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第220話
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両側から助手たちが棒を突き出すと、二匹の蛇はブライトの胴に巻きついた躰をほどき、元の棒に乗り移った。
蛇を元のように棒に巻きつけたふたりが下がり、今度は別のふたりがブライトの両脇に立つ。
両側から差し出された新たな棒に巻きついているのは、見たことのない生き物だった。
長さはさっきの蛇と同じくらい。
でも、もう少し細く、ぬらぬらしている。
血を塗りたくったように赤いその躰には鱗がなく、全体が粘液に覆われているのだ。
しかも、そいつには頭がなかった。
頭部があるべき場所に開いているのは、吸盤のような口である。
しかも、目を凝らして観察すると、吸盤は頭部だけでなく、尾部にも開いているのがわかる。
両側が口になった赤い紐。
それが各々二本の棒に巻きつき、両側からブライトに足に飛び移ろうと身構えているのだ。
「何ですか? あの気持ちの悪い生き物は?」
僕は無意識のうちに、疑問を口にのぼせていた。
「ヒルの一種さ。密林に住む、コウガイヒルというやつだ」
「蛭? 蛭って、まさか、あの…?」
僕は茫然と皇女の美しい横顔に目を据えた。
「そう。人の血を吸うあの蛭だ。特にこの二匹は、10日間絶食させてわざと腹を空かせてある」
「ど、どうして、そんなぶっそうなものを・・・」
「本来は医療用の生物さ。人の体内の悪い血を吸いとるのに使う。だが、あれらには別の使い道もあってな」
-アアアッ! ヤメッ! ヤメロッ!-
ブライトの悲鳴に視線を空中に戻すと、ちょうど二匹の赤い蛭が180度開いた彼の足にヌルヌルと巻きつくところだった。
蛇を元のように棒に巻きつけたふたりが下がり、今度は別のふたりがブライトの両脇に立つ。
両側から差し出された新たな棒に巻きついているのは、見たことのない生き物だった。
長さはさっきの蛇と同じくらい。
でも、もう少し細く、ぬらぬらしている。
血を塗りたくったように赤いその躰には鱗がなく、全体が粘液に覆われているのだ。
しかも、そいつには頭がなかった。
頭部があるべき場所に開いているのは、吸盤のような口である。
しかも、目を凝らして観察すると、吸盤は頭部だけでなく、尾部にも開いているのがわかる。
両側が口になった赤い紐。
それが各々二本の棒に巻きつき、両側からブライトに足に飛び移ろうと身構えているのだ。
「何ですか? あの気持ちの悪い生き物は?」
僕は無意識のうちに、疑問を口にのぼせていた。
「ヒルの一種さ。密林に住む、コウガイヒルというやつだ」
「蛭? 蛭って、まさか、あの…?」
僕は茫然と皇女の美しい横顔に目を据えた。
「そう。人の血を吸うあの蛭だ。特にこの二匹は、10日間絶食させてわざと腹を空かせてある」
「ど、どうして、そんなぶっそうなものを・・・」
「本来は医療用の生物さ。人の体内の悪い血を吸いとるのに使う。だが、あれらには別の使い道もあってな」
-アアアッ! ヤメッ! ヤメロッ!-
ブライトの悲鳴に視線を空中に戻すと、ちょうど二匹の赤い蛭が180度開いた彼の足にヌルヌルと巻きつくところだった。
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