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何処かおかしいかもしれない天兎

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「ひょ、ひょっほまっへっふらはいっ///」

何十秒も続けている内に、彼女は足腰が立てないほどになっており、その場に座り込んで身体を押してきた。


今まで、舌や歯茎、喉に近い所など触る場所によって変わる可愛い反応に夢中になっていた。

「あっ、ごめん!確認するだけだったのに!」

ちゅぽんっと音を鳴らしながら口の中から指を離すと、少し後ろに下がる。

息を荒らげながらふらふらと立ち上がる有栖は、蕩けさせた目を天兎に向けてにこりと笑った。

「ど、どうれしたか///?ふぃんじでくれまひたか?」

「うんっ、信じたよ!ごめんほんとに!」

急いでふらふらの彼女を支えて自分が寝ていたベットに座らせる。

「…んっ…ふぅ………それならよかったです」

有栖は口の中で舌を動かすと、天兎に再度笑顔を向けた。

それをみて、天兎は安堵する。

それなら、僕がやってしまったことは有栖ちゃんの嫌がることじゃなかったってことだ。

でも、今度からは気をつけないといけないな…。
こんな世界に来て、一人舞い上がってなんでも喜んでくれると勘違いしていた。

今回は有栖ちゃんがそういう子だったから良かったものの、他の子だったらもしかしたら傷付けていたかもしれない。

身体的にも、精神的にも………。

こんな世界だとしても、男性からの行動がなにもかも喜ばれるわけがないんだ


「うん、気を付けないと…」

そう誓う、僕は無意識に声に出した。

「?…なんですか………?」

首を傾げた有栖ちゃんに何でもないと言ってこちらも笑顔を向けた。

「今後、嫌なことをされそうになったら言ってね?直ぐに止めるから」

「はいっ」

元気よく返事をする。

そして、僕はその笑顔を見てこう思った。


彼女のことは守りたいと感じてしまうな。
この後、どんな女の子と出会ってどんなことをしていくかはまだわからないけど………彼女には嫌がることをしたくないな。
















だって、彼女は一人の人間で………身体を差し出したと言っても、別に………モノではないのだから。































「あっ、そういえば学校は!?」

部屋の時計に目をやると、昼の時間を過ぎていた。
昨日から一日すぎた今日は、学校があるはずだ。

「あ、学校は休みの電話をしておきました。それと親の方にも……///宮野君との関係はまだ話してはないですけど///………その…『男の人』に呼ばれた…とだけ」

もじもじと話をする有栖。

親にその後何を言われたのかは分からないが、どうやら色々とからかわれたらしい。


「あ~そっか、ごめんね休ませることになって…それとありがとう電話もしてくれたんだね」

「…?えっと、宮野君の休みは連絡はしませんでしたよ?」

「え?………あぁそっか、ここでは行かないほうが普通なのか」

そもそも、男性である自分は行かなくても良いことを思い出す。

「…じゃあ、今日は一日空いてるのか」

僕も有栖ちゃんも休み……はっきり言って昨日の最後のこともあって、今はもう嫌なことではなかったとわかっていても……とにかくまだ有栖ちゃんとあの続きをしようとは思えない。


「そうだ、借金に関しての書類って家にあるのかな?」

有栖と交わした取引き。
借金を肩代わりするというものを果さないと。 

「えっと、はい。あるにはありますが………あれって本当のことだったんですか!?」

天兎に性欲があると知ったとき以上に驚いた様子で言う有栖。

彼女は最初、臓器云々のことだと思っていた。
そして、その後性行為のことだったと知ってからは、天兎との行為に夢中になって、そのままそのことについて忘れてしまっていた。



「うん。家にあるなら今から有栖ちゃんの家に向かおうか?お母さん、今も家にいるのかな?僕たちの取引きについても話をしないとだし」

いきなり借金がなくなったと言われても困惑して不安になるだけだろう。

「えぇっ!!?な、なんでですか?!?!!あの、宮野君に得なんてありませんよね!?」

この世界では、男性から求められて断る女性などいない。
性行為自体は嫌なことでは無いのだ。

そういうことは、この取引きは一方的に差し出すものとなってしまっている。

「僕がそうしたいんだ。それに、そうすれば有栖ちゃんにも余計好きになってくれるでしょ?」

天兎は、普通とは少しズレた感性で考えてそういう。

確かに、助けられたら相手に少なからず好意を向けることは多いが………果たして今回の借金云々で助けられたとして………それは好意を向けられることなのだろうか?

申し訳無さや心配などで胸がいっぱいになるのではないか?
そうすることで、好意ではなく恩や精一杯何か返さなきゃと言う感情に縛られるだけなのではないだろうか。


それに気づいていない……いや、知っているがそれを良しとしているかは分からないが……天兎はそう考えていた。


「ぅ///………で、でも!それだと宮野君が!いくら男性でもっ」




一千万ものを大金を用意することも、ましては男性という立場を利用しての借金帳消しなどは出来るわけもない。

そう言いたいみたいだ。

「安心してよ、僕にはちゃんと考えがあるんだ」

自分の股間を指差してそう言う。

精液売却での金稼ぎ。

もちろんそれだけでは足りないと思っている。
闇金は時間が経てば経つほど、不等な『利子』が付くのだ。

払っても払っても増えるのであれば、それは無限ループとなってしまう。

「ぁ…///」

僕の精液のことを思い出したのか、顔を赤くする有栖ちゃん。

「それとっ……ちょっとまってね~」

僕は部屋のパソコンをカタカタといじり、検索をかけていく。
そして、次に映し出された画面を見えるように身体を退かして、ニヤリと笑った。



「じゃーん!『チューブになにかYOUよう?』!」


「これでも稼ごうかなって思っててね!」

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