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第320話

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 レムのエキスの威力は驚くべきものだった。

 ちょっと飛沫がかかっただけで、魔物たちがことごとく白い煙を上げて溶けていくのだ。

 にわかには信じられない気分だった。

 俺にはあんなに美味な液体が、魔物たちには劇薬以上の猛毒なのである。

 どんなにひどい傷でも治してくれる魔法のネクタル。

 それが、俺たち人間の天敵である魔族たちには致命傷になってしまうとは。

 しかも、その液は、右手で直腸奥の膨らみを揉み、左手でコリコリした乳首を弄るだけで発射される。

 ドビュッ、ドビュビュッと恥ずかしい液を股間からそびえる砲身から射出しながら、レムは切ない声で鳴く。

 そのさまが愛おしすぎて、俺はさっきからずっと勃起したままだった。

 だがー。

 宮庭にたむろする雑魚魔族どもを大方片づけて、目抜き通りに出たところで俺は立ち止まった。

 俺の右手をその可愛い肛門で肘まで呑み込み、聖水射出器と化したつがいのレム。

 その様子がおかしいのである。

「アアア・・・ウウウ・・・」

 目の焦点が合っていない。
 
 半開きの唇の端からは血の混じった涎が垂れている。

 なにより驚いたのは、レムの肛門から突き出た俺の肘から下が、鮮血で赤く染まっていることだった。

 下血?

 いったい、この愛くるしいオメガの身に何が起こったというのだ?

「レム、大丈夫か?」

 右手をゆすぶりながら見ると、あれほど元気だったレムのペニスがうなだれ始め、亀頭を包皮が包んでいた。

 何より驚いたのは、その包皮の先からも血が滲んでいることだ。

 俺は青ざめた。

 まずい。

 やり過ぎたのだ。

 いくら前立腺を直接責めてメスイキさせるといっても、肉体的におのずと限界がある。

「アアアア・・・ウウウ・・・」

 白眼を剥いてうわ言を口走るレム。

「す、すまない」

 俺は左手でレムの首根っこを掴むと、慎重にその肛門から右手を引き抜いた。

「あっ」

 現れた粘液だらけの右手を見るなり、思わず叫んでしまった。

 俺の右の拳は、レムの真っ赤な血と茶色い胆汁でグチョグチョだったのだ。

 とー。

 その時だった。

「やってくれたわね! けれど、ここから先には行かせないよ!」

 低いがよく通る女の声が、朗々とあたりに響き渡ったのは・・・。

 

 

 
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