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第154話

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 チャポン、チャポン。

 白濁液がいっぱいにたまったビール瓶片手に、ジンが近づいてくる。

 ジンは白衣を脱ぎ捨て、細い腰を一周する革のベルトしか身に着けていない。

 そのベルトの前面には、痛々しいほど勃起したペニスが垂直に挟まれて、亀頭の先を下腹につけている。

 この恰好。

 この科学者も、ブライトとは別の意味で、変態性欲者なのだろう。

「僕の真の目的は、前に話したよね」

 僕を部屋の隅に追い詰めると、粘液が粘るようなネチャつく声で、ジンが言った。

「僕の目的は、何もあのブライトを手籠めにすることじゃない。あくまでも、おまえの精液を採取することなんだ」

「ボ、ボクの、精液、を・・・?」

 そういえば、ジンは見ていたのだ。

 あの村の広場で起こった、僕らと魔族の女の戦いの一部始終を。

「そうさ。あの時も言ったように、おまえの精液は、人間の傷を治癒すると同時に、魔族には猛毒として作用する。こんな素晴らしい物質は、この世にふたつとないだろう。まさに神の酒、ネクタルだよ。量産すれば、我々にはもう怖いモノはない。魔王を倒す、不死身で最強の軍隊をつくることができるんだ。そうして、量産の方法もわかってる。それは、愛する者の精液を飲ませること。そうだろう?」

「・・・」

 図星だった。

 だからなのか。

 だから、ジンは、あんなことまでして、ブライトを三回も射精させたのだ。

「さあ、飲め」

 ジンが僕の裸の肩をつかみ、口元にビール瓶を近づけた時だった。

「待て」

 ジンの肩越しに、声がした。

「レムを実験台にするなど、俺が許さない」

 それは、どこか苦しげな、ブライトの声だった。

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