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第十四話

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 指輪を買って店を後にした俺たちは再びショッピングモールに向けて歩き出した


「指輪、指輪、お揃いの指輪、指輪、指輪、お揃いの指輪、指輪、指輪……」

「……とにかく、今日は晴れてくれてよかった。一応、天候に左右されない場所を選んではいたが」

「流石、旦那様に隙はありませんね」

「おい」

「?」

「その呼び方は……何だ」

「呼び方?ああ、旦那様ですか?」

「そうだ、その呼び方はまだ俺達には早いと思うが」

「そうですか?まあ、旦那様がそう言うなら……」

 流石に高校生の彼女にデフォルトで旦那様呼びさせるのはヤバいだろ……


「人がたくさんいますね……」

「人ごみは苦手か?」

「はい……このままだと、先輩とはぐれてしまいそうで……先輩……よかったら……」

「手、つなぐか?」

「はいっ、……ふふっ、ありがとうございます!」

 白の細く小さな手は柔らかくて、今にも消えてしまいそうな儚さがあった


「先輩の手……大きくて、温かくて、硬くて、強くて……安心する……これなら絶対に離れ離れにならないですねっ、」

「そうだな」

「そろそろ見えてきましたね、楽しみです……!!」

「ああ、俺もだ」



 ◆◆

 俺らはショッピングモールの映画館のあるフロアに着いた


「丁度よかったな、上映開始二十分前だ……白、トイレは大丈夫か?」

「大丈夫ですっ、問題ありません」

「なら、フードとドリンクを買って入場しよう」

「ですね、並びましょう」

 入場して席に座るとスクリーンにはまだ広告が映っていた


「映画館に来るのなんて、本当に久しぶりです……しかも、大好きな人と一緒に来られて、本当に幸せ……」

「白……」

「そう言えば、スマホをマナーモードにしないとダメなんですよね」

「そうだな……お、あの予告の映画面白そうだ」

「公開は半年後みたいですね」

「二回目の映画デートの時にいいかもな」

「ピッタリだと思います……あ、もうすぐ始まりますね……楽しみですっ、」

「ああ」

 映画館が暗くなり、上映が始まった

 映画の内容は意外でスピーディーな展開が全く読めなくて、特に音楽が良かった

 あと、女優がキレイだった

 正直、映画の内容よりも隣で座っている白のふわっとしたシャンプーやフローラルの香りが素敵で、あまり集中して映画を見れなかった


 上映が終わり映画館が明るくなり始める……


「面白かったですね……」

「だな……事前に調べておいたんだが、この映画は実在する人物がモデルらしいぞ」

「そうだったんですね……本当にあんな人生を過ごした人がいたんだ」

「あと、あのシーンはスタント使ってないらしい」

「凄いですね、あんな危険なシーンを俳優が自ら演じていたなんて……」

「白はどこが一番印象に残ったんだ?」

「そうですね、映画もよかったですけど……私は先輩と一緒に見られた嬉しさが一番です」

「ああ、俺も結局それが一番だよ。白と一緒に見られてよかった」

「先輩も私と同じことを思ってくれていて嬉しいです!やっぱり私達は相性抜群ですね!」

「そうだな……あと、この映画は女優が可愛かったな――いでっ、」


 白にまあまあな力で背中をつねられる

「私という生涯の伴侶がいながらほかの女を褒めるなんて、褒めるなんて……」

「分かった、分かったから、つねるのやめろ」

「もし……浮気なんかしたらこんな痛みじゃ済みませんから」

「……ふぅ、胸に刻んでおくよ……お腹がすいてきたな」

「そうですね、お食事に行きましょうか」

「じゃあとりあえず外に出るぞ」
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