落ちこぼれオメガとエリートアルファの魔王討伐

第282話

　台車に載せられて運ばれてきたブライトは、今まで僕が見た中で最も悲惨な状態だった。

　その血と肉と脂肪と骨片にまみれた肉塊はー。

　凌辱される彼の姿が最高のオカズであるオメガの僕にとって、まさに射精モノの絶景といってよかった。

　腹のところで引き千切られ、ふたつに分断された肉体。

　切断面からは、束になった臓物がぬらぬらと絡み合いながらはみ出ている。

　血管や神経、脂肪層を纏いつかせた、赤や紫や濃緑色の心臓や肺、胃、小腸、大腸、肝臓、腎臓といったおびただしい臓器ー。

　それがぎざぎざの断面から盛り上がって溢れ出しているのである。

　ブライトの顏はすっかり血の気を失い、見開いたままの眼もうつろでガラス玉のようだ。

　半開きの口からは紫色に膨れ上がった舌が何かの死骸のように垂れ下っている。

　奇怪なのは、下半身だった。

　千切れた内臓と血にまみれた股間のあたりから、ぶっといソーセージのような男性器が突き出ている。

　ただ、さっきまでとの違いは、その猛々しい肉の棒が硬さを失いつつあることだった。

　瀕死の状態でもそこだけ雄々しく勃起していた超絶的なまでの男根が、白っぽくなり、うなだれかけている。

　まずい。

　突き上げる快感に射精を続けながら、僕は思った。

　ブライト、今度こそ、本当に死にかけている…。

　早く、早くなんとかしなくちゃー。