落ちこぼれオメガとエリートアルファの魔王討伐

第430話

「ブライト･･･」

　僕は絶句した。

　ショックのあまり、膝が震えて立っていられなかった。

「何を言ってるの？　君のつがいはこの僕、レムだよ！」

　けれどー。

　その声も、夢うつつのブライトの耳にはまったく届かないようだ。

「どうしてほしい？」

　ラファエルの問いかけに、

「キス、して･･･」

　そう答えるブライトの目は、麻薬中毒患者のようにとろんとしていて、もう見ていられない。

「人間と接吻か」

　上級魔族がにたりと微笑んだ。

「何百年ぶりかな。だが、それもいいだろう。ブライト、きさまのような美形が相手なら」

　ブライトの下顎を人差し指と中指で支え、顏を上向かせる。

　口角が吊り上がると同時に、唇の両端から鋭い牙がこぼれ出た。

　触れ合う、唇と唇。

　ブライトを固く抱き寄せ、口を吸いながら、割った唇の間に舌を入れ始めるラファエル。

「ｱｱﾝ･･･」

　言いなりになったブライトの全身に戦慄きが走った。

　ラファエルの背中に腕を回し、自分も夢中で相手の口を吸い始める。

　硬くなった乳首同士が乳頭をぶつけ合い、互いの乳輪へと押し込んでいく。

　ラファエルが下半身をブライトに押しつけるとー。

　二本のペニスが二匹の蛇のように動いてブライトの勃起陰茎に巻きついた。

「やめろ！」

　もう見ていられなかった。

　大地を蹴って、僕は駆け出した。

　右手に握っているのはガチガチに勃起した己の陰茎だ。

　それを高速で扱きながら距離を詰め、ブライトを抱きしめたラファエルに狙いを定める。

　死ね!

　こうなったら、魔族にとっては致死的な、オリジナルの僕のエキスをお見舞いしてやるまでだ！