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第327話

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 乳首と陰茎に、全体重がかかる。

「アアアッー!」

 躰が引きずり上げられ、つま先が宙に浮く。

 チュパッ、チュパッ!

 俺を吊るし上げる最中にも、三本の触手は吸引をやめようとしない。

 ジュブッ! ジュブジュブッ!

 腸詰そっくりの触手が陰茎と乳首を包み込み、淫靡な蠢動とともに吸ってくる。

「や、やめろ・・・」

 俺は叫んだ。

 乳首が千切れそうに伸び、陰茎が二の腕ほども長くなる。

 が、抗議の声には、微妙なためらいが混ざっていたようだ。

「ふふふ、気持ちいいくせに」

 アーモンド形の眼を意味ありげに光らせて、触手女が嗤った。

「な、なにを・・・?」

 俺は耳朶まで赤くなった。

 思わず女から顏を背けてしまう。

 図星だったのだ。

 確かに、これは・・・。

 痛みを感じたのは吊り上げられた最初の一瞬だけで、三か所にたっぷり体重がかかった今は逆に・・・。

 俺の中の嗜虐心。

 背徳のM男的欲望。

 それに触手女が火をつけてしまったのである。

 俺は、敵にやられればやられるほどエクスタシーを感じるこの肉体を、呪わずにはいられなかった。

 滅茶苦茶にされる己の裸体を想像するだけで、男性器の先端が濡れてくるのである。

 それは、つがいであるレムを主体として犯す時とは、まさに真逆の快感だった。

 でも、気持ちいい。

 否定しようがなく。

 美神の再来とも言われる、均整の取れたこの躰。

 王国随一の美形と噂される、彫りの深いこの顔立ち。

 つんと上を向いた形のいい臀部。

 凛々しい勃起男根と可憐なピンク色の乳首。

 それを、醜い魔族どもが滅茶苦茶にするー。

 ああ、なんと煽情的な光景であることか。

 ナルシストと嗤うなら嗤うがいい。

 俺は常に、なぶられる己の姿に、烈しく欲情せざるを得ないのだ。

「どうだ? いいか?」

 空中で俺を磔にして、触手女が訊く。

 乳首と陰茎をチュウチュウ吸われながら、喘ぐ俺。

 触手の中で生殖器官はガチガチに勃起し、今にも爆発しそうな勢いだ。

 ハアハアハアハア・・・。

「ば、馬鹿な・・・」

 それでも、最後の自制心を振り絞って否定する。

 と、女の顔色が変わった。

 底意地の悪そうな目つきになる。

「強情なやつだな。ならば、これはどうだ!」

 
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