上 下
330 / 475

第325話

しおりを挟む
「アガガガガ…」
 
 可愛らしかったレムの顏がいびつに歪んだ。

 顔面中の筋肉という筋肉が一斉に弛緩して、頬が緩み、目尻も口の端も垂れ下がる。

 そのさまはまるで知性が耳の穴から血液と一緒に流れ出していくかのようだ。

 半分開いた口から痴呆のようによだれを垂れ流し、眼窩の中で眼球はせわしく蠢動を繰り返す。

 仕方なかった。

 レムは今、あろうことか、両耳から侵入した触手に、大脳をなぶりものにされているのである。

「きさま、なんてことを・・・」

 俺は歯噛みした。

「そんなことをしたら、レムは・・・」

「おまえらの戦い方はわかっている」

 宙吊りになった小さなレムの躰を伸ばした触手で弄びながら、得意げな口調で女が言った。

「この小僧の精液は、我々魔族には猛毒で、おまえら人間にとっては奇跡の薬となる」

「そ、それは・・・」

 バレている。

 いやむしろ、ここまでレムの精液を駆使してきて、バレない方が不自然だろう。

「だったら、この小僧を再起不能にするまでさ。躰を傷つけても精液で治してしまうというのなら、司令塔である大脳を破壊すればいい。ただそれだけのこと。そうだろう?」

「くそ・・・」

 反論の余地もなく、俺は怒りにこぶしを握り締めた。

「離せ・・・レムを、離してくれ・・・」

 そうして、意味のない無能な言葉を繰り返すのみだった。

 そんな俺に、余裕綽々といった調子で、女が更に言い募る。

「さあ、次はアルファ、おまえの番だ。よく見ると、おまえ、あたし好みのイケメンだねえ。これは、殺す前に、たっぷり可愛がってあげなきゃねえ。きゃはははははは」

 言い終わるか終わらないかのうちだった。

 レムの腰に巻きついていた触手がほどけ、だしぬけに俺めがけて襲いかかってきた。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【R18】お父さんとエッチした日

ねんごろ
恋愛
「お、おい……」 「あっ、お、お父さん……」  私は深夜にディルドを使ってオナニーしているところを、お父さんに見られてしまう。  それから私はお父さんと秘密のエッチをしてしまうのだった。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...