[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也

文字の大きさ
上 下
2 / 48
第一章

第二話

しおりを挟む
「美羽、その手の傷……どうしたんだ?」



 俺が指摘すると美羽は驚いたような表情を浮かべて少し動揺しながらも答えた




「あっ……えっ……と、これは……うん、なんでもないよ?気にしないで……」



「いや、気にするよ。昨日まではそんな傷なかったはずだけど……何かあった?」



「……君ってさ、明日から退院して学校に通い始めるよね」



「そうだね……ようやく明日から行くよ」



「だから私、精が付くようにって張り切って……」



 張り切ってって……美羽のやつ張り切りすぎて、まさかこの弁当に血とか入れてないよなぁ……もし入ってたら普通にドン引きだが




「頑張って料理してたら……手を切ってしまったの」



「いや普通に切っただけかい、何で勿体ぶったんだよ」



「それはっ、夫の君に料理が下手だって幻滅してほしくなくて……」



 夫?……そこまでの関係になった記憶はないが……まあ、今はスルーしておこう




「別にそれくらいで幻滅したりはしないよ。それに、こうして面会に来てくれていることには本当に感謝してる……家族以外に面会に来てくれるのはお前くらいだし」



 俺がそういった瞬間――美羽は納得できないような表情を浮かべてバツが悪そうに目をそらしながら話し始める



「私、くらい??……ん?……そんな……私だけではなくて……私くらい……って!まさか、あいつらが……だとしたら……!!」



 その声はどんどん早く小さくなっていき、途中から聞き逃した俺はたまらず聞き返す――が、



「う、ううん……何でもないよ!こっちの話、さあ!もうお昼の面会時間も終わっちゃうし早く食べよう!!ほらっ、あーーーん!」



「別に自分で食べられるって」



「いいから!いいから!私が食べさせてあげるっ」



「そう、じゃあ……お言葉に甘えて……ん、普通に食べるより……倍美味しい」



「えぇーー!!うれしいこと言ってくれるねぇ、そんな悟には今度私の女体盛りも食べさせてあげる!」



「そ、それは遠慮しておこうかな……」



「何で?良くない?」



「良くない」



「こんなに可愛い幼馴染の女体盛りだよ?」



「自信があるのはいいことだけど、遠慮しとくよ」



 何だか勢いでごまかされてしまった気もするが……まあいいか、美羽のあんな表情もあまり見たくないしな




「じゃあ!私もう行くから!」



 弁当を食べ終わると美羽は元気よく病室を出ていった



 ――それと同時に、俺のパスワードを忘れていて開けずにいたスマホが鳴った。



 画面を見るとメッセージアプリにDMが届いていた







 ◆◆



 美羽視点――



「悟、今日のお弁当は美味しい?」



 私がそう聞くと悟は爽やかに、そして嬉しそうに答えてくれた



 良かったぁ……早起きして愛情を込めて甲斐があったみたい





「……幼馴染、か」



 やはり悟は記憶が戻っていないみたいで昔のことは全く覚えていないらしい……けど、事故が原因で引き起こされたこの現状自体は私からすれば何かと都合がいい




「そうだよ!私達は恋人同士なんだから!!」



「そう……だったんだよな」



「うん!そうそう!」



 お陰でこの話もすんなり信じてくれている




「だから、さ……」



 私が悟の腕を強引に掴んで無理やり胸を触らせたら、悟は顔を真っ赤にして反応してくれた。やっぱり動揺している悟も可愛いくて……大好きだ



 前ならこんな事をしても嫌がるだけだったのに、今の悟は違う――そう、違うんだ




 その後、ちょっと意見が違ったりもしたけど、図らずも入れる事になった私の血が入った弁当も悟は笑顔で食べてくれた



 やっぱり今の悟は私を大切に思ってくれている




「別にそれくらいで幻滅したりしないよ……それに、面会に来てくれていることには本当に感謝してる」



 そして、こうして優しい言葉をかけてくれる。本当なら感謝なんてする必要ないのに、女である私が男である悟の役に立つことなんて……この世界では当然のこと



 なのに褒めてくれる悟はとても魅力的だ――




 そんなことを考えていると悟の口から信じたくない言葉が出た



「……実際、こうして面会に来てくれるのはお前くらいだしな」



 ん……は?私……くらい!?は?……この病院は私の家が管理している……だから皆には私以外のあの学校の女メスブタ達が悟に接触してこようものなら追い返せと伝えていたのに……なのにっ!



 何故!?……これじゃあ、折角事故のどさくさに紛れて悟を淑女学校に転校させて、物理的にもあいつらとの距離をとった意味がないじゃない……!!




 まあ、いいわ……いずれにしても、このまたとない悟を完全に、私だけのものにできるチャンス……最大限に生かすためにも誰にも邪魔はさせない……!!!
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。  その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。  すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。 「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」  これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。 ※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...