9 / 48
第一章
第九話
しおりを挟む
「うそ……じゃないですよ。私、ちゃんと悟に付き合ってて言って……それで、受け入れてもらいましたし」
美羽は困惑しながらも答える
姉さんと由梨が美羽を睨みつけながらじりじりと詰め寄ろうとするので、俺はそれを阻止した
「なぁ、姉さん、由梨……二人とも、一旦落ち着いてくれ……そんな態度じゃ話し合おうにも話し合えない……」
俺がそう言うと二人は渋々、と言った様子で引き下がってくれた
美羽は俺の言葉を聞いて、申し訳なさそうな表情で俺のことを見つめてきた
「ごめんね……なんか私のせいで変なことになっちゃって」
「別にいいよ、それで……疑ってるわけではないんだけど、俺と美羽が本当に付き合っていたって……何か証明できる物とかって、ある?」
「証明できる物……証明できる物ね、うん。あるよ……ほらっ、これ」
そう言って美羽は鞄の中からプリクラを取り出して俺に見せた。そこには俺と美羽の仲睦まじい姿が収められていて、俺と美羽がキスをしているものまであった
「このプリクラ……証拠としては十分だな」
「他にもまだまだ証拠になるような物があるけど、見る?」
美羽が嬉しそうにしながら鞄の中からさらに何か出そうとしたとき、勢い余って同時に一冊のノートが鞄から出てきた
そのノートを拾い上げると、表紙にはこう書かれていた
『私と悟のエッチ性活妄想ノート』
題名を見た俺はたまらずノートを開き中を確認する……するとそこには俺と美羽の馴れ初めから始まり、俺と美羽がいつどこでデートしてどんなふうにイチャついたのかまで、全て細かく書かれてあった
「これは……」
……いや、でもおかしいな。この内容が正しいのなら、俺は既に貞操を失っているはずだ……だが、退院の時の検査で俺は童貞だった……だからまず、俺と美羽が性行為をしていたという話自体が成立しない
「……それに妄想ノートって事は実際に付き合っていたわけでは、ないんだよな?」
「あ、あ……そのノートは……でっ、でも、私と悟は、う、運命の赤い糸で……固く結ばれてるからっ、……実際は、全部、現実になること、だよ」
「はぁ……これではっきりしたね、弟くん……別に彼女の妄想に付き合う必要はないからね?あくまで妄想なんだから」
「そうだよお兄ちゃん、そんなありもしない妄想を受け入れちゃダメだから!」
二人がそう言って俺の腕に抱き着いてくると、美羽は悲しそうな表情を浮かべながら俺を見つめる
「俺と美羽は付き合っていなかったんだな」
「……っ、」
「俺は何回も見舞いに来てくれた事とかも含めて、美羽には本当に感謝してる……だから、付き合っていたと虚言をつかれていたとしても、別に怒ったりはしない」
「お、怒っても、殴ってもいい、けど……嫌いにならない?」
「嫌いになんてならないから、美羽の口からも本当のことを聞かせてくれ」
「……うん……分かった……たしかに、私、本当は悟と付き合ってなかったよ……」
「じゃあ、どうして俺と付き合っていたなんて虚言を吐いたんだ?」
「それは……えっと……悟に、私の事、好きになって欲しかったから……記憶をなくす前まで付き合ってたって言ったら、私のことを意識してくれるようになるかな……って、思って」
なるほど……確かに、恋人同士だったと聞いた俺は間違いなく美羽のことを異性として、より意識するようになっていた
「だからってすぐバレるうそつくなんて、お兄ちゃんのことになると勢いで暴走しちゃう所は変わらないよね」
「本当、そういうところはまるで変わってないね」
由梨と姉さんは美羽を呆れたような目で見ながらそう言った
「ごっ、ごめんなさ」
「謝らなくてもいいよ、弟くんが許したんなら、私もこれ以上は何も言うつもりはないから」
「由梨はそれよりもお腹すいたー、冷めちゃったし早く食べよ?」
「だな、美羽は朝はもう食べてきたのか?」
「うん、パンを一枚食べてきたよ」
「それだけだとお腹が空くだろうから、美羽も一緒に食べよう」
「い、いいの?……ありがとう」
俺たちは四人で朝食を食べ始めた
◆◆◆
記憶を失ってからあまり外を歩いてなかったな、とか考えながら俺は美羽と一緒に学校に向かっている
「あ、これまだ渡してなかったね。はい、新しいスマホ……今使ってるのはパスワード忘れて開けないって言ってたでしょ?」
「え、いや流石に、受け取れないよ」
「いいからいいから」
美羽は俺の手にスマホを掴ませた
「……助かるけど、本当に貰ってもいいの?」
「いいって、お詫びだと思って遠慮せず受け取ってよ」
「ありがとう」
俺が礼を言うと、美羽が決心したような真剣な顔をした
「わたし決めた!」
「……何?」
「もう、ズルいことしたりして君の気を引いたりしない!これからは正々堂々、君を私だけに夢中にさせて、絶対に君と添い遂げる!!」
そう言った美羽には、確かな宣誓の清らかさがあった
美羽は困惑しながらも答える
姉さんと由梨が美羽を睨みつけながらじりじりと詰め寄ろうとするので、俺はそれを阻止した
「なぁ、姉さん、由梨……二人とも、一旦落ち着いてくれ……そんな態度じゃ話し合おうにも話し合えない……」
俺がそう言うと二人は渋々、と言った様子で引き下がってくれた
美羽は俺の言葉を聞いて、申し訳なさそうな表情で俺のことを見つめてきた
「ごめんね……なんか私のせいで変なことになっちゃって」
「別にいいよ、それで……疑ってるわけではないんだけど、俺と美羽が本当に付き合っていたって……何か証明できる物とかって、ある?」
「証明できる物……証明できる物ね、うん。あるよ……ほらっ、これ」
そう言って美羽は鞄の中からプリクラを取り出して俺に見せた。そこには俺と美羽の仲睦まじい姿が収められていて、俺と美羽がキスをしているものまであった
「このプリクラ……証拠としては十分だな」
「他にもまだまだ証拠になるような物があるけど、見る?」
美羽が嬉しそうにしながら鞄の中からさらに何か出そうとしたとき、勢い余って同時に一冊のノートが鞄から出てきた
そのノートを拾い上げると、表紙にはこう書かれていた
『私と悟のエッチ性活妄想ノート』
題名を見た俺はたまらずノートを開き中を確認する……するとそこには俺と美羽の馴れ初めから始まり、俺と美羽がいつどこでデートしてどんなふうにイチャついたのかまで、全て細かく書かれてあった
「これは……」
……いや、でもおかしいな。この内容が正しいのなら、俺は既に貞操を失っているはずだ……だが、退院の時の検査で俺は童貞だった……だからまず、俺と美羽が性行為をしていたという話自体が成立しない
「……それに妄想ノートって事は実際に付き合っていたわけでは、ないんだよな?」
「あ、あ……そのノートは……でっ、でも、私と悟は、う、運命の赤い糸で……固く結ばれてるからっ、……実際は、全部、現実になること、だよ」
「はぁ……これではっきりしたね、弟くん……別に彼女の妄想に付き合う必要はないからね?あくまで妄想なんだから」
「そうだよお兄ちゃん、そんなありもしない妄想を受け入れちゃダメだから!」
二人がそう言って俺の腕に抱き着いてくると、美羽は悲しそうな表情を浮かべながら俺を見つめる
「俺と美羽は付き合っていなかったんだな」
「……っ、」
「俺は何回も見舞いに来てくれた事とかも含めて、美羽には本当に感謝してる……だから、付き合っていたと虚言をつかれていたとしても、別に怒ったりはしない」
「お、怒っても、殴ってもいい、けど……嫌いにならない?」
「嫌いになんてならないから、美羽の口からも本当のことを聞かせてくれ」
「……うん……分かった……たしかに、私、本当は悟と付き合ってなかったよ……」
「じゃあ、どうして俺と付き合っていたなんて虚言を吐いたんだ?」
「それは……えっと……悟に、私の事、好きになって欲しかったから……記憶をなくす前まで付き合ってたって言ったら、私のことを意識してくれるようになるかな……って、思って」
なるほど……確かに、恋人同士だったと聞いた俺は間違いなく美羽のことを異性として、より意識するようになっていた
「だからってすぐバレるうそつくなんて、お兄ちゃんのことになると勢いで暴走しちゃう所は変わらないよね」
「本当、そういうところはまるで変わってないね」
由梨と姉さんは美羽を呆れたような目で見ながらそう言った
「ごっ、ごめんなさ」
「謝らなくてもいいよ、弟くんが許したんなら、私もこれ以上は何も言うつもりはないから」
「由梨はそれよりもお腹すいたー、冷めちゃったし早く食べよ?」
「だな、美羽は朝はもう食べてきたのか?」
「うん、パンを一枚食べてきたよ」
「それだけだとお腹が空くだろうから、美羽も一緒に食べよう」
「い、いいの?……ありがとう」
俺たちは四人で朝食を食べ始めた
◆◆◆
記憶を失ってからあまり外を歩いてなかったな、とか考えながら俺は美羽と一緒に学校に向かっている
「あ、これまだ渡してなかったね。はい、新しいスマホ……今使ってるのはパスワード忘れて開けないって言ってたでしょ?」
「え、いや流石に、受け取れないよ」
「いいからいいから」
美羽は俺の手にスマホを掴ませた
「……助かるけど、本当に貰ってもいいの?」
「いいって、お詫びだと思って遠慮せず受け取ってよ」
「ありがとう」
俺が礼を言うと、美羽が決心したような真剣な顔をした
「わたし決めた!」
「……何?」
「もう、ズルいことしたりして君の気を引いたりしない!これからは正々堂々、君を私だけに夢中にさせて、絶対に君と添い遂げる!!」
そう言った美羽には、確かな宣誓の清らかさがあった
40
お気に入りに追加
999
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる