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第92話

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「え?」

 僕は凍りついた。

 僕の予想に反して、引き裂かれ、弾け飛んだのが、ブライトの四肢ではなく、着衣だったからだ。

 職種によって逆さ吊りにされたブライトから、四本の脚があっという間に衣服をはぎ取ったのである。

 満月に縁どられたブライトの全裸体に、僕は息を呑む。

 月光に輪郭をおぼろげに溶かしたその姿は、まるで天使・・・。

 なんという美しさ・・・。

 そして、あのエロさー。

「ほほう、顏だけじゃなく、躰もなかなかのものじゃないか」

 全裸で宙に吊り下がるブライトを眺めながら、アラクネが戦闘用メイクで縁どられた目を細めた。

「手足も長いし、腰も細い。細身ながらつくべきところにはちゃんと筋肉がついている。それに、何より尻の形がいい」

 触手が動き、ブライトの躰をゆっくり回転させる。

 アラクネが、ブライトの裸身を隅々まで鑑賞しているのだ。

「そうなると、問題は、アレの大きさだね。ぐふふふ、今勃たせてやるから、ちょっと待ってな」

 アラクネの淫靡な笑い声に呼応してー。

 両足首に絡みついた二本の触手が、左右にブライトの脚を引っ張り始めた。

 逆さになったまま180度足を開いたブライトは、あたかも首のない十字架だ。

 力なくうなだれたペニスは垂直に下を指し、丸い睾丸をまる出しにして裏側を見せ、臍のあたりまで垂れている。

「な、なにを、する…?」

 股倉をこじ開けられ、陰部を曝け出し、ブライトが赤面した。

 抵抗しようにも、いつのまにかその両腕は、蜘蛛のそれに似た棘だらけの脚で動きを封じられてしまっている。

「くっくっく、こうするんだよ」

 アラクネが哄笑とともに口を開けると、更にもう一本の触手がブライトめがけて伸び出した。
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