広がっており、正面には一つの建物にはいれる扉があった。
「………閉めてないの誰よ」
通り抜けた細道を見てため息を付きながら、その真横にある取っ手がとりついた壁に手をかける。
「んっ!」
掴んだ取っ手を、体重を乗せながら横に引っ張る。
すると、徐々にその細道幅分位の壁が横にズレていく。
「いっくら…おもいからって!このぐらい!やりなさいよっ!」
軽く、力の弱い身体を踏ん張り一生懸命ずらした壁は、今さっき通った細道を完全に塞いだ。
此方側からは変に見えるが、向う側からは行き止まりのただの壁に見えている。
「…はぁ……はぁ…」
息を切らしながら、そばに置いていたカバンを拾い一つの扉に近付いていく。
「……んんっ///……………だんせいぱらだいす!」
突然何を言っているのだろうと、思われる言葉を発した。
「…………………早く開けなさいよ!///」
彼女が恥ずかしげに叫ぶと、目の前の扉がガラッと横に開く。
ドアノブが一応付いているが、これは横スライド式なのだ。
「すんませんお嬢。へへっ…」
「ったく。こんどお母様に報告しておくわよ」
「それは勘弁してくだせぇな。へへっ」
扉を開けて出てきた少し背の低く小汚い女。
中学生くらいの見た目だ。
彼女はナナシと呼ばれている。
「合言葉も何とかならないの?」
「自分に言われても無理でさぁ。へへっ」
癖なのか、馬鹿にしてるのか、いつも通りの語尾に変な笑いが付く喋りに、少し苛つきながら中へ入っていく。
「それで?きちんと来てるわけ?」
「へいっ、今部下が連れてきやさぁ。へへっ」
「…チッ…………、次それやったら殴るわよ」
「それも勘弁で……………………………。へへっ」
「っ…………あぁ!!もう!!!」
本当に殴りたくなるのを我慢して、自身のツインテールの髪をグシャグシャと触る。
「お嬢、これでも見て落ち着いてくだせぇ。………へへっ」
そういってナナシは、一枚の写真を向けてくる。
「……誰よこれ」
その写真には一人の男性が写っていた。
「へぇ、昨日の朝見かけましてね。少し調べましたらお嬢と同じ学校みてぇで。へへっ」
「へぇ…こんな人いたんだ。それで?この人がなんなのよ」
確かにカッコいい人だと思うが、なんで今それを見せるのか。
「へい、すんません。そういえばお嬢は慣れてんでした。へへっ」
ナナシは何も申し訳ないように見せることなく写真をしまう。
「……なんかその言い方ムカつくわね。なに?欲しいのその人」
「いいんでさ?へへっ!」
期待して、口元を歪ませながら手を揉んで腰を低くしながら少し後ろに下がった。
「……まぁ、いいんじゃない?手が空いたらお母様に聞いといてあげるわよ」
「っ…へへっ!」
じゅるり
唾液を音を鳴らしながら飲み込むナナシ。
いまのは、写真の男性が欲しく、それを手に入れられる。
そういう会話だ。
裏組織……この二人はそういうところの人間なのだ。
男を秘密裏に誘拐し、男娼をやらせたり、金持ち相手にオークションに出したり。
そういう組織だ。
お嬢と呼ばれる衣織まやはその組織の長である衣織かなえの娘。
だから、まやは男性に慣れており別に憧れの存在でも、特別興奮する相手でもないのだ。
「おっと、着いたみたいでさぁ。へへっ」
ナナシの案内に着いていき、辿り着いた扉に私は入る。
「こんにちは」
中でぽつんと置かれた椅子に座る存在に声をかける。
「船水さん」
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