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第343話

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 口の中がネチャネチャした。

 でも、決して不快な味ではない。

 いやそれどころか、涙が出るほど懐かしいこの匂い、コク・・・。

 間違いない。

 僕の口の中に残っているのは、紛れもなくあの愛しいブライトの精液だ。

 それでわかった。

 僕が魔族の女の呪縛を逃れることができた理由が。

 射精しすぎて精嚢の中が空っぽになってしまっていた僕。

 その僕に、ブライトが何らかの方法で自らの精液を注入して、僕にエキス製造の原材料を与えてくれたのだ。

 一度の射精では出し尽くせないほどの量のエキスが、睾丸袋を膨らませていた。

 しかも、気のせいか、僕の性的興奮状態は相変わらず持続しているらしく、ペニスの勃起が一向に収まらない。

 これは明らかに、新たなエキスがどんどん生産されている証拠だった。

 その感覚が僕を勇気づけてくれた。

 まだ大丈夫。

 僕はまだ戦える。

 桃色の靄がかかったようにかすんでいた視界がクリアになると、異様な光景が見えてきた。

 少し離れた所に全裸のブライトが坐り込み、躰を二つに折って自分の股間に顔をうずめている。

 聞えてくるのは、じゅぼじゅぼ、チュプチュプいう淫靡な音。

 間違いない。

 これって、フェラチオの時の音だよね?

「ブライト・・・」

 切なさが胸を締めつける。

 ブライトは、欲情を抑えきれず、ついに自分で自分を咥え、セルフフェラチオを始めたてしまったのだ。

「ブライト、そんなことしなくても、今すぐこの僕が思う存分舐め舐めしてあげるよ!」

 駆け寄ろうとした時だった。

 勃起したおのれの陰茎に足を取られ、僕は転倒した。

 陰茎があまりに長すぎて、股間から大根でもぶら下げたみたいに、両脚の間に入り込んだのである。

 その一瞬の遅れが、明暗を分けた。

「死ぬがいい! 自分の口で自分のチンポを慰めながら死ねるなんて、おまえは本当に幸せ者だねえ!」

 烈しく上下運動するブライトの向こうで触手女がそう叫ぶなり、やにわにすべての触手を大地に解き放ったのだ。


 
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