上 下
266 / 475

第261話

しおりを挟む
「バスタブだって? そんなもの、どうするんだ?」

 アギト皇子が呆れたような声で言う。

「決まってるでしょう。ネクタルを溜めるのです。バスタブいっぱいに溜めたネクタルの中にブライトを浸ける。そうすれば、まだなんとか助かるかもしれない」

 僕は広間の中央の血だまりと臓物の山に目をやった。

 積み上げられた内臓は、さながらぬるぬるの袋の集積である。

 網の目のように毛細血管で覆われたその大小の肉袋の中に、肩から上のブライトが埋もれている。

 肋骨が剥き出しになり、切断された上半身と、いまだに勃起し続けるペニスを備えた下半身。

 それが沈没船の帆先のように、肉と血の海から斜めに突き出ているのだ。

「でも、できるのか? ネクタルって、要はおまえの精液なんだろ? バスタブいっぱいなんて、そんなに出せるのかよ? 第一おまえ、今さっき、ミノタウロスの肛門に射精したばかりじゃないか」

 信じられないと言った表情で、皇子が訊いてくる。

「わからない…。でも、僕は今ヒート期なんです。刺激さえあれば、やってやれないことはない。そんな気がします…」

 そうなのだ。

 数ヶ月にわたるヒート期の間、オメガはある種の色情狂になる。

 その気になれば、オナニーを覚えた猿みたいに、それこそ、毎日でも・・・。

「メスイキね」

 皇女が横から口を出したのは、僕がそんなことを考え、頬を赤らめた時だった。

「え?」

 皇子が驚きの目で姉を見る。

「こいつをメスイキ状態にさせるのよ。そうすれば、ドライオーガズムで、絶頂が無限にやってきて、エネルギーが涸れ尽くすまで射精が止まらなくなる。ブライトを助けるには、ミネルヴァの総力を挙げて、このオメガをメスイキ状態にするしかないわ」

 そう言い放った皇女の口調は、有無を言わせぬ威厳に満ちていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

処理中です...