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第401話
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川だった。
橋はない。
対岸に広がるのは、黒々とした森林地帯。
その名も黒衣の森。
いかにも魔物や魔族の好みそうな場所だった。
森の上空にはレンズ型の雲がわだかまり、今にもひと雨きそうな雰囲気だ。
こころなしか空気も水っぽく、かすかに生臭い匂いをはらんでいる。
ブライトは躊躇なく馬に鞭を入れると、早足で浅瀬を渡り出した。
「だいじょうぶ?」
僕がその腰にしがみついたのは、波の合間に三角形のひれが見えた気がしたからだ。
「この川、何かいるみたいだけど?」
「わかっている」
鐙の上に半ば立ち上がり、ブライトが言う。
「水の中とて安全じゃないさ。魔物たちはどこにでもいる。ましてやここは、黒衣の森のすぐ近くだからな」
その言葉が終わるか終わらないかのうちだった。
突然水面が弾けたかと思うと、黒いものが宙に飛び出してきた。
巨大な流線形の躰が日光を遮り、襲いかかってくる。
耳まで裂けた口に、無表情な小さい目。
サメだ。
でもどうして、サメが川なんかに?
その答えは明らかだった。
サメに似てるけど、こいつはサメじゃない。
魔物なのだ。
ブライトの言う通り、魔物ならどこに潜んでいたとしても、別段おかしくはない。
ヒヒヒ~ン!
魔物の出現に驚き、馬が棹立ちになった。
その前肢を、サメ型魔物の巨大な口が食いちぎる。
血潮が飛び散り、横倒しになった馬が僕らを乗せたまま、川面に沈んでいく。
その刹那、ブライトが僕の胴を横抱きにして、跳んだ。
そうして僕を抱えたまま、左腕一本で華麗に泳ぎ出す。
サメが飛びかかってくるのと、僕を抱いたブライトが向こう岸にたどり着くのとが、ほとんど同時だった。
横っ飛びに転がって魔物の攻撃を避けると、体勢を整え、ブライトが言った。
「レム、いけるか?」
「う、うん」
僕はうなずいた。
陸に上がった魔物は、サメの躰から生えた短い四肢を踏ん張って、起き上がろうとしている。
やはりこいつはサメじゃない。
サメとワニが合体したような水陸両用の魔物の一種なのだ。
ブライトが僕の両手首をひとまとめにつかみ、右腕一本で宙に吊るし上げた。
足先が十分地面を離れたのを見てとると、僕は両手で両の太腿を抱え、両脚をまっすぐ上に持ち上げた。
短いスカートの下は裸だから、当然、陰部が剥き出しになる。
「行くぞ」
「は、はい」
返事をした途端、ブライトの手刀が僕の桃尻をふたつに割り、曝け出された肛門に凄い勢いでぶち込まれた。
橋はない。
対岸に広がるのは、黒々とした森林地帯。
その名も黒衣の森。
いかにも魔物や魔族の好みそうな場所だった。
森の上空にはレンズ型の雲がわだかまり、今にもひと雨きそうな雰囲気だ。
こころなしか空気も水っぽく、かすかに生臭い匂いをはらんでいる。
ブライトは躊躇なく馬に鞭を入れると、早足で浅瀬を渡り出した。
「だいじょうぶ?」
僕がその腰にしがみついたのは、波の合間に三角形のひれが見えた気がしたからだ。
「この川、何かいるみたいだけど?」
「わかっている」
鐙の上に半ば立ち上がり、ブライトが言う。
「水の中とて安全じゃないさ。魔物たちはどこにでもいる。ましてやここは、黒衣の森のすぐ近くだからな」
その言葉が終わるか終わらないかのうちだった。
突然水面が弾けたかと思うと、黒いものが宙に飛び出してきた。
巨大な流線形の躰が日光を遮り、襲いかかってくる。
耳まで裂けた口に、無表情な小さい目。
サメだ。
でもどうして、サメが川なんかに?
その答えは明らかだった。
サメに似てるけど、こいつはサメじゃない。
魔物なのだ。
ブライトの言う通り、魔物ならどこに潜んでいたとしても、別段おかしくはない。
ヒヒヒ~ン!
魔物の出現に驚き、馬が棹立ちになった。
その前肢を、サメ型魔物の巨大な口が食いちぎる。
血潮が飛び散り、横倒しになった馬が僕らを乗せたまま、川面に沈んでいく。
その刹那、ブライトが僕の胴を横抱きにして、跳んだ。
そうして僕を抱えたまま、左腕一本で華麗に泳ぎ出す。
サメが飛びかかってくるのと、僕を抱いたブライトが向こう岸にたどり着くのとが、ほとんど同時だった。
横っ飛びに転がって魔物の攻撃を避けると、体勢を整え、ブライトが言った。
「レム、いけるか?」
「う、うん」
僕はうなずいた。
陸に上がった魔物は、サメの躰から生えた短い四肢を踏ん張って、起き上がろうとしている。
やはりこいつはサメじゃない。
サメとワニが合体したような水陸両用の魔物の一種なのだ。
ブライトが僕の両手首をひとまとめにつかみ、右腕一本で宙に吊るし上げた。
足先が十分地面を離れたのを見てとると、僕は両手で両の太腿を抱え、両脚をまっすぐ上に持ち上げた。
短いスカートの下は裸だから、当然、陰部が剥き出しになる。
「行くぞ」
「は、はい」
返事をした途端、ブライトの手刀が僕の桃尻をふたつに割り、曝け出された肛門に凄い勢いでぶち込まれた。
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