落ちこぼれオメガとエリートアルファの魔王討伐

第434話

　けれどもー。

　僕の苦悩を尻目に、ブライトはどんどんラファエルの愛撫に溺れていくようだ。

　半ば抱きしめられ、いきり立つ股間の陽根を扱かれながら、乳首を指と口でなぶりものにされるその姿。

「はああんっ」

　残酷なまでに甘ったるい声が僕の耳を打った。

　堀の深い美形顔が快楽に歪み、蕩けるように弛緩する。

　そのうちー。

「い、いっちゃう…」

　ブライトが身を震わせると、

「お、出てきた出てきた」

　ラファエルがつぶやき、握った陽根を根元から亀頭の先までずるっと烈しく、扱き上げた。

　ちゅるるんっ！

　扁平に圧迫された亀頭の鼻面から、とろみのある白い液体がにじみ出る。

　と同時に、かぐわしい精液の香りがあたりに立ち込めて、僕はたまらず股間に手をやり、愕然となった。

　ない。

　手が触れたのは、血まみれの切り株のようなもの。

　そうだった。

　僕のペニスはラファエルに切断され、どこへともなく飛んで行ってしまったのだ。

　しかも、それだけではない。

　膣と肛門を細身の剣で貫かれ、地面につなぎ留められているせいで、動こうにも動けない。

　裂けた二つの穴からはドクドクと多量の血液があふれ出し、僕の下半身を真っ赤に染めていた。

　まず、この出血を、なんとかしなくては…。

　がー。

　そう理性ではわかっているものの、不思議と痛みは感じなかった。

　それどころか、目の前で繰り広げられる卑猥なシーンの数々に、僕のリピドーは頂点に達しようとしていた。

　それはまさしく、犯されるブライトの痴態をサカナにオナニーする時のような、恐ろしく背徳的な気分だった。

　自分をいじりたくって、たまらない。

　ペニスのあった場所の血をぬぐうと、切り株のような肉の中央に、小さな穴が開いていた。

　尿道である。

　尿道には、まだ少し白濁した液体が溜まっていて、そこがかつて精巣と連結していたことをうかがわせる。

　だが、その精巣も、ラファエルに睾丸袋ごと、切断されてしまっている。

　かまわず、僕は尿道の中に人差し指を突っ込んだ。

　ペニスがほとんど根元の隆起だけになっているため、尿道もごく短い。

　第一関節をねじ込んだらすぐに、目的の部位に突き当たるのがわかった。

　尿道の底。

　膀胱との境目にある、前立腺への分かれ道である。

　僕はその脇道へと、更に指を差し入れる。

　魚卵のようなブツブツが指の腹に触れたと感じたその瞬間だった。

「あふっ」

　性腺刺激中枢の源である前立腺に直接触れた衝撃で、全身の神経に快楽の火花が飛び散った。