落ちこぼれオメガとエリートアルファの魔王討伐

第238話

　無数の菌糸に引き寄せられ、断面同士を密着させると、何事もないように右足がつながった。

　次に左足。

　そして、間髪を入れず、両腕が。

　血と精液の海の中で、むっくり身を起こすブライト。

　立ち上がったその裸体も白と赤の液体でまだらだが、気のせいか、前よりたくましくなったようにすら見える。

　そう思わせるのは、ブライトの股間からそびえ、天井を衝くかのように反り返ったペニスのせいかもしれない。

「おまえ、魔王の傀儡だな」

　のっし。

　血だまりから一歩踏み出して、ブライトが言った。

　相手はあの人形、アリスである。

「姉さんと兄さんを洗脳して、内側から王家を滅ぼそうという腹か」

「ブ、ブライト…」

「ま、まさか、本当に…。こんなの、あり得ない…」

　皇女と皇子は突如蘇った弟の姿に、ほとんど茫然自失の体だ。

　ｽﾞﾙｯ。

　ｽﾞﾙｽﾞﾙｯ。

　これは、床に溢れていた肉色の腸が、ブライトの肛門に引き込まれていく音だ。

　今や、この美青年アルファは、完全復活を遂げていた。

　と、その時ー。

「ヨ、ヨルナ！」

　後じさりしながら、突然人形が耳障りな金切り声で叫んだ。

「イデヨ、召喚獣！　コノ死ニゾコナイヲ喰ライツクセ！」