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第339話

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「お、お願いだ・・・」

 俺は腹這いになった。

「してくれないなら、こうするしか・・・」

 頭の中にピンク色の靄が渦巻いている。

 触手女の触手に、媚薬成分でも注入されたのだろうか。

 俺はもう、淫らなことしか、考えられなくなってしまっていた。

 地面に股間を擦りつける。

 大理石を敷き詰めた冷たい地面である。

 その表面に、熱く滾った肉棒をがむしゃらに擦りつけてみる。

「ああ・・・」

 多少の快感に、俺は呻く。

 でも、駄目だ。

 この程度では、全然イケはしない。

「貴族のアルファ♂が、床オナニーか。ふふ、哀れだな」

 触手女の蔑みの声。

 それがM男的性向に目覚めた俺には、またたまらない。

「もっと、言って・・・もっと・・・」

 ペニスを押し潰さんばかりに地面に擦りつけながら、俺は請う。

 すでに亀頭の裏側は擦り切れて皮膚が破れ、血の筋が地面に跡を残していた。

「なら命じてやろう。次は独りフェラチオだ。身体能力に秀でたアルファなら、そのくらいできるはずだろう?」

「ひとり、フェラチオ?」

 床オナニーを中断し、俺はむくりと身を起こした。

「説明するまでもなかろう。名前の通り、自分で自分のペニスを咥えて口で扱くのさ」

「そ、そんなこと…」

 さすがにそれはやったことがなかった。

 だいたい、俺のような格上アルファは、性別を問わず、性欲処理の相手に事欠かない。

 自ら自分を慰める必要など、よほどの気まぐれでも起こさぬ限り、まるでないのである。

 ふと気がつくと、周りにぞくぞくと魔族たちが集まってきていた。

 ”観客”が、こんなに・・・。

 それを意識したとたん、したくてたまらなくなってきた。

「わ、わかった・・・。やってみる・・・」

 地面に胡坐をかくと、屹立する自身の勃起ペニスに向けて、おもむろに俺は上体を折り曲げた。

 

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